『フェイクマミー』の映像制作に迫る――演出・撮影・照明が語る制作哲学と技術判断【ドラマTopics】

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2025-12-12 17:00
『フェイクマミー』の映像制作に迫る――演出・撮影・照明が語る制作哲学と技術判断【ドラマTopics】

金曜ドラマ『フェイクマミー』(TBS系)。その繊細で美しい映像世界を支えているのは、社会現象を巻き起こしたドラマ『silent』(2022年/フジテレビ系)の撮影・照明チームと『海のはじまり』(2024年/フジテレビ系)の演出が手を組んだチームだ。

【写真で見る】最終話の場面写真も・・・金曜ドラマ『フェイクマミー』より

演出を務めるのは、「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」など数々の広告賞に輝く気鋭・ジョン ウンヒさん。そのジョンさんが全幅の信頼を置くのが、映画「バジーノイズ」(2024年)や多くの広告で撮影監督・写真家として活躍する片村文人さんと、同じく『silent』などで緻密な光を設計してきた照明技師・太田宏幸さんだ。

互いの感性を熟知した3人が、本作で共有する“俳優の表現を中心に置く”制作哲学、そして映像の裏側にある技術的判断について語り合った。

“俳優の表現を中心に置く”――3人のクリエイターが共有する制作哲学

『フェイクマミー』の撮影現場は、演出・撮影・照明の三者が同じ理念を共有することで成立している。演出を担当するジョン ウンヒさんは「俳優が持ち寄る表現をまず尊重する」という方針を軸に、事前のカット割りに固執しない。俳優陣の演技にできるだけ寄り添いたい気持ちを持っているのが特徴だ。

撮影監督の片村文人さんは、俳優の呼吸や間をそのまま画に残すため、「極力カメラを動かさない」ことを基本とする。写真家として日々磨いている感覚をもとに、作為的な動きを排除する判断を一貫して行う。

照明技師の太田宏幸さんは、スピードと正確さで撮影現場を支え、演出にかける時間を最大化する体制を整えている。ロケでは刻々と変わる太陽光を読み、室内ではオフィス設定の舞台が多数出てくるため、それぞれが違う会社であることが分かるように蛍光灯にフィルターを施すなど、空間ごとに異なる“色の設計”が必要となる。

技術的判断の積み重ねがつくる『フェイクマミー』の映像

第9話で花村薫(波瑠)が“自首”を決意するシーンでは、ジョン監督が事前に絵コンテを準備した。絵コンテ自体は他の場面でも描いているものの、このシーンについては、子どもたちの稼働時間や学校でのロケの制約が重なり、演出意図を細かくすり合わせる時間が確保しにくい状況だったという。スケジュールの中でもスタッフ全員が同じイメージを共有できるよう、ジョン監督は撮影の合間を縫ってストーリーボードを描いた。

「CMの撮影では絵コンテが必須なので、ドラマでも事前に準備できるのが理想」と語るが、ジョン監督は“絵コンテ通りに撮ること” に固執しない姿勢を貫く。撮影現場で得られる俳優の演技や状況を重視し、実際の撮影ではカットの構成を柔軟に調整しながら、シーンの厚みを築いていった。

スタジオ撮影では、セットのサイズやカメラ位置に余裕がないことも少なくない。そんな環境では、美術部との調整が必要となる。「俳優の動きを妨げない空間設計」を念頭に、撮影効率と芝居の質を両立させるための調整が続いた。

ジョン監督が撮影現場で培ってきた迅速な判断力は、太田さんとの照明設計においても大きな役割を果たしている。通常、ドラマ制作ではフレーム内に照明機材が映り込むことは避けられるべきだが、太田さんは「ここにライトを置けば、より効果的な光がつくれる」という観点から、あえてフレームに入る位置に照明を置くことがある。

そのこだわりを尊重したうえで、ジョン監督は「どこまでなら編集で処理できるか」を素早く見極め、必要に応じて消す判断を下す。この経験に裏打ちされた判断の速さが、現場の創造性と効率を両立させている。

こうした“制作上の判断の積み重ね”こそが、作品の独自性を形作っている。単なるチームワークの良さではなく、毎日の撮影で導き出される具体的な技術選択が、作品の表情を支えている。

“次に挑む表現”――各スタッフが語る未来と、『フェイクマミー』で得たもの

今後挑戦したい表現について、3人のクリエイターはそれぞれの視点で語る。
太田さんは「CMでは描かれることが少ない、人が死ぬような重いシーンや、ベッドシーンなど感情が大きく動く場面を手掛けてみたい」と話す。

一方で、撮影現場では、出演者の表現に驚かされる瞬間も少なくない。片村さんは「この配役でCMを撮ってみたい」と語り、特にもう一人の主人公・日高茉海恵(川栄李奈)の1人娘・いろはを演じる池村碧彩さんの集中力を高く評価する。「『1時間読んで、1時間休む。それを繰り返してセリフを覚えている』と聞いて。同じ年頃の子どもがいる身として驚いた」と明かす。

ジョン監督も「第9話のいろはの芝居は特にすごかった」と振り返る。現場で俳優の成長や力量を目の当たりにすることは、次の作品への課題意識にもつながっている。

そんな中で片村さんは、「写真でも映像でも、碧彩ちゃんを主軸にした作品を撮ってみたい」と興味を示す。

ジョン監督は「ジャンルに縛られず、恋愛、ミステリー、家族ドラマなど幅広く挑戦したい」と明かしながらも、「何よりも『出ている役者さん全員が輝いているね』と言われる作品を作れたらいいなと思います」と語る。

その中で、『フェイクマミー』で最もこだわった点として“テンポ”を挙げる。「昨今は2倍速で見る人が多い。だからこそ、2倍速では追いつけないテンポや間を作りたかった。特に第1話はテンポ感を大事にしました」と語り、シーン順の入れ替えによって視聴者の理解度とテンポ感を両立させた場面も。

また、編集の柳沢さん、音響チームのゼロウェイブ(谷口さん・水口さん)、そして撮影・照明の両名という“いつものチーム”がいたことで、「やりたいテンポを即座に理解し、形にしてくれた」と振り返る。

作品を支えるのは、単なる“チームの仲の良さ”ではない。演出・撮影・照明、それぞれの立場から俳優の芝居を最大限に生かすための判断が積み重なり、日々の現場が形作られている。そこにこそ『フェイクマミー』をはじめとする、彼らが手がける作品が持つ独自の映像表現の核がある。

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