長引く円安&物価高…利上げで解決? 日銀 あす政策金利0.75%に引き上げへ【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-12-18 21:12

今年も物価高が止まらず、クリスマスケーキも値上がり。長引く「円安」を念頭に、日銀は利上げに踏み切る公算ですが、物価を安定させられるのでしょうか。

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長引く円安は利上げで解決? 3年で卵は3割以上値上げ…

高柳光希キャスター:
円安の影響で物価高が止まりません。2022年の10月から2025年の10月までの3年間でどれくらい値上げされたかと言うと、卵は31.5%、野菜は21.8%、飲料は23.5%上昇しています。このほかティッシュなどの家事用消耗品も21.2%上昇しています。(総務省データ/東短リサーチの計算)

円安が進み、円の価値が下がっているから物価が上がっているわけですが、円の価値も他国の通貨と比べて下がり続けています。

各国の通貨の価値の推移を見てみると、コロナ禍前の2020年初めを100とした時、2025年12月には円の価値はだいたい70、3割ほど下がっていることになります。例えばスイスのフランは上がっていて、オーストラリアドルは横ばい、日本円だけがここまで下がってしまっています。

そもそも利上げとは、「日本銀行が政策金利を引き上げること。景気や物価の安定のために『世の中の金利の基準』をコントロールする仕組み」のことです。

今回、なぜこのタイミングで利上げに踏み切るのでしょうか。

TBS報道局経済部 日銀/金融担当 出野陽佳 記者:
一つの大きな理由は、円の独歩安と、それが物価高に繋がってしまうことを食い止めることです。日本は他の主要な海外の国と比べてもかなり金利を低く抑えてきた結果、だいぶ円安が進んでしまっています。

日銀内でも、円安による物価高が長引くことを恐れる声が強まってきていて、利上げをしてブレーキをかけようとしています。そのため、現在0.5%となっている政策金利を0.75%に上げることが確実視されている情勢です。

“物価高の番人”日銀に冷ややかな声も

高柳キャスター:
今回利上げを容認した高市総理ですが、2024年9月には「金利を今上げるのはアホやと思う」、25年10月には「金融政策にも責任を持たなきゃいけないのは政府」と発言してきました。そして11月、高市総理と日銀の植田総裁が初会談を行いました。

TBS報道局経済部 出野記者:
総理の周辺には、利上げに対して基本的に慎重な姿勢を示す経済ブレーンの方が多いのですが、やはり足元のマーケットを見ていると、かなり円安が進んでしまっています。これは、政府が重視する物価高対策といった観点からも、あまり喜ばしくない動きだと受け止めているようです。

関係者にも話を聞いたところ、政権も、円安や債券が売却される動きを気にしていて、実際に野党にも批判されることもあるので、これもまた嬉しくないと思っているようです。そのため、今回の利上げについては容認する姿勢のようです。

ただ一方で、この先どうかというと怪しいところもあります。私が取材した範囲でですが、今回の利上げのタイミングに懐疑的な考えを漏らす場面もあったといいます。そのため、この先、日銀が利上げを続けられるのかどうかは、引き続き政府との間合いを調整する必要がありそうです。

高柳キャスター:
中長期的にはまだわかりませんが、ひとまずは利上げをする公算が高まっている中で、日銀の植田総裁は12月1日の会見で次のような発言をしています。

「為替レートは円安に進みますと、場合によっては基調的物価上昇率に影響する可能性にも注意が必要だと思います」

このように円安が物価上昇につながる可能性に言及しましたが、インフレや物価高はもう4年も続いているわけですから、利上げをするのが少し遅くないかという見方もありますよね。

TBS報道局経済部 出野記者:
今回、利上げに踏み切れば2025年1月以来となり、「その間に円安がかなり進んでしまった」という指摘も上がっているのは事実です。

実際に関係者からも、「進んだ円安を利上げで食い止めるのではなく、もっとテンポよくやっていれば、そもそもこれほど円安が進まなかったかもしれない」という声も聞かれています。

日本銀行は“物価の番人”と言われていますが、東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、「日本銀行が本気で円安・物価高を鎮圧する気概があるのか、マーケットは疑念を持っている」と指摘しています。

利上げで物価は下がる?日銀が抱えるジレンマ

高柳キャスター:
利上げはあくまで手段であってその先で物価は下がるのか、という点に注目が集まっているわけですが、実際のところ物価は下がるのでしょうか?

TBS報道局経済部 出野記者:
焦点は19日に行われる、会合後の植田総裁の会見です。そこでどこまでインフレ抑制の覚悟を示すのか、というところが注目されます。

あまりに踏み込みすぎて「この先も利上げをどんどんやります」と言ってしまうと、急激に円高が進み、その結果、例えば株式市場が大きく反応して株価が下落してしまう懸念もあります。

一方で、それを気にしてあまりに慎重になりすぎると、市場から「利上げはこれで打ち止めだ」と見られてしまい、さらに円安が止まらなくなって物価高に繋がってしまいます。

日銀は、このジレンマに今挟まれてる状況です。そのため、間をうまく縫いたいというのが本音だと思いますが、物価の番人としての覚悟をどこまでにじませるかが注目だと思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
もう一つ付け加えると、国が持っている借金が1000兆円を超えているため、踏み込みすぎて金利が上がっていくと、日本の財政もかなり厳しい状況になります。借金にかかる金利が上がって、日本の借金がさらに雪だるま式に大きくなるためです。

日本が抱えている莫大な借金が、日銀に対して非常に重い負担になっているということも忘れてはいけないと思います。

井上貴博キャスター: 
もともと高市総理は、物価高を抑えるためには財政出動で、利上げに関しては後ろ向きな発言が多かったわけですが、いま中長期的にはどのような想定でいるのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回異例だったのは、日銀が全国にある支店を使って、大企業・中小企業に対して「賃上げがどのくらいあるか」を相当詳細に調べていることです。どうもかなり賃上げがありそうだというデータが集まってきたので、それを植田総裁が高市総理にも伝えたところ、高市総理が「それなら仕方がない」と引っ込めました。

そういう意味では、賃上げのサイクルがうまく回っていることが、今回の日銀の利上げの追い風になったというところがあると思います。

出水麻衣キャスター:
日銀の発表では「日銀用語」のようなものも使われますが、19日にどのような言葉が出れば、我々はどのようなシグナルだと受け止めればいいでしょうか。

TBS報道局経済部 出野記者:
注目はこの先どこまで、あるいはどれくらいのペースで利上げをするのか、この最終的な到達点と、この先のペースを見ていくというのが一つの見方だと思います。

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<プロフィール>
出野陽佳
TBS報道局経済部 日銀/金融担当
円安を恐れてしばらく海外旅行に行けず

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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