「学びは寄り道…子どもから教わる“遊more”」タレント・つるの剛士氏が描く2030年【Style2030】

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2025-09-28 11:00
「学びは寄り道…子どもから教わる“遊more”」タレント・つるの剛士氏が描く2030年【Style2030】

本日の賢者は、タレントのつるの剛士氏です。21歳から9歳までの5人のお子さんのお父さんであり、45歳から2年間短期大学に通い、幼稚園教諭免許と保育士資格を取得されました。その後、大学に進み、子どもの心理学を学び、2025年3月に卒業。現在は非常勤の幼稚園教諭としても活躍されています。つるのさんがSDGsの視点から2030年を見据えた新たな価値観と生き方のヒントを語ります。

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つるの剛士が考えるSDGsとは 「ワード化は心がムズムズする」

――早速ですが、つるのさん、SDGsとは何だと思いますか?

つるの剛士氏: 
普段の生活の中で将来のことを考えて行動することはありますが、SDGsという言葉が最近使われ始めたことで、自然にやっていたことがワード化されると、少しこそばゆい感覚になります。例えば、昔「イクメン」と言われたことがありますが、今では死語になってほしいと思っていました。ワードが消えて、お父さんが当たり前に子育てをする社会が本当のイクメンの時代だと考えていました。ワードが出てくるというのは世の中で必要だから出てくるのはわかる。宿題しようと思っていたのに親から「宿題しなさい」といわれて「わかってるよ」というこそばゆさがある。SDGsも同じで、例えばゴミ拾いをしても「SDGsだね」と言われると、別にそんなつもりでやっているわけじゃない、という感覚があります。

近頃のワード化“ワーク・ライフ・バランス”

――当たり前のことをわざわざ言葉で表現しなければならないのは、ちょっと厳しい時代なのかなと感じます。

つるの剛士氏: 
ワーク・ライフ・バランスもそうです。神奈川県藤沢市に住んでいますが、1時間半かけて仕事に行き、帰ったらサーフィンや釣りを楽しむ。仕事したくなったらまた東京に行く。これが自然なワーク・ライフ・バランスだと思うのですが、そう言われると少し恥ずかしくなります。この感覚は一体なんていうワードなんですかね。

――この番組では、ゲストの方に「私のStyle2030」と題し、SDGs17の目標の中からテーマを選んでいただいております。つるのさん、まずは何番でしょうか。

つるの剛士氏: 
8番の「働きがいも経済成長も」です。ぴったり当てはまるものはないのですが、やってみて考えていく中で、これが近いかなと思います。

――では、つるのさんが選んだSDGs8番「働きがいも経済成長も」の実現に向けた提言をお願いします。

つるの剛士氏:
人生は寄り道。

「目標」以外のことが、人生の影響大

――88歳ぐらいの方が言うと「そうだよな」ということをまだ50歳のつるのさんがいう。

つるの剛士氏:
幼稚園の頃から、絶対に芸能界に入って有名になるという夢を持ち「ウルトラマンにも変身しちゃうぞ」と思っていてそれが叶った。目標を定めたこともあったが、目標ではないことの方が大きかった。お馬鹿タレントやアイドルになるなんて夢にも思っていませんでした。だから、あまり自分を決めすぎないのが楽しい。最近、そういうことを思い出してきました。短大や大学に通うことも、ある意味寄り道でした。こっちに行ってみたらどうかな、と思ってやってみたんです。

短大・大学へ“寄り道”をしてみた

――専門的なことを学びたいと思っても、実際に行動する人は少ないです。短大や大学に進んだのは簡単な決断ではなかったですよね?

