チャーリー・カーク氏 銃撃事件が生んだ… 「近代アメリカ史で最悪」の圧力と分断…急変するアメリカ社会【報道特集】

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2025-09-27 21:14
チャーリー・カーク氏 銃撃事件が生んだ… 「近代アメリカ史で最悪」の圧力と分断…急変するアメリカ社会【報道特集】

アメリカの保守活動家、チャーリー・カーク氏。銃撃され死亡した事件以降、トランプ政権によるメディアや批判する人への圧力が強まり、さらに分断も進んでいます。アメリカ社会の現状を取材しました。

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チャーリー・カーク氏の追悼式 トランプ氏「敵対者が憎い」分断煽る

歩き続ける人々の奥には渋滞した車列が続いている。歩き疲れたのか、ハイヒールを手に持ち、裸足で歩く人も。目的は巨大なスタジアムで行われる「チャーリー・カーク氏の追悼式」だ。

カーク氏は9月10日に銃撃され死亡。トランプ大統領に近い保守系の政治活動家だ。

村瀬健介キャスター
「ずっと向こうまで行列が並んでいます。さらに、続々と会場に向かう人々が集まってきているのがわかります」

ある男性は800キロ以上離れた町からやってきたという。

村瀬キャスター「飛行機で来たんですか」
男性「いいえ、車で来ました」

村瀬キャスター「どのくらいかかりましたか」
男性「12時間です。過酷でしたが、なんとか着きました」

高校を卒業したばかりの若者の姿もあった。

若い男性
「チャーリー・カーク氏の功績を称えるために来ました。私たちの世代を誰よりも代弁してくれました」

会場のスタジアムは最大7万人以上収容できるが入りきらず、近くに別の会場も用意されていた。

追悼式ではトランプ政権の閣僚らが次々とスピーチし、カーク氏を称えた。会場にはトランプ氏とイーロンマスク氏の姿もあった。

幼い2人の子どもとともに残されたカーク氏の妻・エリカさん。涙ながらにこう訴えた。

カーク氏の妻 エリカさん
「彼(容疑者)を許します。憎しみを憎しみで返してはいけない。愛で応えないといけません」

分断に歯止めをかけるような言葉だったが、トランプ氏は…

トランプ大統領
「過激な左派は非常に危険なことをする。私は敵対者が憎いし、彼らのためになることなど望んでいない。

エリカ、申し訳ないね。エリカやいろんな人が、私に敵の味方をするよう説得するかもしれないが、私は彼らには耐えられない」

「カーク氏のヘイト、もう耐えられない」22歳の容疑者が送ったメッセージ

響き渡る銃声と逃げる人々。カーク氏は10日昼ごろ、学生向けのイベントで講演していたところ、銃撃された。

事件現場となったユタ州の大学に向かった。カーク氏が倒れる瞬間を目撃した学生は…

事件を目撃した学生
「銃声を聞いて、すぐ後ろの建物に逃げ込みました。ひどい光景で、かなり怖かったです。振り返ったとき、チャーリーが倒れていくのが見えました」

事件を目撃した学生
「予期せぬ状況で、とてもショックでした。暴力に訴えるのは正しくありません。とても悲しいことです」

訴追されたのは、同じユタ州に住むタイラー・ロビンソン容疑者(22)。銃撃後、交際相手に対し「カーク氏のヘイトにはもう耐えられない」というメッセージを送っていたという。

ロビンソン容疑者は、1週間ほど前から犯行を計画していたということで、検察は死刑を求刑する方針だ。

“私を論破してみろ”チャーリー・カーク氏とは?

チャーリー・カーク氏
「より良い人生を送りたいなら、できるだけ若いうちに結婚し、多くの子どもを持つべきだ。以上」

31歳だったカーク氏。27日午後3時時点で、インスタグラムでは1300万以上など、SNSで多くのフォロワーがいる。

18歳のときに設立した保守系団体「Turning Point USA」の本部の前では…

村瀬キャスター
「今や聖地のような場所になっています。チャーリー・カーク氏の肖像も飾られていて、花で埋め尽くされています」

十字架をかたどったボードには、メッセージが側面までびっしりと書き込まれていた。

キリスト教福音派だったカーク氏。福音派は人口の4分の1を占め、アメリカ最大の宗教勢力ともいわれる。聖書の言葉に忠実で、中絶や同性愛などに反対する人も多い。

支持者の男性
「チャーリーは道徳的な面で聖書を羅針盤にしていました。チャーリーは彼個人の意見ではなく、神の真理に従っていたのです」

カーク氏は各地の大学でイベントを開き、学生からの質問に答える様子を、SNSなどで発信してきた。

カーク氏「君は保守?リベラル?」
学生「リベラルだね」

チャーリー・カーク氏
「どうしてそう思うようになったか教えて。君たちをいじめたいのではなく、導くために来たんだ。議論を仕掛けられたら応じるけど」

テントには“私を論破してみろ”と書かれている。

人工妊娠中絶で多くの命が失われているとして、ナチスによるユダヤ人虐殺を引き合いに出したことも…

チャーリー・カーク氏
「望まれていないからと言って、大量の命を消し去ることは決して正当化できない。そうしてアウシュビッツ、20世紀最大の恐怖が生まれ、ユダヤ人は『望まれていない』とされたんだ」

