ゲリラ雷雨から身を守る“危険な雲のサイン”とは?【Nスタ・それスタ】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-08-18 19:02

8月はゲリラ雷雨が多発する時期。落雷に突風、人命を脅かすことも。急な雷雨から身を守るための回避術。この夏、絶対に知っておいて欲しい危険な雲のサインを調べて来ました。

【動画】ゲリラ雷雨から身を守る“危険な雲のサイン”とは?【Nスタ・それスタ】

■少年野球チームの練習 保護者らがしきりに気にする「発雷確率」

8月はゲリラ雷雨が最も多発する時期。この夏も各地で激しい雨となりました。

8月9日(土)、「それスタ班」が向かったのは、栃木県宇都宮市内にある運動場。

午後から地元の少年野球チームの練習が行われていました。ベンチには保護者らの姿が。しきりに気にしていたのは「発雷確率」です。

保護者
「きょうは(午後)4時が怪しい」
「音が聞こえたり、雲が黒かったりしたら、早めにアプリでも見て確認して練習を切り上げたり」

今年4月には、奈良市のグラウンドで落雷事故が発生。部活動中の中高生6人が救急搬送されました。

実はここ宇都宮でも練習の前日、資材が吹き飛ばされるほどのゲリラ雷雨が発生。この場所は、運動場とわずか10キロほどしか離れていませんでした。

ゲリラ雷雨から身を守る方法とは?今回それスタ班は、ゲリラ雷雨を徹底追跡しました。

■「予報士泣かせ」ゲリラ雷雨を追う

関東でも危険な暑さとなった8月5日(火)。TBSで天気予報を担当する部署・お天気班では、ある雨雲の動きが気にかかっていました。

河津真人 気象予報士 
「10分前ぐらいからブワッと湧いてきて、もうちょっとこの後、もしかしたら発達するかもしれないです」

注目したのは、栃木県那須塩原市付近に映った赤い点。実はこれ、ゲリラ雷雨をもたらす雨雲だというのです。レーダー上では、1時間に50ミリを超える大雨になるとの予測でした。

早速、「それスタ班」は栃木県那須塩原市へ向かいます。ゲリラ雷雨は本当にやってくるのか。駅前で待つこと30分、すると…

それスタ
「先ほどからぽつぽつと雨が降りはじめています」

予測ではこの20分後に、激しい雨を降らせる雨雲が通過するはずでしたが、一向に雨が強まる気配はありません。実は…

それスタ(TBS・お天気班)
「那須塩原で発生した雲が弱まりつつありますね」

突然、雨雲がしぼみ、消えてしまったのです。

ところが、その2時間後、再び那須塩原市付近にゲリラ雷雨が発生するとの情報が。

それスタ班は雨雲が通過すると予測された地点に先回り。到着したその直後…

それスタ
「先ほどまで晴れていたのですが、突然強い雨が降り始めました」

ついに捉えたゲリラ雷雨。辺りでは強い風も吹き始めました。

このときカメラが捉えたのは、「雨雲」と「晴れ間」の境目。画面左には真っ黒な雲が見えますが、右側は晴れ間が広がっています。

ゲリラ雷雨の最大の特徴は、大雨が局地的に降ることなんです。

大阪市内でゲリラ雷雨を捉えた映像からは、雨が降っている地域とそうでないの所の境目が、はっきりと分かります。

こうしたゲリラ雷雨の雨雲は、1時間もしないうちに消えてしまうことが多いそうで…

河津真人 気象予報士
「(ゲリラ雷雨は)予報士泣かせと言われるくらい。どこかではありそうだなという事が分かっても、実際どの街でゲリラ雷雨になるかは、ほぼ予測ができない(のが現状)」

■積乱雲の一番発達した形「かなとこ雲」 真下はどんな様子?

そもそもゲリラ雷雨の正体とは、夏の空に見られる巨大な積乱雲。「わた雲」と呼ばれる小さな雲が強い上昇気流によって、発達を続けたものです。

この雨雲を知り尽くし長年追い続けている人がいます。写真家の青木豊さん。

雷や嵐などの悪天候を追跡し、その姿をカメラに収める専門家・ストームチェイサーです。

「積乱雲」から発生した雷の写真は気象現象を知る貴重な資料として、研究機関でも活用されています。

8月6日(水)、青木さんは茨城県西部へ向かっていました。実はこの日、関東各地で局地的に激しい雨になるとの予報が。

お昼のニュース
「気温の上昇に伴って、大気の状態が不安定になり…」

そこで、青木さんが遭遇したのは…

写真家・ストームチェイサー 青木豊さん
「正面に見える雲。あれがいま埼玉の雲ですね。こっから見えるんだから相当デカイね。あれ」

巨大な積乱雲は、このとき埼玉の東部を通過し北東へ移動しているところでした。

写真家・ストームチェイサー 青木豊さん
「これは危ない雲です。積乱雲のちょうど一番発達した形ですね。これが『かなとこ雲』」

実は積乱雲は発達できる高さには限界があり、それを超えると雲の上部が横に広がり平らになるというのです。

その姿がまるで、金属を加工する時に使う作業台「かなとこ」に似ていることから「かなとこ雲」と呼ばれています。

発達しきった「かなとこ雲」。実はこのとき「それスタ班」は、お天気班の情報を元にこの「かなとこ雲」のある場所に向かっていました。その真下はどんな様子なのか?

到着して10分後、突然、横殴りの雨に。このとき雨雲レーダーが示していたのは、1時間に50ミリ以上の激しい雨。そして、この雨はわずか40分ほどで過ぎ去っていきました。

■「かなとこ雲」に「横長の雲」に注意「見かけたら身の安全を確保して」

この1時間半後、今度は栃木県宇都宮方面に向かっていた青木さん。すると、不気味な雲に遭遇しました。このアーチ状に連なった横長の雲。

写真家・ストームチェイサー 青木豊さん
「これが通過するとき突風が吹く可能性があります」

積乱雲の下では雷雨だけでなく、激しい突風をともなうことがあるんです。

突風の一つであるダウンバーストを捉えた貴重な映像。不気味な雲の方から、激しい音をたてて風が吹き出しています。

写真家・ストームチェイサー 青木豊さん
「これはもう、強いものだと(風速)50m/s超えるくらいの風が吹くので」

こうした突風が吹き荒れると家屋が倒壊し始めるなど、非常に危険な状態になる可能性もあるというのです。

ゲリラ雷雨を察知する「かなとこ雲」に「横長の雲」。こうした「危険な雲」を見かけたら、雨雲レーダーで進路を確認するなどして、身の安全を確保してほしいと青木さんは話しています。

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