ベッセント長官、日本にサハリンLNG輸入停止要望、トランプ来日の火種に【播摩卓士の経済コラム】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-10-18 14:00
ベッセント長官、日本にサハリンLNG輸入停止要望、トランプ来日の火種に【播摩卓士の経済コラム】

退任間際の「花道」として、ワシントンを訪れた加藤財務大臣が、アメリカ側から思わぬ宿題を持たされる結果になりました。ロシアに対する制裁下でも日本が輸入を続けてきた、極東サハリンからの液化天然ガス(LNG)の輸入を停止するように求められたのです。新内閣発足後、すぐに来日することになるトランプ大統領から、新しい総理はいきなり難題を突き付けられるかもしれません。

【写真を見る】ベッセント長官、日本にサハリンLNG輸入停止要望、トランプ来日の火種に

ベッセント氏、ロシア産LNG輸入停止を

新内閣の誕生と共に退任する加藤財務大臣、連立模索で新内閣発足が遅れたことから、逆に日程に余裕ができ、恒例の国際金融会議のための外遊が可能になりました。加藤大臣は、15日ワシントンでG7や日米財務大臣会合に臨みましたが、アメリカのベッセント財務長官から予期せぬ要望が伝えられました。

日米財務大臣会合についてアメリカ財務省は、「日米関税合意に伴う対米投資やロシアへの経済的圧力を強めるG7の約束の重要性について議論した」と明らかにしました。その後、ベッセント財務長官はXに、「日本がロシアからのエネルギー輸入を停止することへのアメリカ政府の期待について話し合った」と投稿しました。

ベッセント長官は、これに先立って共同通信など一部メディアに対し、「いかなるロシア産のエネルギーも他から代替すべきだ」、「ロシアからエネルギーを購入する国は、どこもウクライナへの攻撃を支援していると考える」などと、強い表現で主張していました。ベッセント長官は、日米財務大臣会合で、日本がロシアのサハリン2からのLNG輸入を停止するよう、明確に求めたものとみられます。

輸入LNGの9%がサハリンから

ロシア極東のサハリンにある「サハリン2」から、日本はLNGを輸入し続けています。三井物産や三菱商事が事業に参画しており、今も東京電力と中部電力の発電会社JERAや東京ガスなど、国内の電力、ガス会社が契約を結んでLNGを購入しています。2024年の調達量は568万トンと、日本のLNG輸入量の8.6%がロシアのサハリン2から輸入されています。

ロシアによるウクライナ侵攻で対ロシア制裁が強化された際も、アメリカのバイデン政権は、日本による輸入継続を事実上黙認し、ロシアを国際決済システムから除外する中でも輸入代金の決済も例外的に認めてきました。

日本にとっては、地理的に他の産地より近く、権益まで有するサハリン2は、エネルギー安全保障上も、価格安定上も、手放せないプロジェクトだったからです。バイデン政権もその点を理解してくれていたのです。

トランプ政権は、ロシア産エネルギー「LNGはアメリカから」

時はめぐって今やトランプ政権。ロシアから買うぐらいなら、アメリカからLNGを買えというのが、トランプ大統領の理屈でしょう。しかも、トランプ政権は、ウクライナ和平の実現に向け、ロシアに圧力を加えることに躍起になっています。ロシア産エネルギーの輸入停止は外交上の優先事項なのです。

トランプ大統領は、ロシア産石油の8割を、インドと中国が輸入していることに大いに不満を募らせていました。インドに対しては、輸入停止を求め、関税を50%にまで引き上げていました。

トランプ大統領は15日、「インドのモディ首相がロシア産石油の購入停止を約束した」と誇らしげに発表すると共に、「中国にも同じことをさせる」と話しました。ベッセント財務長官と加藤財務大臣の会合が行われたのは、まさにそれと同じ日のことです。

実は、当事者のインドは、このトランプ発言に公式には反応しておらず、いつ、どこまでロシア産石油の輸入を減らすのかはっきりしていないのですが、トランプ大統領は、中東の次はウクライナと、自らの外交課題解決に、腕が回っています。

関税交渉など日米間の懸案は片付いたばかり

長く厳しかった日米関税交渉が、80兆円の対米投資計画と共にようやく決着したのが、この夏のことです。為替についても、日米間の温度差を埋める共同声明まで発出するなど、懸案が片付き、円滑な意思疎通ができたところでした。加藤財務大臣にしてみれば、とんだお土産を抱えてしまった最後の外遊となりました。

