デマと誹謗中傷飛び交った宮城県知事選「悪行14選」拡散した男性は?  誤情報でかすんだ政策論争【報道特集】

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2025-11-08 20:44
デマと誹謗中傷飛び交った宮城県知事選「悪行14選」拡散した男性は?  誤情報でかすんだ政策論争【報道特集】

SNS上でデマと誹謗中傷が飛び交った宮城県知事選挙です。問題とされたものの中には、「悪行14選」と書かれた画像もありました。これを拡散した男性が私たちの取材に応じ、「投稿は正しいと思っている」と話しました。

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飛び交う“デマ”と“誹謗中傷”…弁明に追われた選挙戦

10月26日に行われた宮城県知事選挙で、現職の村井嘉浩氏が6期目の当選を果たした。

宮城県 村井嘉浩 知事
「今まで経験したことのない選挙だった」

選挙戦は、自民・公明・維新の県議らが支援した村井氏と、参政党の全面的な応援を受けた前自民党参議院議員・和田政宗氏が争う保守分裂となった。

多選への批判もあったが、僅差で逃げ切った村井氏。一番苦しんだ理由は別にあるという。

宮城県 村井嘉浩 知事
「誹謗中傷・デマ。ものすごい勢いで拡散していって、気が付いたときには手に負えない状況だった」

選挙直前からSNSで拡散された画像には、こう記されている。

【こんなにあるのか!!売国的宮城県知事 村井嘉浩の悪行14選】

「メガソーラー大歓迎!!」「外国人労働者大量受け入れ推進」など、村井氏の政策を批判するかのような文言が並ぶ。

宮城県 村井嘉浩 知事
「メガソーラー、こんなこと言ってませんよね。外国人労働者大量受け入れ推進 、これも技能実習生の受け入れをやってるだけで、『外国人労働者』という言い方が何か差別的な言い方をしてますよね。

あと、選挙のために土葬撤回したわけではないですけど、このような書き方をしたり。あと、『宮城県をザンビアのホームタウンに!』って書いてます。宮城県は全然こんなことしてないです。これも完全にデマです」

「イスラム教徒のために土葬を認めようとしている」など、村井氏が移民受け入れに積極的だと決めつける内容も多く飛び交った。

「宮城」と「知事」または「村井」の単語を含むX上の投稿数を調べ、拡散した数や、いいね数が多い上位200件の投稿を確認したところ、8割以上が村井氏に批判的な内容だった。(ソーシャルインサイトを使った番組調べ)

Xへの投稿
「宮城の村井知事って、サイコパスなの?」
「絶対に当選させたらダメな人ですよね。」

影響はSNSだけでなく、街頭の選挙活動にも及んだという。

宮城県 村井嘉浩 知事
「じわじわと、一気にどっと広がった。ダムが決壊した感じ。最初は全くなかったが、街頭で演説をしていると『土葬野郎』『売国奴』『お前は日本人じゃない』など、ものすごい誹謗中傷を街頭で受けるようになった。だんだん増えてきたんですよ。怖かったですね」

村井氏は「政策よりも弁明に追われた」と訴える。

宮城県 村井嘉浩 知事
「最後の方は 『そういうことはしてません』と、やってないことを一生懸命説明するのに 時間が取られてしまって、本来考えている政策を訴える暇がなくなってくる」

SNS上の投稿には、こんなものも…

宮城県 村井嘉浩 知事
「私が土葬されてるんですよ。あとメガソーラーパネルの前でムスリムの人と一緒に撮ってる写真、これ合成です明らかに。差別的といいますか、表現の自由を超えていると思う」

村井氏は、悪質なデマや誹謗中傷については、法的措置をとることを検討中だ。

宮城県 村井嘉浩 知事
「私個人の問題ではなく、意図的に私を貶めるためにやった人に対して、ある程度しっかりとしたメッセージを伝えないと、また同じことされると思う。それによって民主主義が破壊されてしまっては駄目です」

支援した県議にも“飛び火” 地元メディアも異例の対応

村井氏を支援した県議も誹謗中傷を受けた。自民党会派所属の村上智行県議。

自民党・県民会議 村上智行 県議
「村井さんの支持を拡大する投稿をすると、すぐに様々な誹謗中傷のコメントが雨あられと押し寄せてきた」

村上県議が、SNSで村井氏への支援を呼びかけると――

SNSに投稿されたコメント
「移民にコイツの家族を襲撃させたらいい。多分やっすい金で簡単にやってくれるよ」

こうした悪質なコメントが相次いだ。村上県議は警察に被害を相談し、発信者情報の開示請求の準備も進めている。

かつてない選挙戦に地元メディアは異例の対応を取った。地元紙の河北新報は、選挙戦の途中からファクトチェックを始め、ウェブに無料で掲載した。

河北新報 選挙担当 瀬川元章 デスク
「(選挙戦)中盤ぐらいになってから、SNS上で真偽不明の情報が凄い流れるようになって。やっぱりこれって変だよね、というのを現場は強く感じて」

「メガソーラー大歓迎」は誤った情報だとした。村井氏が会見で、「間違いなく環境破壊に繋がり、個人的には大反対」と述べていたことなどを紹介した。

土葬墓地については、「県が検討したものの、今年9月に白紙撤回した」など、これまでの経緯を詳しい記事にした。

河北新報 選挙担当 瀬川元章 デスク
「ファクトチェックというよりもフェイクチェックに近い。知事がメガソーラーずっと反対と明言しているのに、何故そんなことが話題になるのかなと」

――県政を取材する立場からすると、このメガソーラーは本来争点にもならない?

