クリミア戦争で兵士たちを飢餓から救った『伝説の猫』
クリミア戦争中、占領地に派遣された英国中尉が見つけ、兵舎に連れてきた猫。物資が不足する中で、この猫「Tom」はロシア軍が残した食糧庫まで案内し、人々を餓死の危機から救ってくれました。
ごみの中にいたトラ猫を保護

画像はイメージです
19世紀中旬に、ロシア帝国対フランス・イギリスなどの連合国が戦った「クリミア戦争」。イギリス軍とフランス軍は、1855年9月9日にロシア軍からセヴァストポリ(Sevastopol)を奪取しました。このときWilliam Gair中尉は、副補佐官として野戦列車部に派遣され、街区に残された物資を捜索する部隊のリーダーをつとめていました。
任務中、彼はごみの山の上に座っている汚れきったトラ猫を見つけました。8歳くらいの成猫で、周囲の騒音にも動じずにじっとしています。この戦闘の中で何とか生き延びてきたのでしょう。
彼は猫を抱き上げ、そのまま宿舎に連れ帰りました。そして「Tom」と名づけたのです。のちにこの猫は「Crimean Tom」や「Sevastopol Tom」とも呼ばれるようになりました。
兵士たちを食糧庫へ案内

画像はイメージです
セヴァストポリの街は1年に及ぶ戦闘で疲弊し、食糧などの物資がたいへん不足していました。すぐに兵士たちも日々の食事に事欠くようになってきたのです。ところが兵舎で暮らすTomは徐々に太ってきました。
「この猫はネズミを食べているに違いない。それだけネズミがいるのは、ロシア軍の残した物資を餌にしているからではないか」と考えた将校たちは、Tomの後を追いました。
そして案の定、Tomは港の近くにあるロシア軍の食糧貯蔵庫まで案内してくれたのです。この食糧のお陰で、兵士たちは飢餓を免れることができました。
終戦後、Gair中尉はTomを母国イギリスに連れ帰りました。でも残念なことに、この猫は1856年12月31日に亡くなってしまったのです。
死後は剥製にされ、団体へ寄贈

画像はイメージです
猫の遺体は剥製にされ、英国王立防衛安全保障研究所(Royal United Services Institution)に寄贈されたといわれています。
のちに1950年代になって、ポートベッロ・ロードのフリーマーケットで売られていた猫の剥製が「Tomかもしれない」として、国立陸軍博物館(The National Army Museum)に収められましたが、この剥製が本物のTomかどうかはわかりません。実は19世紀のイギリスでは、愛するペットが亡くなるとその剥製を作ることが多かったからです。
いずれにしても、剥製になった猫は飼い主にとても愛されていたのでしょう。まさにGair中尉に愛されたTomのように。
出典:
・Crimean Tom facts for kids
・Crimean Tom
関連記事
・『新入りの保護猫』がやってきた翌朝、先住猫が…飼い主さん驚愕の『予想外の光景』に感動の声続出「じ〜んとした」「胸が熱くなる」
・猫が真剣にタブレットを見ていると思ったら…暗号文を打ち込む『まさかの姿』が461万表示「ライバル会社に見られるかも…」「報告中?」
・猫から『好かれる人』のタイプ5つ
・『離乳食を食べるのが下手だった子猫』が5年後…立派に成長した『現在の様子』が感動すると反響「大きくなったねー!」「頑張ったんだね」
・猫が飼い主を舐めてくる時の理由とその気持ち