つるの剛士氏:
本当は、独学で保育士資格を取ろうとしました。テキストをAmazonで取り寄せて勉強しようとTwitterでつぶやいたら、「高卒だと資格試験を受けられない」とコメントで言われました。ある時期から大卒じゃないと受験資格がないと後で知ってショックでした。そのことをTwitterで吐露したら、保育士や幼稚園の先生たちからも「簡単に取れると思うな」と叱られました。子どもたちを預かってきた中で先生たちに感謝していたし、応援してきたつもりだったので、怒られるとは思わず、びっくりしました。こんなに志や熱意があるのにまさか現場の人たちから怒られるなんてと。でも、そこで奮起して「正規のルートで短大に入る」と決心をしました。

――そこで諦めずに行動したのはすごいですね。

つるの剛士氏:
いや、めげるわけにはいかない。やるでしょう。

キャンパスライフが楽しすぎた!

――学校生活はどうでしたか?

つるの剛士氏:
学校生活も楽しかった。初めてのキャンパスライフで、学生証をぶら下げて電車に乗ったり、自分で弁当を作ったり。弁当を開くと、みんなが「すごいね」「自分で作ったの?」と褒めてくれる。あと女の子たちがお菓子を分けてくれるんです。「つるちゃん、これいる?」なんていわれて、帰り道いつもカバンの中がお菓子だらけになった。学生たちと話しながら電車に乗るのが楽しくて、新鮮でした。

短大ではどんな勉強をした?

――学びの面ではどんな経験がありましたか?

つるの剛士氏:
子どもを幼稚園や保育園に預けていたので、先生たちの大変さは知っていて、感謝の気持ちは持っていた。実際に勉強してみると、多岐にわたるジャンルを学んで資格と免許を取る大変さに驚きました。だから最初にTwitterで呟いたときのお叱りはなるほどなと思った。保育士は「子どもと遊んでるだけ」と言われがちですが、小学校みたいに教科の時間割があるわけじゃないが、遊びの中に言語、表現、人間関係など、5つの領域を計算して取り入れる教育要領があるんです。遊びの中に計算しているということも初めて知った。教育実習で、落ち葉を掃除しようとしたら、先生から「ありがとうございます、助かります」と言われつつも「子どもたちの遊び道具だからほっといてください」と言われ、「これか保育は!」と思った。季節を感じる環境が、5領域のひとつの「季節」の学びに繋がる。保育は深いなと。

――5人の子育てをしていても、保育士の勉強をしたら、視点が変わりましたか?

つるの剛士氏:
視点は全く変わりました。子どもには自然に育つ力がある。子どもだから大人が何かしなくてはいけないというのではなく、それを見守ることが大事だと学びました。

大学の「こども心理学部」へ

――資格取得後、さらに大学で子どもの心理学を学ぼうと思ったきっかけは何でしたか?

つるの剛士氏:
資格と免許を取って嬉しかった反面、目標を失って、燃え尽き症候群のような気持ちになりました。この後どうしようかと考え、こども心理学を学べる大学があったので、行けるかもしれないから軽い気持ちで行ってみようと思いました。蓋を開けたら全くわからない世界で、勉強するつもりじゃなかった。思っていたことと違っていた。しかし、やってみると面白くてはまってしまいました。だから「寄り道」です。

ミッドライフ・クライシス(中年の危機)に陥った

――どんな部分にはまったのですか?

つるの剛士氏:
40代後半で「ミッドライフ・クライシス(中年危機)」に直面しました。それまでネガティブなんて知らない、まっすぐどこまでもポジティブだった私が、47歳ぐらいの時に陥って、ネガティブになりました。コロナ禍で、テレビや芸能界の在り方も変わった。テレビというものに夢を持っていて、そこでしか仕事をしてこなかった。そしてネットやYouTube、若い人の台頭で、それまでの芸能界の価値観がガラッと変わった。その中で「自分って何なんだろう」とぶち当たった。そしたらすごくネガティブになって、もう一人の自分が出てきて「お前、ネガティブじゃん」って声かけてくる。それで結構落ち込んだ。

――寝る前に思い出すとか?

