『犬は人間の糖尿病を見抜くことができる』って本当?どのように感知するの?犬が持つ驚きの能力とは

2025-06-08 16:00

低血糖アラート犬という使役犬がいることをご存知でしょうか。よく「人間の糖尿病を見抜ける犬」だと思われているようですが、実は少しニュアンスが異なります。しかし、確かに糖尿病患者に寄り添い、患者さんの命を守るために大切な役割を果たしています。低血糖アラート犬は、どのように糖尿病患者の危険な状態を感知し、どう対処することで患者さんの命を救っているのでしょうか。

犬の優れた感覚器官

犬の鼻のクローズアップ

犬も人も、五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)を使って周囲の情報を察知します。中でも犬の聴覚と嗅覚の精度は非常に高く、人には認識できないような音やニオイを察知することもできます。

私たちは、この犬の特定の能力を強化することで使役犬として育成し、活躍してもらっています。警察犬や麻薬検知犬、動植物検疫探知犬、災害救助犬などは、テレビなどのメディアでもよく取り上げられているため、その活躍する姿を映像で目にされたことがあるかもしれません。

最近では、人の呼気や尿のニオイから病気を察知する仕事を担う使役犬も話題になっています。ガン探知犬や糖尿病患者を支援する低血糖アラート犬などです。今回は、日本ではまだあまり知られていない「低血糖アラート犬」に焦点を当て、その能力や役割についてご紹介したいと思います。

1型糖尿病患者に低血糖アラートが必要な理由

糖尿病の子どもの血糖値をチェックする母親

食事を摂ると血液中のブドウ糖が増えますが、この現象を「血糖値が上がる」と言います。血糖値が上がると、膵臓からインスリンが分泌されて血糖値を下げることで、血糖値が一定の範囲に収まるようにコントロールされています。しかし、インスリンが分泌されない、または効きが悪くなることで血糖値が上がったままになるのが、糖尿病です。

糖尿病には、いくつかの種類があります。中でも多いのが、1型糖尿病と2型糖尿病です。膵臓にあるインスリンを作るβ細胞が壊れてインスリンを作れなくなるのが1型糖尿病で、小児期での発症が多い傾向があります。遺伝や生活習慣の影響でインスリンが出にくくなったり効きが悪くなったりするのが2型糖尿病で、中高年での発症が多くみられます。

1型糖尿病患者の場合、自力でインスリンを作れないため、注射でインスリンを直接補わなければ生きていくことができません。しかし、インスリンの量のコントロールはとても難しいため、低血糖になりやすいという問題があります。

重度の低血糖は命にかかわるため、低血糖になったことを早期に察知して適切な対処を取れるかどうかは、患者さんにとってとても深刻な問題です。そこで、糖尿病患者さんが低血糖になったことを察知して適切な対処を行うようにトレーニングされた低血糖アラート犬に、大きな期待がかかっているのです。

低血糖アラート犬の能力と役割

飼い主を起こそうとする犬

低血糖を検出するメカニズム

血糖値が低くなると、人の呼気には「イソプレン」という揮発性有機化合物の量が2倍になることがわかっています。低血糖アラート犬は、常に1型糖尿病患者に寄り添って暮らすことで、呼気のニオイの変化からこのイソプレンの量が増えたことを感知し、低血糖状態になったことを認識するのだと考えられています。

低血糖アラート犬の役割

低血糖アラート犬は、患者が低血糖状態になったことを感知すると、患者の腕や足をゆするように訓練されています。そして、ゆすった時の患者の反応により、次の行動を変えることで、患者の命を救います。

1) 患者が反応した場合

  • 冷蔵庫を開けて中から糖分を含んでいる飲食物を取り出し、患者の下に運びます。

2) 患者が無反応な場合

  • 吠えることで周囲に助けを求めます
  • 吠えても誰も助けに来ない場合は、電話の受話器を外して「緊急通報用パッド」を叩き救急車を呼びます

低血糖アラート犬の検出感度

残念ながら、訓練された低血糖アラート犬も、患者の低血糖を検知する感度は100%ではありません。しかし、2012年に報告された調査結果では、低血糖の検出感度は97.5%、偽陰性は2.5%とかなりの高確率で検出されています。

1型糖尿病患者が一人暮らしの方であったり、低血糖になったことを自覚しづらいお子さんや高齢者である場合などは、低血糖アラート犬がいることで命が助かることも多いはずです。そして何より、常にそばに低血糖アラート犬がいることで、患者さんが安心して暮らせることも大きい効果だと言えるでしょう。

まとめ

トレーニング中の介助犬

日本ではまだあまり知られていない低血糖アラート犬ですが、1型糖尿病患者の支援を行う認定NPO法人と犬の殺処分ゼロを目指して活動している認定NPO法人が協力して、保護犬を低血糖アラート犬に育成する活動を進めています。日本でも、欧米のように低血糖アラート犬が活躍する時代がやってくることでしょう。

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