河北新報 選挙担当 瀬川元章 デスク

「何で出てきたんだろうというのが正直なところ」

河北新報 編集局編集部 大泉大介 部長
「候補者の主張・訴えにフォーカスするよりも、むしろその人たちが言ってないことが拡散されるとなると、有権者の判断は歪むというか、民意が歪められてしまう。そのリスクをどうやって回避するかとなった場合、我々が白黒判断付けるという意味ではなく、主張としてはこういうことですよ、事実はこうですよというのを提示して、有権者の方々に判断いただくと」

「客観的な事実を前提に一票を投じてほしい」地元紙のファクトチェックの意義

河北新報のファクトチェックの背景には、2024年11月の兵庫県知事選挙に対する強い問題意識があったという。

NHK党の立花孝志氏が、自分の当選を目的とせず、斎藤元彦知事を応援する2馬力選挙を展開。デマや誹謗中傷が拡散された。

河北新報 選挙担当 瀬川元章 デスク
「現場の一線の記者たちがすごい危機感を、兵庫県知事選の教訓を踏まえて事前に持っていた。それがすごく大きくて」

河北新報 編集局編集部 大泉大介 部長
「今までの旧来通りの『ここは静観だ』『何もしなくていいんだ』というバランス感覚ではなくて、客観情報だけでも提供しようと」

河北新報は取り組みの意義を、こう宣言した。

河北新報オンラインより
「知事選をめぐり、明らかな事実誤認や虚報がインターネット上にあふれ返っています。意見の相違や信条の違いがあっても、有権者の皆さんには正々堂々、客観的な事実を前提に自分の一票を投じてほしいと私たちは考えています」

河北新報 編集局編集部 大泉大介 部長
「我々もこういった事態にどう立ち向かうべきか、対処すべきかって答えがない中で、手探りで発信を求められた選挙でした」

「デマ許容できない」もファクトチェックの記事は和田氏「公平性に欠ける」

デマや誹謗中傷が広がった選挙戦をどう振り返るのか。村井知事の対抗馬だった和田政宗氏に聞いた。

――これ(悪行14選)を見たことは?

前参院議員 和田政宗氏

「ないです。これは一般の方の発信なので、何らコメントできない。誹謗中傷などが含まれるのであれば、事実と違うデマのようなものが含まれるのであれば、それはSNS上の発信においては許容できない」

――ネット上で誤った情報が乱れ飛んでいたという認識は?

前参院議員 和田政宗氏

「私はフルで朝7時から夜10時くらいまで、懸命に(選挙)活動をやって、その後は自分の政策の発信や活動の発信をしたので、どういうような発信が行われていたかまでは全く熟知していない」

和田陣営は「支持者に向かって『デマや誹謗中傷は慎むべき』と呼びかけた」と話す。和田氏は「村井陣営からデマや誹謗中傷を受けた」という。

前参院議員 和田政宗氏
「『やられた』と言っている現職陣営が、直接的に誹謗中傷してくるというような事態が、選挙戦終盤で行われたということは極めて遺憾」

また、和田氏は、河北新報が投票日直前に掲載したファクトチェックの記事について、「村井氏だけを利するもので公平性に欠ける」と批判する。

前参院議員 和田政宗氏
「なぜ現職知事(村井氏)のところだけ取り上げたのか。これは著しく公平性が欠如する。選挙結果にも影響を及ぼしたのではないかと感じている」

「正しいと思っている」男性が「悪行14選」拡散したワケ

和田氏を応援した参政党の神谷代表は、選挙期間中にデマについて、こう話していた。

参政党 神谷宗幣代表
「選挙って攻撃し合いだから、不正確な表現ありますよ。でも、お互いやっているわけですよ。いまネットでそれが可視化されているけど、昔から選挙のときは、流言飛語が飛び交うわけ、嘘やデマが飛び交うわけですよ」

この発言の真意について参政党に質問したところ、こう回答があった。

参政党の回答
「選挙時に誤情報が流通し得るという一般的な状況を述べたものであり、虚偽情報を許容する趣旨ではありません」

私たちが取材を進めると、「悪行14選」の画像を拡散したアカウントには、参政党員を名乗るものが複数あった。

これについて参政党は――

参政党の回答
「投稿者の属性について本党は確認できる立場にありません。前提となる事実が確認されない限り、本件について回答を行うことはできません」

拡散したうちの1人が取材に応じた。男性は都内在住で、8月に参政党員になったと話し、党員であることを証明する情報も示した。

男性は「悪行14選」の画像を添付し、こう投稿していた。

参政党員の投稿
「明日は投開票日です。村井には入れてはいけません」

投稿した一番の理由として、土葬の問題をあげた。

「悪行14選」を拡散した男性
「村井さんが土葬をなんとかしたいという話、イスラム教の方を受け入れたいという話があったので、やめてほしいと一番最初に反対と思った」

――(宮城県知事選の)結果を受けて

「悪行14選」を拡散した男性

「土葬をいきなりやめるという話を選挙前にされて、おそらく世論がそうだから、今回の選挙には多分不利だろうと思ってやめたのではないのか。当選して、今度『(土葬を)始めます』と言うのではないかと一番危惧している」

