猫が『涙を流す』のはトラブルのサイン?疑うべき3つの原因と対処法

2025-03-07 16:00

猫は人間のようには泣かない動物。つまり、涙を流す理由は何らかのトラブルサインだと考えられます。原因や対処法について詳しく解説いたします。

猫が『涙を流す』3つの原因と対処法

涙を浮かべる猫

愛猫の目から涙がポロポロ。このような光景に出くわすと「悲しいことでもあったのかな」と思ってしまうかもしれません。

しかし、猫は感情の刺激によって涙を流すことがない動物のため、悲しいから泣くという概念がありません。

では、なぜ涙が溢れてくるのでしょうか。ここでは目のトラブルともいえる3つの原因と、それぞれの対処法を紹介いたします。

1.流涙症

猫の目

何らかの要因で、涙が過剰に作られてしまう状態を『流涙症(りゅうるいしょう)』といいます。主に次のような原因が挙げられます。

  • 外部刺激…目にゴミが入る、猫の爪が当たる など
  • 目の炎症…結膜炎、角膜炎、ぶどう膜炎 など
  • 目の疾患…眼瞼内反症。逆さまつ毛 など

例えば目にゴミが入ってしまった場合は、自然と流れ出る可能性があります。少し様子を見て改善すれば問題ありません。もしご自宅に動物用のワンクリーン(目を清潔にする点眼薬)がある場合は、点眼して排出を促しても良いでしょう。

次の日も改善が見られない場合は診察を受けてください。それぞれの原因に見合った処置や治療が必要です。

尚、同居猫とのじゃれ合いがきっかけとなった場合はできるだけ早い段階で受診してください。角膜に傷がつき、菌が増殖すると角膜潰瘍につながる恐れがあります。

2. 先天性の鼻涙管狭窄

鼻ぺちゃ猫の涙やけ

瞳には潤いが必要なため、常に一定量の涙がキープされています。その一方で、不要な涙は目頭から鼻涙管を通って鼻のほうへと流れる仕組みになっています。

この鼻涙管が生まれつき狭い、もしくはちゃんと発達していない状態を『先天性の鼻涙管狭窄』といいます。いわゆる鼻ぺちゃ系の猫(ペルシャやヒマラヤン、エキゾチックショートヘア)に多く見られます。

完全に通り道がない"閉塞"と呼ばれる状態であれば、手術が必要になることもあります。一方で、物理的に狭い"狭窄(きょうさく)"の場合は、余分な涙を定期的に拭うケアが必須です。これを怠ると『涙やけ』が起きてしまいます。

涙やけとは涙が流れた跡が茶色く残り、濡れた状態が続くことで皮膚炎につながるものです。特に白い被毛の猫は目立ちます。

皮膚炎や目の感染症を予防するためにも、毎日湿らせたコットンで目と鼻の間の溝を拭いてあげてください。

子猫時代から頬のあたりを撫でたりマッサージする習慣をつけましょう。顔に触れられる恐怖心を除去しながら、少しずつ顔拭きをしていきます。このケアを大切にすることで、短頭種の猫達の目の健康が守られます。

3.後天性の鼻涙管狭窄

ぐったりする猫

愛猫が鼻ぺちゃ系ではない場合も油断は禁物です。後天的な要因でも鼻涙管狭窄は起こり得ます。主な原因をピックアップしてみます。

  • 目の炎症や鼻炎による鼻涙管の腫れ
  • 猫風邪やその他のウイルス感染によるもの
  • 外傷や腫瘍によるもの

後天的なものに関しては、涙やけのケアだけでは改善を図ることが困難です。各々の原因に合わせた治療が必要なので、詳しく診てもらいましょう。

尚、子猫時代の猫風邪が原因で鼻涙管の入口が癒着しているケースもあります。思い当たる節がある場合もやはり、獣医さんの診察を受けてください。

まとめ

目のケア

基本的に猫は、人間のように辛い状況や悲しい場面で涙を流すことがない動物です。

目から涙が流れていたり、よく溢れているようであれば、物理的に何らかのトラブルを抱えていると捉えてください。

今回は、流涙症と鼻涙管狭窄(先天性と後天性)という3つの原因を紹介いたしました。流涙症は自然治癒するケースもありますが、そのほとんどは適切な治療やケアが必要になります。

たかが涙、されど涙。猫の場合は一度獣医さんに相談するようにしてください。これから鼻ぺちゃ系の猫をお迎えする予定のある方は、涙やけのケアについてシュミレーションしておくことが大切です。

大切な愛猫の目の健康を守るためにも、日頃からよく顔を見て異変がないかチェックしてあげましょう。

診察を受ける際は目の症状以外の症状の有無についても観察し、気になることがあれば伝えるようにしてくださいね。猫は言葉が話せないので、飼い主さんによる観察眼と病院側の問診がとても重要になります。

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