学生「中絶はホロコーストだと?」
カーク氏「その通り。実際それよりも悪い」
学生「間違ってる」

「LGBTを受け入れるべきでないのはなぜか」と聞いた学生には…

チャーリー・カーク氏
「自分がトランスジェンダーだと考える人がいることは否定しない。自分は実際より若い、背が高い、金持ちだと思う人もいる。この世には妄想にとらわれた人が大勢いる。妄想にはNO、現実にはYESと言うのが社会の役目だ」

リベラルな考えの学生たちを“論破”することでも支持を得てきたカーク氏。

トランプ氏とはどのような関係だったのか。

アメリカ政治に詳しい 明海大学 小谷哲男 教授
「2016年、トランプ氏が初めて大統領選挙に出たとき、カーク氏はトランプ氏を『本当の保守ではない』と警戒していた。しかし、トランプ氏が当選して以降、急速に政権との距離が近くなった。

2024年(大統領選挙)では、とりわけ若者の保守票の掘り起こしに貢献したと言われている。カーク氏が住んでいたアリゾナ州は激戦州の一つで、カーク氏の貢献によってアリゾナ州でもトランプ氏が勝てたという評価がある」

カーク氏は、大学で学生たちと議論している最中に銃撃され、命を落とした。

ニャシャ・パラザイさん(29)
「彼はあの舗装された場所にテントを張っていました。私がいたのは、芝生との切れ目のところです」

至近距離で事件を目撃した留学生のニャシャ・パラザイさん(29)。アフリカのジンバブエ出身だ。カーク氏に質問する列に並んでいたという。

ニャシャ・パラザイさん(29)
「特に同意できない点を問い質そうと思いました」

ニャシャさんが聞きたかったのは、カーク氏自身の番組での発言についてだ。

チャーリー・カーク氏(2024年1月配信「The Charlie Kirk Show」のrumbleより)
「申し訳ないが、黒人パイロットを見ると、資格を持ってるのかなと思う」

この発言は、多様性などを尊重する社会を目指す取り組みを批判したものだが、人種差別的などとして批判が上がった。

黒人で、パイロットの勉強をしているニャシャさん。カーク氏の死後、深まる分断に強い危惧を抱いている。

ニャシャ・パラザイさん(29)
「飛行機が飛ぶには左右の翼が必要です。この国は、いろんな意見を持つ人たちで築かれてきました。同意できないことについて、知的に言葉で闘うのはいいですが、暴力を肯定する人たちは絶対に受け入れられません。カーク氏の死が緊張を高めるのではなく、鎮めることに繋がってほしいと願っています」

トランプ政権は左派へ圧力強化 企業からの解雇・停職も相次ぐ

しかし、トランプ氏は事件直後から容疑者を「左派」と決めつけ、攻撃的な主張を繰り返してきた。

トランプ大統領
「暴力の大部分は左派によるものだ。司法省は組織的に資金援助し、政治的暴力を実行する過激な左派のネットワークを調べている」

左派への圧力強化の一環として、反ファシズムを掲げる「アンティファ」を「国内テロ組織」に指定する大統領令に署名した。

しかし、「アンティファ」は明確な組織やリーダーを持たない運動とされ、アメリカメディアは「具体的にどんな組織や個人が対象になるかなどは不明だ」と伝えている。

企業から解雇される人も出始めている。

バンス副大統領
「チャーリーの殺害を祝う人を見たら非難し、雇用主に連絡を」

バンス副大統領らの呼びかけもあり、SNS上でチャーリー氏の言動に批判的な人たちの勤務先を見つけ出そうとする動きが拡大。大学教員、政治評論家などが相次いで解雇または停職処分を受けた。

元ワシントン・ポスト コラムニスト カレン・アティア氏
「11年間も働いてきましたが、事前に相談も何もなく解雇されてしまったので、すごく辛いです」

アメリカを代表する有力紙「ワシントン・ポスト」のコラムニスト、カレン・アティア氏が報道特集の取材に応じた。

人種差別などをテーマに記事を執筆し、全米黒人ジャーナリスト最優秀賞を受賞。ワシントン・ポストでは黒人記者の退職が続いていて、在籍する最後の黒人コラムニストだった。