つるの剛士氏:
寝れなかったです。1時間で目が覚めて。それで妻に心配され、いろんなこと話したら涙が出てきた。そんな姿を見たことがない妻が内緒で、医者に相談していた。そしたら軽い鬱状態かもしれないと言われ漢方薬を出された。そのときに「お疲れ様、大丈夫ですよ」といったメッセージが書かれていて、また泣いた。結局その薬は飲みませんでしたが、心理学を学ぶ中で、「中年危機」が出てきた。学問になっていて、みんな経験しているし、誰かが解いてると思ったら、またどっぷり入ってしまった。それが分析心理学といって、ユングとかの世界。

学問ってすごい!“中年の危機”の理由が心理学の中にあった!

つるの剛士氏:
人間ってやっぱり生きてる中で、意識してる部分と、無意識の潜在意識の部分があって、これがちょうど今の年代になってくると、自我と潜在意識、いわゆる「自己(セルフ)」を認めて、今までの自分も、ありのままの自分でいい、これからそれをプラスしてどういう生き方をしていくのかという提示を受ける年代だ…みたいなことがもろに書いてあった。
これだ!と思ってそれでまた嬉し涙が出てきた。心理学というか学問すごい!と思った。
誰かがエビデンスとして実験してくれたり、自分の経験で苦しい思いをして、誰かがこれを助けようと思って学問にしてくれていることがあったんだと思った。「本当に学問っていいな」と単純だと思ったが、知っているだけでも安心した。これ僕だけじゃなくて、同じ年代のスタッフさんとご飯食べながらこんな話したら同じ悩みを持つスタッフと話すと、「実は私も」と何人かに共感され、これは僕だけじゃない。学問が誰かの苦しみを助けるためにあると実感し、大学に行ってよかったと思い、学ぶことで誰かを楽にできると気づきました。

大人になってからの「学び」とは

――私も50歳で大学院に行きましたが、政治記者として永田町の事象を外から説明できなかった。今思えば「クライシス」だったかも。その経験から学び直し、世界が100倍広がりました。大人になってからの学びは、人生の意味づけになりますよね。

つるの剛士氏:
若い時の学びは未来の準備ですが、大人の学びは経験の点を繋げ、点と点が繋がり、線になり、立体感が得て解像度を上げる感覚です。それが大人になって実際に学んでよかったと思うこと。

――SDGsもゴールを作らず、流れの中で学ぶのが大事だと思います。大人の学びはゴールがないですよね。

こんなに自分って変われるんだな! 大人の学びはゴールがない 

つるの剛士氏:
本当にゴールがないなと思います。水の流れが強いときもあれば、ゆっくりのときもあって、穏やかなときもあれば、激流もあるわけで、そういう時も自分がどういうふうに、「すん」といられるのかということを学びの中で、気づかせてもらった。でも知らないことばかりでまだまだ。本当にこれ以上ないぐらいに本を読んで、老眼もひどくなった。僕もこんなに自分で変われるんだなと思った。そこに気づけたことがすごく大きかった。だからあまり自分を決めすぎない方がいいとそこで気づいた。知らないことがまだまだあると気づき、より謙虚になったことも、学びのいいところ。

――寄り道が知識の面として広がり、学問の“地平”が広がっているように感じますね。 

つるの剛士氏:
確定申告の職業欄に何を書こうかと。歌や俳優、バラエティ、幼稚園の先生?保育士?何をやってるんだろうと思い、「つるの剛士」と書いたら怒られました(笑)

――続いてお話しいただくテーマは何番でしょうか。 

つるの剛士氏:
4番の「質の高い教育をみんなに」です。

――SDGsの4番、「質の高い教育をみんなに」に向けた提言をお願いします。

つるの剛士氏:
いつも遊more 。

子どもたちから遊びを教えてもらう。 

つるの剛士氏:
より遊ぶ。いつも「遊more(ユーモア)」を持っていたい。遊ぶことに真心を持って取り組むことです。保育の現場で学びました。地元で「つるの先生」と呼ばれるけど、子どもたちに教えるなんてとんでもない。子どもたちから遊びを教わっています。子どもたちの目線は遊びそのもので、いつも勉強させてもらっています。

――子どもがゴミ袋から汚いものを出すようなイタズラはどう対応しますか?

