インターネットを支える仕組み、そしていまそれが危機に瀕している理由とは

2025-06-10 18:00

ICANNおよびInternet Societyによる新たな報告書は、インターネットガバナンスフォーラムがいかにして安定的かつ安全なインターネットを支えてきたか、そして現在その枠組みがなぜ圧力にさらされているのかを詳述している。

プラハ, 2025年6月11日 /PRNewswire/ -- インターネットガバナンスの将来に関する国際的な議論が活発化する中、長年にわたりインターネットの技術的基盤を支えてきた2つの団体、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)およびInternet Society(ISOC)は、20年以上にわたってインターネットの開放性と稼働性を維持してきた要因である、国境およびセクターを超えた協働的な連携体制の重要性に改めて注目するよう呼びかけています。

本日発表された共同報告書『インターネットガバナンスフォーラムの20年の歩み(Footprints of 20 Years of the Internet Governance Forum』は、政府、技術者、市民社会、そして企業間の協力が、単一で安全かつ世界中からアクセス可能なインターネットの維持にどのように貢献してきたかを明らかにしています。同報告書は、インターネットガバナンスフォーラム(IGF)およびその広範なネットワークを通じて生まれた技術的、政策的、インフラ面での多様な成果を基に構成されています。

「インターネットが一つに保たれてきたのは偶然ではありません。その強靭性は、国境や分野を超えて協力してきた人々と組織の努力の賜物です。」と、ICANNのプレジデント兼CEOであるKurtis Lindqvist氏は述べています。「この報告書は、インターネットの成功が偶然の産物ではなく、綿密に調整された結果であることを強調しています。単一で安全かつ相互運用可能なインターネットを重視するのであれば、それを可能にしたモデルへの再コミットが必要です。」

「過去20年間、IGFはマルチステークホルダーガバナンスが成果を生むことを示してきました。」と、Internet Societyのプレジデント兼CEOであるSally Wentworth氏は述べています。「その影響は、インフラ、セキュリティ、アクセス、政策といった分野に広がっており、従来のガバナンスが十分に機能しない場面でも成果を上げてきました。しかし、これまでに得られた成果は、それらに対して今後も投資を続けるという私たちの意思の強さによってのみ維持されるのです。」

主な調査結果

  • インフラ面での影響
    インターネット上の地域内トラフィックをより効率的に交換できるインターネットエクスチェンジ(IXP)は、過去10年間でアフリカにおいて2倍以上に増加しました。この成長により、通信遅延の削減、サービス品質の向上、そしてプロバイダーにとっての運用コストの削減が実現されています。
  • グローバルリーチ
    現在、非ラテン文字によるドメイン名の登録数は440万件を超えており、アラビア文字、キリル文字、中国語などを使用するコミュニティにおけるデジタルアクセスが大幅に拡大しています。2025年の「ユニバーサルアクセプタンスデー」には、インターネットエコシステム全体における完全な言語機能の実現を促進するため、50を超える国際的なイベントが開催されました。
  • 大規模なインターネットセキュリティ
    現在、トップレベルドメインの93%が、データの真正性を検証することでDNSベースのサイバー攻撃を防止するプロトコルであるドメインネームシステムセキュリティ拡張(DNSSEC)によって保護されています。同時に、世界中で1,000を超えるネットワークが、責任あるルーティング運用を促進し、システム全体の脆弱性を軽減することを目的とした取り組みである相互に合意されたルーティング・セキュリティに向けた合意規範(MANRS)を採用しています。
  • 政策的関与
    現在、世界中で180を超える国別および地域別のインターネットガバナンスフォーラム(NRI)が活動しています。Youth IGFは、国内外の政策対話に新たな視点をもたらしており、IGFのパーラメンタリートラックは、デジタル信頼、権利、包摂に関する立法的な思考の形成に寄与しています。

重要な転換点
同報告書は、世界情報社会サミット(WSIS+20)の20年レビューに先立って発表されており、今後10年間におけるグローバルなデジタル協力のあり方に影響を与えると期待される重要な節目となっています。このような状況を受けて、ICANNおよびISOCは、統一され、安全で開かれたインターネットを支えてきた制度や枠組みに対する再注目を呼びかけています。

抽象的な結論を提示するのではなく、同報告書は実践的かつ世界各地から得られた具体的な事例を中心に構成されています。同報告書は、分散型かつ協調的なガバナンスへの支援が揺らいだ場合に何が危機にさらされるのか、そしてこれまでに何が有効であったのかを示すことで、現在進行中の議論に対して示唆を与えることを目的としています。

レポート前文のダウンロード

ICANNについて
ICANNの使命は、安定した、安全で統一されたグローバルインターネットの確保を支援することです。インターネット接続で他の人に連絡するには、お手元のコンピュータやその他のデバイスにアドレス(名前または数字)を入力する必要があります。その場合のアドレスは、コンピュータがお互いを見つけられる場所を認識できるよう、一意でなければなりません。ICANNは、世界中で、この一意の識別子を世界中で調整し、サポートする活動を行っています。ICANNは、1998年に非営利公益法人として設立され、世界中から参加するコミュニティを総括しています。詳細については、下記のURLをご覧ください:icann.org

Internet Societyについて
1992年にインターネットの先駆者たちによって設立されたInternet Societyは、すべての人にとってインターネットが利用可能であることを目指して活動するグローバルな非営利団体です。この組織は、会員のコミュニティ、特定の利益団体、および世界中の130以上の支部を通じて、インターネットのオープン性、グローバルな接続、および安全性を維持するインターネットポリシー、標準、およびプロトコルを擁護および促進しています。詳細については、下記のURLをご覧ください:Internetsociety.org

Internet Society
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写真 - https://mma.prnasia.com/media2/2706773/Internet_Society.jpg?p=medium600

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