解雇の理由は、アティア氏がSNSに「暴力を煽った白人男性に対して、大げさな哀悼を示さないことは暴力ではない」と投稿したことだった。

アティア氏は「カーク氏のことを言ったつもりはない」というが、弁解の余地すら与えられないまま職場を去ることになった。

解雇通知書に記された言葉にも大きなショックを受けたという。

ワシントン・ポスト解雇通知書
「組織の信頼性を損ない、更に当社スタッフの身体的安全を脅かすものです」

元ワシントン・ポスト コラムニスト カレン・アティア氏
「ワシントン・ポストは一体どうなってしまったのでしょうか。私の知っているメディアではなくなってしまいました。

解雇通知はジャーナリストにとって悪い前例になると思います。白人について批判するなという意味が込められているのです」

山本恵里伽キャスター
「今の極端なアメリカの状況を、どう受け止めていますか」

元ワシントン・ポスト コラムニスト カレン・アティア氏
「報道の自由に対する攻撃は、第1次トランプ政権になってから始まり、この数年間強まっていく雰囲気がありました。

そして今、私たちが直面しているのは、大きな恐怖を感じたメディアがトランプ政権に迎合することです。政権が批判的なメディアを黙らせようとする困難な状況だからこそ、真実を語ることが、かつてないほど重要なのです」

司会者の発言で番組が一時休止も… 批判的メディアにかつてない弾圧

アメリカで20年以上暮らすジャーナリストの津山恵子さんは、これまでにない言論弾圧が起きていると訴える。

日下部正樹キャスター
「今のアメリカの状況をどう捉えていますか?」

米在住ジャーナリスト 津山恵子氏
「近代アメリカ史の中で、いまメディアの状況は、権力に最大そして最悪の攻撃を受けている状況」

津山さんが特に衝撃を受けたのは、ABCテレビの人気司会者ジミー・キンメル氏が、カーク氏の殺害事件を巡るこの発言で、番組が一時休止に追い込まれたことだ。

ジミー・キンメル氏(15日)
「MAGA派(トランプ支持者)は容疑者を自分たちの仲間ではないことにしようと必死。事件から政治的利益を得ようとしている」

米在住ジャーナリスト 津山恵子氏
「キンメル氏の発言は違法行為に値していないにもかかわらず、政権を批判した、トランプ氏の名前も言っていない。(連邦通信委員会は)放送免許の停止をちらつかせ圧力をかけ、ABCテレビが番組を一旦停止する決断に至ったのは本当に驚き。言論の弾圧に屈した近代アメリカ史の最初の例になった」

言論の自由を守ると声を上げた人たちの力もあり、番組は6日後に再開された。その日の放送でキンメル氏は…

ジミー・キンメル氏(23日)
「テレビで何を言って良いのか悪いのかを、政府がコントロールすることは許されない」

だが、番組再開が決まった後もトランプ氏は強い不快感を示し、訴訟を起こす可能性さえ示唆した。

トランプ大統領のSNS
「フェイクニュースのABCがジミー・キンメルを復活させたのは信じられない。ジミー・キンメルは低い視聴率のまま腐ってしまえば良い」

津山さんは「政権に批判的なメディアに対する圧力が、かつてないほど強まっている」と話す。

米在住ジャーナリスト 津山恵子氏
「非常に危険な状況。外堀が埋まってきている危機感はすごく感じている。私も含めたフリーランスの記者はニューヨークにもたくさんいますが、大きな企業といった後ろ盾がないので、警察に不当に逮捕されたり、海外からの記者の場合、一時帰国をして帰ってくる時にソーシャルメディアで発言していたことを材料に、アメリカに入国できなくなるのではと非常に懸念している」

カーク氏の死を祝った人も…銃撃事件が生んだ“アメリカの分断”

銃撃事件の場に居合わせたアメリカの学生たちは、今のアメリカ社会をどう見ているのか。

事件現場にいたティアナ・ラオさん
「(事件後)間違いなく大きな分断を生みました。共和党にも民主党にもがっかりしています。彼の死を祝っていた友人もいます。悲しいです」

トランプ政権の対応について、批判的な意見を持つ学生もいた。

事件現場にいたアレクシス・サンチェスさん
「今回のことで、政権側にチャーリーを利用する機会を与えてしまった。チャーリーがかわいそうです。反対勢力に対して、より攻撃的になり始めている。例えば『政府に批判的なことは言ってはいけない』『もう居場所はない』といったように。

チャーリーのことを気の毒に思うというより、自分たちのプロパガンダや思想を押しつける手段にしているのは確かです」

村瀬キャスター
「アメリカは今、正しい方向に向かっていると思いますか」

事件現場にいたアレクシス・サンチェスさん
「いいえ。残念なことに、今にも人々はアメリカから離れていくでしょう」

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