男性は「悪行14選」の中に「事実かどうかわからないものもある」とした上で…

「悪行14選」を拡散した男性
「(『悪行14選』は)全部が全部合っているとは思えないが、半分以上たぶん合っているのではないか。残りのものについても疑惑はある。

(村井氏は)デマだとおっしゃるのだったら、公的に発言されるのであれば、証拠を示すべきだと思う。村井さんがもしできないのであれば、デマだと一言で割り切るのは、ちょっとおかしくないですか。だから私は(投稿は)正しいと思っています。

ファクトチェックは、ある程度させていただきました。少なくとも白ではない、色がついているということ」

拡散について参政党からの指示はなかったという。

「悪行14選」を拡散した男性
「基本的に参政党の方って、上から『こうやれ』と言われてやっているのだったら、そもそも参政党でやってないですし。どちらかというと皆さん個々人でこうしたいよね、そこに行き着いたのが、参政党だったという人の方が多い」

村井氏が、デマ拡散に対し、法的措置を検討していることについては…

「悪行14選」を拡散した男性
「『拡散した人間も全員訴えます』というような形で、村井さんがそういう裁判を起こすのであれば、私もそれを拡散した人間なので、反論しに行きます、当然。もし裁判所に来いと言うのなら、裁判所に行きます。そのぐらいの意志がないと(SNSへの投稿は)できないと思う」

誤情報でかすんだ政策論争 本来あるべき選挙の姿とは

今回の知事選。仙台市内だけで見れば、得票数は和田氏が村井氏を3万票以上、上回った。また出口調査によると、40代以下の投票先は和田氏が最多だった。

投票に行ったという若者に「悪行14選」の画像を見てもらうと…

和田氏に投票 宮城県民(24)
「『この人ヤバいのかな』と思うけど、これを出す人にも思惑があると思う。そこはいろいろ調べるかな」

和田氏に投票 高校生(18)
「Xで選挙の近くの日になって調べたときに見た」

――(投票の)参考にする?
「しない、さすがにあからさますぎる」

「鵜呑みにすることはない」とする意見の一方、村井氏に投票したという18歳の高校生は。

村井氏に投票 高校生(18)
「急にバッと出てきたら (村井氏に)不信感を持っちゃうかも。これを最初に見せられたら、もしかしたら投票しなかったかも」

宮城県内で選挙情報などを発信しているNPO法人「メディアージ」の漆田義孝氏。デマが飛び交う選挙戦に危機感を抱き、「悪行14選」について、公開情報などを基にファクトチェックした。

「メガソーラー大歓迎」は【デマ】と判定したが、【解釈の余地あり】などとしたものもあった。

NPO法人メディアージ 漆田義孝 常務理事
「(『悪行14選』には)『選挙のために土葬撤回』と書いていて、村井さんを応援する方々は 『これもデマだ』と言うが、選挙の直前に土葬を撤回したことは事実。解釈の余地があるんじゃないか。

『ムスリム定住者大歓迎』については、外国から移住する方々の環境を整えなきゃいけないっていうことは、村井さんは主張しているのでデマではないが、特定の宗派・宗教に限定した発言として言ってきたわけではないので、言葉の使い方は間違っているんじゃないか。一つ一つ点検していった」

また「水道事業の運営は外資にお任せ!」については【誇張表現】【解釈の余地あり】と判定している。

初めて取り組んだファクトチェックだったが、記事を公開したところ、通常とは桁違いのアクセスがあった。

NPO法人メディアージ 漆田義孝 常務理事
「一つ一つ丁寧に検証して、公平性は評価していただいたことが多かった。一方で『デマと決めつけるな』とか、『現職を支援してるんじゃないか』と、批判の声もたくさんいただいた。どの候補者が当選しても、きちんと政策によって選ばれた選挙だったと納得感を得られるように、ファクトチェックしなければならないという意志で行動を起こした」

誤った情報が拡散され、本来の政策論争がかすんでしまったことに。

NPO法人メディアージ 漆田義孝 常務理事
「宮城県としては5期20年、長く務めた村井県知事。このままでいいのか、もっと新しい選択肢はないのかが問われる県知事選挙だったはず」

――誤情報に振り回されて、宮城県民が見つめなければいけない様々なイシューが吹っ飛んでしまった。

NPO法人メディアージ 漆田義孝 常務理事
「同じ状況は、他の地域の選挙であっても繰り返されてほしくない。本来あるべき姿の選挙になってほしい一心」

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