犬を『見つめ続ける』ことがNGな理由とは 見つめられている時の心理や与えてしまう悪影響まで
飼い主さんと愛犬とが見つめ合うことでお互いに幸せホルモンが分泌される、アイコンタクトができるようになることは大切などといったことをよく耳にします。一方で、犬を見つめ続けるのはよくないということもまた、よく耳にします。犬を見つめ続けることがNGになる理由やその時の犬の心理を知り、視線を上手に使いこなせるようになりましょう。
視線でコミュニケーションを図れる犬と人の関係
犬と人は、黒目と白目のコントラストがはっきりとしているという点で、よく似た構造の目を持っているのだそうです。多くの動物の目は、ほとんどが黒目だけ、または白目の色が褐色に近いため、黒目と白目のコントラストがはっきりしていません。
犬も人と比べると白目は目立ちません。しかしコントラストがはっきりしているため、上目遣いなどの視線を追うことができます。相手がどこを見ているのかを認識できることは、お互いが協力して一つのことをする場合、とても大切なコミュニケーション手段になります。
実際に、犬のしつけでも「アイコンタクト」は大切なこととして扱われています。また、飼い主さんと愛犬とが見つめ合うことで、お互いに幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンがたくさん分泌され、母子間のような特別な関係が生まれることもわかっています。犬と人とのコミュニケーションにおいて、視線は重要なツールの一つなのです。
犬を見つめ続けることがNGとなる場合とその理由
視線は大切なツールであるにもかかわらず、「犬をじっと見つめ続けるのは良くない」とか「犬同士では相手と目を合わせないことが正しい礼儀作法」などと聞いたことがある方も多いはずです。なぜ犬を見つめ続けることがNGとなるのか、その理由やその時の犬の心理をご紹介します。
威嚇や敵意と受け止められることがある
確かに、犬同士でお互いの目を見つめ続けるという行動には、相手を警戒したり威嚇したり、またいざとなったら攻撃に転ずることもやぶさかではないぞという気持ちを示す意味が込められています。
そのため、知らない犬や警戒心が強い犬をじっと見つめ続けてしまうと、犬を警戒させたり怖がらせたりしてしまう可能性が高くなります。見知らぬ犬や警戒心の強い犬とのコミュニケーションでは、視線を合わせないようにする、犬の目を見ないように横から近付くといった配慮をすることで、犬への悪い影響を抑えられるでしょう。
混乱させたり不安にさせたりすることがある
たとえ飼い主さんが自分の愛犬に対してであっても、見つめ続けることで犬を混乱させたり不安にさせたりしてしまうことがあります。それは、見つめている飼い主さんの意図が愛犬に伝わらない場合です。
極端な例を挙げると、無表情でなんのリアクションもせずに長時間愛犬のことをじっと見つめ続けたような場合です。犬は飼い主さんの表情からその時の気持ちを読み取ったり、視線を追うことで何をしようとしているのかなどを察知する能力に長けています。
しかし、無表情でなんのリアクションも見せずに見つめられていると、犬は飼い主さんが自分に対してどのような感情で何を望んでいるのかが分からず、不安になったり混乱してしまったりすることがあるのです。
このような事態を避けるためには、愛犬と接する時には常に一貫した態度で、犬に分かりやすく伝えることを心がけるようにしましょう。
犬と見つめ合うことで図れる良いコミュニケーションの例
犬と見つめ合うことで図れる、良いコミュニケーションの例も見てみましょう。
愛情や信頼の気持ちを深めることができる
冒頭でもご紹介したように、ある程度信頼関係が構築できた段階の飼い犬と飼い主さんが見つめ合うことで、お互いの愛情や信頼の気持ちをさらに深めることができます。このことは、実証研究によって科学的にも裏付けされています。
実際に、困った状況に陥った愛犬から助けを求めるような視線を投げかけられ、優しく見つめ返した飼い主さんの視線を受けて、愛犬が安心して落ち着いたといった経験をされた飼い主さんも多いのではないでしょうか。
愛犬との間で意思疎通を図れる
お互いの関係が深まれば深まるほど、視線を使ったコミュニケーションによって意思疎通を図れるようになることがあります。
例えば、愛犬がフードの保管されている棚を見つめた後に視線を飼い主さんに移して上目遣いで見つめた場合、「お腹がすいたよ、ご飯ちょうだい」という要求を表していることがあります。
また、朝、飼い主さんがリビングの椅子に座って玄関の新聞受けの方を見た後、愛犬のことをじっと見つめると、飼い主さんの気持ちを察して新聞受けから新聞を持ってきてくれるようになるかもしれません。
こういったコミュニケーションは、日頃のお互いの関係性や行動から自然と生まれてくるコミュニケーションですので、ご家庭によってそれぞれ独自のパターンがあることでしょう。
まとめ
「犬をじっと見つめる」という同じ行為でも、その時の状況や犬との関係性によって、愛情を深めたり意思疎通を図ったりといったポジティブな影響を与えることにもなれば、相手を怖がらせたり混乱させたりといったネガティブな影響を与えることにもなります。
どんな犬に対しても同じように接するのではなく、その場の状況や個々の犬との関係性を十分に配慮しながら、視線を上手に使って犬とのコミュニケーションを図れるようになると、生活がさらに豊かになることでしょう。
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