新政権はいきなり大統領訪日の試練に

新しい政権が誕生するのは、21日以降になりそうです。そこから1週間もしないうちに、韓国でのAPEC会議を機に、トランプ大統領が日本を訪れる予定です。新総理大臣は、わずかな準備期間で、トランプ大統領との日米首脳会談を行わなくてはなりません。

全体の9%近くを占めるサハリン2からのLNGが輸入できなくなると、代替供給先を確保するのは大変なことですし、そのためにLNG価格が上昇すれば、電気・ガス代が上がることも覚悟する必要があります。物価高対策を最優先とする新政権にとっては、さらに頭痛のタネが増えることになります。

トランプ大統領からの様々な要求に身構えなければならない中で、新総理大臣には、サハリンLNGという難題も背負う、試練の外交スタートとなりそうです。

播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)

  1. 【 禁酒宣言 】落語家・立川吉笑「令和八年十二月三十一日迄 固く禁酒をいたす所存」 昨年6月の真打昇進まで7年の禁酒を遂げていた
  2. 山本由伸「あの日も投げる予定なかったので…寿司を食べていた」WS連覇の立役者が裏側明かす 入団当初は「こんなに練習するんだ」と驚き
  3. 【大雪警戒 きょうの天気】日本海側や東海中心に雪強まる 交通障害発生のおそれも 1月24日
  4. 元カナダ五輪代表の男を巨額の麻薬密売で逮捕 最重要指名手配犯の1人 米FBI
  5. 24歳青木祐奈、フリーも自己ベスト大幅更新 ! 初の四大陸で逆転V 中井2位&千葉3位、日本勢が表彰台独占【フィギュア】
  6. 米・ロ・ウクライナ 三者協議始まる あすも開催予定も協議は難航が予想 ウクライナの和平計画めぐり
  7. 髙木美帆が1500mで2位 種目別で5季連続6度目の総合優勝でミラノ・コルティナ五輪へ【スピードスケート】
  8. トランプ政権 日本含む同盟国にGDP比5%の防衛支出求める 第2次政権では初の「国家防衛戦略」公表
  9. “戦後最短”事実上の選挙戦スタート 各党が街頭演説などで支持訴え 午後には党首討論も 2月8日衆議院選挙 投開票
  10. 内閣府公用車の9人死傷事故 運転手の直前の勤務「問題なかった」 法定速度以上で赤信号に進入で6台絡む多重事故に 東京・赤坂
  1. 【 佐野慈紀 】「先日の検査で心臓に血栓が出来てまして」当面は薬で対処 24年5月に右腕切断手術
  2. 内閣府公用車の9人死傷事故 運転手の直前の勤務「問題なかった」 法定速度以上で赤信号に進入で6台絡む多重事故に 東京・赤坂
  3. 発信機入ったぬいぐるみは「懸賞の当選者へのプレゼント」という趣旨の手紙とともに被害者の実家に送ったか 水戸の女性殺害
  4. 猫が体を『伸ばしている』ときの気持ち5選 実は意外な理由が隠されていた?
  5. 元気いっぱいな『新入りの子犬』→先住猫と犬の『表情』を見ると……爆笑必至の光景が52万再生「表情が好きww」「みんな茶色で可愛いw」
  6. 【 成田昭次 】「波乱万丈なのは間違いない」半生すべてを語った自叙伝を発売『男闘呼組』再始動までの2年間は「とんかつ屋さん」で働いていた
  7. 男性(33)の腰を刃物で突き刺して殺害した疑い 49歳の男を逮捕「いまはしゃべるつもりはありません」
  8. 【 SKE48・伊藤虹々美 】棋士・加藤一二三さんを悼む「ファンレターを何度か送った事もあったので寂しい」
  9. お雑煮を作るのに『猫のために茹でていた鶏肉』を拝借した結果…19歳の猫が見せた『まさかの反応』に「なんでもお見通しw」と1万いいね
  10. 茨城・日立市で震度4観測 津波の心配なし
  11. トランプ政権 日本含む同盟国にGDP比5%の防衛支出求める 第2次政権では初の「国家防衛戦略」公表
  12. 【 元男闘呼組・成田昭次 】『男闘呼組』活動休止までを振り返り「殴り合うこともあった」再結成後は「話すときに敬語」「下の名前で呼び合うようになった」