「大変嬉しい決定」備蓄米販売期間を9月延長も…背景に“引き渡し”の遅れ 新米高騰で続くコメ価格の二極化【サンデーモーニング】

小泉進次郎氏は、農林水産大臣への就任以来、備蓄米の大量放出によってコメの価格高騰を落ち着かせようという戦略をとってきました。しかし当初の思惑が外れたのか、政策転換を余儀なくされています。
【写真でみる】備蓄米で市場をジャブジャブにすることで期待された「値下げ効果」は?
備蓄米の販売期限 延長の背景に“引き渡し”の遅れ
22日、コメを販売する大手ドラッグストアを訪ねてみると...
中⻄悠理キャスター
「こちらのドラッグストアでは、レジの近くにお米のコーナーがあって、銘柄米が並んでいる隣に、備蓄米が積まれています」
5キロ1980円の備蓄米。6月の販売開始以降、リピーターの客も増えているといいます。
備蓄米の購入客
「(備蓄米を買うのは)2回目です」
「(購入は)今回で3回目です。赤ちゃんが生まれて、家族が増えたので、家計を考えたらコストを抑えたい」
その備蓄米の販売期限について、これまで農水省は「8月末まで」としてきましたが...
コスモス薬品 森翔一郎 上級エリア⻑
「お客様も『9月以降も販売できるのか』という声をいただきましたので、大変うれしい決定と考えております」
20日、小泉大臣は備蓄米の販売期限の延⻑を発表。9月以降も販売を認めたのです。その理由は...
小泉進次郎 農林水産大臣
「引き渡しが済んでいないもの(備蓄米)が10万トン程度あり、契約した数量を約束通り流通させることが、農水省の責任」
随意契約で放出が決まっていた備蓄米の引き渡しが滞っているといいます。このドラッグストアでも、全店舗で2万トンを申請していましたが...
森 上級エリア⻑
「2万トンを8月末までに売り切る予定だったが、現状30%程度の入荷です」
小泉大臣が力を入れてきた備蓄米放出。なぜ、引き渡しが遅れているのでしょうか。
新米の「値下げ効果」もなく… “二極化”コメ価格の出口は
8月末で、販売を終えるはずだった備蓄米。ところが、契約済みの3分の1にあたる10万トンがいまだ出荷できていないのです。
農水省によれば、遅れの主な要因は、3、4年前に収穫された古い備蓄米の品質確認をする手間です。「メッシュチェック」と呼ばれる、金網に玄米を通す作業。カビが付着して固まったコメなどを除去しますが、この作業が追いついていないといいます。
結果的に、備蓄米の販売期限を延⻑せざるを得なくなった農水省。そもそも、なぜ「8月末」が期限だったのか。当初、小泉大臣はこう話していました。
小泉進次郎 農林水産大臣
「(コメを)ジャブジャブにしていかなきゃいけない。そうじゃなかったら価格は下がらない」
まずは、市場にコメを溢れさせることで、価格を引き下げるという戦略。そのうえで、秋から出回る新米の価格が下がりすぎないようにするため、「8月末」という期限を設定していたのです。しかし、新米が出回り始めた今、現状の価格はというと...
山菊米穀店 雨間瑞秀さん
「これが(令和)7年産の新米。去年よりは結構高いですね」
去年より1200円値上がりし、5キロで5000円に迫る銘柄も。新米を含む銘柄米の平均価格は、4239円と高止まり(8月4日~8月10日)。備蓄米で市場をジャブジャブにすることで期待された「値下げ効果」は、みてとれません。
そんな中、備蓄米の販売期限の延長という政策転換。小泉大臣の思惑は外れたのでしょうか。
小泉 農水相
「もともと8月末までのものなので、これで『随意契約の備蓄米はやめます』と言ったら、さらなる高騰のトリガー(引き金)を引いてしまう」
備蓄米と銘柄米、しばらくは選択肢が残された形。
備蓄米を購入したお客さん
「(備蓄米は)値段も魅力だし、(販売)期限までは、もしあれば買おうかな」
新米を購入予定のお客さん
「次は新米にしようと思って、やっぱりコメおいしい方がいいじゃないですか」
価格が二極化する中、いずれは底をつく備蓄米。コメ騒動に出口はあるのでしょうか。