つるの剛士氏:
やめてほしいと思うママを見て、子どもはもっとやろうとします。それをどう遊びに変えるか。イヤイヤ期の2、3歳の子どもが帰宅時に「服を脱ぎたくない」というと「パパとどっちが早く服を着替えるか」とゲームにすると、ちゃんと着替えてる。工夫が生まれます。遊びなんです。子どもと関わる中でヒントがたくさん出てきます。

大人は近道を探しすぎ

つるの剛士氏:
子育ては大変だけど、あっという間に過ぎる。あっという間にどこかへ行ってしまって、もっと子育てやっておけばよかったと思える日が来る。今を大事にしてほしい。大人以上に遊べと思う。無駄を省こうとするが、遊びは無駄だらけ。無駄しかない。合理的じゃダメ。非合理じゃないとダメだと思っています。

シャッター街をキッザニアに!? 山梨県北杜市に理想の保育施設を…

――もっと遊べということですか?

つるの剛士氏:
そうですね。保育の事もいろいろやってみたい。山梨県北杜市で子ども施設を作りたいと思って、あちこち全国の保育園・幼稚園など見学に行っているが、皆さんいろんなことをやっていて模索している。

――最初に思い描いた理想は?

つるの剛士氏:
キッザニアで子どもたちが仕事体験をするのを見て感動した。将来、町レベルでできたら面白いと思いました。シャッター商店街に“専門家”がいるのに寂れているのはもったいない。彼らに先生になってもらい、子どもたちと町ぐるみで何かできたらと。最初は大きな土地や建物が必要だと思っていましたが、ある小さな保育園が外で活動するのを見て、発想が変わりました。ハードよりソフトを重視し、子どもたちと外に出て行けばいいと。そしたらそういう方がもういた。

その土地の環境資源を生かす保育は良さそう

――北杜市でどんなことをしたいですか?

つるの剛士氏:
八ヶ岳の麓なので、自然を使った保育がキーワードです。環境資源を活かした施設を作りたい。場所ごとの特性を活かすのが大事で、全国の施設を見学して模索中です。誰かがすでにやっている夢もありますが、北杜でしかできない保育を見つけたいです。

――サステナスタイルのつるのさんの経験を活かせば、自然の中で子どもたちと釣りやアウトドアを楽しむ保育ができそうですね。

つるの剛士氏:
タレントとしてプロフェッショナルの方々と繋がれたのが財産です。釣り、アウトドア、将棋、サーフィン、絵も、音楽も。すぐにアクセスできる。いろんなプロを呼んで子どもたちと経験を共有できたら、ハードいらないですね。視点を変えれば、いろんなことができると気づきました。

――グラデコの記録をご覧になっていかがですか。

つるの剛士氏:
頭の中のことをキーワードで書いてくれて、解像度が上がってわかりやすいです。結果は出ていないけど、アクションを起こして世の中の土台作りができたらと思います。

――最後に、SDGsとは何ですか?

つるの剛士氏:
次の世代にちゃんと受け継がせること。子どもや未来のために、と言いたくなかった。大人が幸せじゃないと子どもも幸せになれない。でも、もうそんなこと言ってられない。

――この番組は今回で最終回。5年間この番組で感じたのは、人間として当たり前のことを続け、ルールとか決めごとではなく、やりたいことを考え続けるのがSDGsだと思います。つるのさんの目の輝きが全てを物語るということ。今日はその答えにたどり着けました。最後の賢者、つるのさん。ありがとうございました。

つるの剛士氏:
恐縮です。5年間お疲れ様でした。

(BS-TBS「Style2030 賢者が映す未来」2025年9月21日放送より)

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