女子競歩界初のメダリストとなった藤井菜々子 引退する岡田久美子の背中を追って成長し競歩新時代へ【東京2025世界陸上】

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2025-09-22 06:03
女子競歩界初のメダリストとなった藤井菜々子 引退する岡田久美子の背中を追って成長し競歩新時代へ【東京2025世界陸上】

大会8日目(9月20日)の女子20km競歩で、女子競歩の歴史が塗り替えられた。藤井菜々子(26、エディオン)が1時間26分18秒の日本新記録で3位。五輪を含めても女子競歩初のメダルを獲得した。藤井にとって嬉しかったのは、今大会で代表レースを退くことを表明していた岡田久美子(33、富士通)と一緒に歩いたこと。岡田は藤井が今年2月に更新する前の日本記録保持者で、世界陸上6大会連続代表と女子競歩を牽引してきた。藤井も岡田の背中を追いかけ成長したことで、女子競歩初の快挙を達成した。

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岡田の首に銅メダルをかけた理由は?

岡田が18位(1時間30分12秒)でフィニッシュすると、藤井が歩み寄った。今大会は競技終了直後にメダルが渡されるが(※メダルは名前を刻印してメダルセレモニーで再び渡される)、藤井は自身が受け取ったばかりの銅メダルを岡田の首にかけた。岡田は「もう言葉が出なかったですね」とむせび泣いた。

藤井はそのときの気持ちを次のように話す。

「岡田さんはずっと第一人者で、私がドーハ世界陸上(岡田が6位、藤井が7位入賞)からずっと代表として一緒に歩いて、練習や生活も全て見させていただいて、ここまで成長させてもらいました。今日が最後の世界陸上とうかがっていたので、私も感慨深くて。ちょっと悲しい気持ちもあるのですが、噛みしめて歩きます、とスタート前に伝えさせていただきました。(メダルをかけたら)泣きながらおめでとうと言ってくださって…最後に恩返しが少しできたかな、と思います」

2人の関係は藤井の高校時代に遡る。長距離から競歩に転身した藤井は、高校2年時(16年)の国体(現国民スポーツ大会)で初めて岡田と一緒に歩いた。その年の女子5000m競歩は他の種目と違って年齢区分がなく、成年と少年が一緒に出場できた。リオ五輪代表だった岡田が快勝し、藤井は約50秒差で2位だった。

それから数多のレースを一緒に歩いてきた。藤井が初めて岡田に勝ったのは、21年2月の日本選手権20km競歩。合宿では藤井が前を歩いたこともあったが、そのレースの15km地点で藤井が初めて岡田の前に出た。そのときのことを岡田は、「キターっ」と感じたと、レース後の取材に答えている。岡田29歳、藤井21歳のときだった。その後は同年の東京五輪、22年のオレゴン世界陸上と、国際大会でも藤井が先着するようになった。

長距離強豪高校から誕生する競歩選手

藤井が競歩を始めたのは福岡県の北九州市立高校時代で、長距離から転向し、3年時の世代別大会では勝ち続けた。「実業団に進んだ方が世界に早く近づける」と、18年にエディオンに入社。同年のU20世界陸上10000m競歩は4位に入賞した。

今大会でも競歩種目の解説者を務めた栁澤哲氏は、女子競歩が強くなった要因として、「駅伝の強豪校か競歩の選手育成においても、長距離のノウハウを生かしたことが大きい」と指摘する。

距離を踏むべき時期にはしっかりと距離を歩き、フィジカルトレーニングや動きづくりも重視する。何より休養や栄養など日常生活をしっかり行う。01年にインターハイで競歩種目が行われるようになり、高校指導者たちも競歩の強化方法を学習し始めた。

しかし競歩の技術は、専門指導者でないと教えられない部分が多い。そこは競歩界全体でカバーした。有望選手の高校時代から、あるいは高校卒業後から、所属チームの垣根を越えて競歩の専門コーチが指導をした。

男子の競歩界初メダルは、15年北京世界陸上50km競歩の谷井孝行(現日本陸連強化委員会競歩シニアディレクター)の銅メダルだった。10年の違いが生じたが、女子競歩もメダルを取るレベルに成長した。

金メダルにも意欲を見せる藤井

谷井の初メダルから4年、19年ドーハ世界陸上50km競歩で鈴木雄介が、競歩界初の金メダリストとなった。その後の五輪&世界陸上でも、男子競歩はメダルを取り続けている。選手層の厚さが男子より薄いので、女子にもそんな時代が来るのだろうか。

選手層が男子よりも薄いのは事実で、簡単に事は運ばないかもしれない。だが藤井は「金メダル」に意欲を見せている。

「男子がずっとメダルを取り続けているのになんで女子は弱いの、みたいなことを他国の選手にも言われて、責任を感じてきました。岡田さんと『必ずメダルを取ろう』と何度も話してきましたね。合宿の取材のときなどメディアの方たちも、男子がメインで女子はサブ、みたいなところがあって、私たちも男子のようにならないといけないね、と。その岡田さんと、おそらく最後の一緒のレースで、メダルを取れたことに大きな意味があります。金メダルへの次の一歩を踏み出せたかな」

藤井が岡田と一緒に歩いた最初の大会は、前述のように高校2年時の国体だった。そのレースで優勝した岡田は、2位以下の選手をたちのフィニッシュを待って声をかけていた。藤井も「お疲れさま。(高校生なのに)すごいじゃん」と声をかけられた。それから9年。藤井が銅メダルを岡田の首にかけ、女子競歩の新たな時代がスタートした。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

※トップの写真は左から岡田選手、藤井選手、柳井選手

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