前年比約1000円上昇の見通しも…新米価格を徹底リサーチ! 令和のコメ騒動はいつまで続く?【Nスタ解説】
猛暑や水不足などを乗り越え、店頭に並び始めまたぴかぴかの新米。気になる価格をスーパーや道の駅などで調べてきました。
前年比“新米約1000円上昇”
井上貴博キャスター:
2025年はコメ不足や備蓄米の放出など、コメに関していろいろとありましたが、今後お米の価格はどうなるのでしょうか。
2025年の新米について、▼新米の価格は?▼今夏の猛暑や水不足で、新米の味は?▼いつまで続く?令和の米騒動、と3つのポイントに絞ってみました。
【新米の価格は?】
スーパー激戦区・足立区の新米価格を10店舗調査しました。
最安値:4079円
最高値:5530円
2024年産銘柄米の最安値:4320円
各スーパー見てみると、2025年の新米、2024年の銘柄米、2024年のブレンド米、大体この3つの価格帯に分かれたものが置かれている印象でした。
今年の新米価格の見通しは、5キロ4200~4500円。2024年の新米と比べ、約1000円上昇しています。
価格上昇の理由としては、▼水不足などで不作への不安が高まり、獲得競争が進み、相場を全体的に押し上げている状況です。また、▼概算金が8月以降さらに上昇しているということです。
消費者からすると「もっと安くしてほしい」。しかし生産者からすると「安くなりすぎると生業がきつい」という状況です。
そういった中で、政府はなかなか口にはしませんが、価格はどのくらいが落としどころなのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
当初は3000円台後半程度でしたが、全体として押し上げられています。生産者からすると、人件費や輸送費なども上がっているので、これで少し一息ついているところですね。
新米の味は大丈夫? 道の駅は「安さだけでなく出会いのチャンス」
井上キャスター:
適正価格がなかなか見えない中で、政府は価格を下げるということで、備蓄米を放出しました。しかし、備蓄米の価格は低かったが、銘柄米や新米の価格は高止まりで変わっていない。そういう不満を持つ人もいるかと思います。
安く購入する方法として、流通経済研究所の折笠俊輔主席研究員は「直売所はお得に購入できる。他にも楽しみ方があります」と話しています。
関東の米どころ・千葉県にある「道の駅」29か所を調査したところ、23か所で新米をすでに販売していました。コメ5キロあたりの最安値が3900円、最高値は5750円でした。
スーパーの価格を考えると、安いものは道の駅にありそうです。一方で、高級なものもあるので、スーパーよりも価格幅があるのが道の駅だと感じました。
また、流通経済研究所の折笠さんは、道の駅で買うことで、価格が安いだけではなく、「まだ知名度はないけど、実は味は美味しい地域の銘柄米を発掘できます」と話します。
農家の考え方としては、全国的な知名度はまだないが、美味しいのは間違いない。そこで、まずは道の駅で試し、評判が良ければ全国に流通させようというのがあります。例えば、北海道の「ななつぼし」は道の駅からデビューしました。
つまり、道の駅では安さだけではなく、まだ知らないものに出会うチャンスがあるかもしれないということでした。
【新米の味は?】
今年の新米の出来についても調査してみました。猛暑や水不足、カメムシなどの影響で、流通経済研究所の折笠主席研究員によると、収穫量は2024年よりも約3~5%が減少する見通しです。
既に2025年の新米3品種を食べたという、五つ星お米マイスターの小池精米店・小池理雄さんは、新米の味を「高温障害の影響なのか、もっちり感が少ないかなと感じる品種もあったが、ほとんどは例年通り美味しいです」ということでした。
品種改良も行っている中であっても、少なからず高温障害の影響が出ているものもあるかもしれません。
「手取り政策が進まないことがコメ政策にも影を落としている」
【いつまで続く?令和のコメ騒動】
政府は、需要量と供給量を見誤っていました。そのため、米不足で価格が高騰し、政府は増産に舵を切りました。
見誤っていたデータを、今後どのようにして構築していくのか。課題としては、2つあります。
▼作況指数などを廃止した中で、正確な需給見通しの把握
▼増産しても「価格が急落しない」という生産者へのメッセージの発信
この状況をどう見ていますか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
市場原理で、価格が上がれば作る人が増えます。価格が上がった段階で、それによって増産した段階をどうキープするか。
これは、逆にコメ離れが起きたら困るので、手取りを増やす政策をしていかないといけないと思います。手取りが減れば、高いコメに手が届きません。
なので、本来は給付金やガゾリン税も含めた減税をやらなくてはいけませんが、残念ながら国会は今、夏休みが長く続いており、一向に手取りを増やす政策が進まない。こういった点が、実はコメ政策にも影を落としているのだと思います。
井上キャスター:
自民党としては、これまで減反政策を続けてきましたので、いきなり増やせと言われてもなかなか増やせない。本当に増やしていくとしたら、増えるのはいつ頃になるのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星さん:
コメはいきなり作ることはできませんから、増産体制を作っても実際に増えてくるのは2、3年後ですよね。
まず田んぼをきちんと整備しなければいけない。おそらく、その辺は補助事業みたいなことを展開していくと思います。
出水麻衣キャスター:
備蓄米をたくさん放出していますので、それを補填できるのか。何かあったときの担保としては欲しいと思います。
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〈プロフィール〉
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年