“日本売り”の動きも…1ドル=157円で推移 利上げ+円安で負の影響ダブルパンチ?円安傾向は今後どうなる【Nスタ解説】
私たちが普段の買い物する際の商品価格にも関わる円安。19日、日銀による金融政策決定会合で、0.5%から0.75%に利上げを行いました。
本来であれば円高に動くことがセオリーですが、今回は円安となりました。一体なぜなのでしょうか?
利上げ発表でなぜ円安?「セオリー無視」のワケ
出水麻衣キャスター:
22日午前7時時点でのドル円相場は、1ドル=157円台でした。
これまで1ドル=155円台で推移していましたが、19日に日銀が利上げを発表し、政策金利を30年ぶりに0.75%まで引き上げたところ、円安がさらに進みました。
通常は、利上げを発表すると円高に振れます。
例えば預金で考えると、預金先は少しでも多くの利息がつく方が良いですよね。そのため、利上げをすると「他の通貨から円に変えてみよう」という動きが出ます。
ところが、今回は全く円高方向に振れず、むしろ円安方向に動いてしまいました。
この理由について、大和証券の末廣徹チーフエコノミストは「市場予測の1月より早く利上げしたが、観測報道が多く、サプライズにならなかった」と指摘しています。
また、みずほリサーチ&テクノロジーの酒井才介 主席エコノミストは「先行きの利上げについて積極的な姿勢が明確に見えなかった。円資産を持つ旨味が強いと解釈されなかった」と分析しています。
実際に、各国の通貨の力の推移を比べてみましょう。コロナ禍前の2020年初めを100とした場合に、スイスのフランの価値は上昇、ユーロ圏や中国、アメリカ、イギリス、オーストラリアは、ほぼ横ばいとなっています。
一方、日本の円だけが大きく下がっていて、2025年12月9日までで70%程度まで価値が減少しています。(BIS調べ)
「円安+利上げ」で現役世代はダブルパンチか
出水キャスター:
今回、利上げしたにもかかわらず、円安も止まらない状況ですが、利上げと円安にはどのようなメリット・デメリットがあるか、酒井主席エコノミストに聞きました。
【利上げ】
得をする人:高齢者など預金が多い人(利子収入アップ)
損をする人:現役世代(住宅ローンの負債アップ)、企業(借入れコストがアップ)
【円安】
得をする人:自動車などのグローバル企業(輸出増加)
損をする人:家計&国内市場中心の企業(輸入品の値上がりで家計・収支が圧迫)
出水キャスター:
円安に関する今後の注目点について、末廣チーフエコノミストは「政権の支持率」を挙げています。現在、高市政権は非常に高い支持率を維持していて、円安の政策が支持されていると見ることもできます。
また「アメリカの利下げ」も注目だといいます。次の利下げのタイミングは3月ではないかと言われていて、アメリカが利下げすると少し円高に振れることになります。
さらに2026年11月にはアメリカの中間選挙もあります。トランプ大統領はドル安を是としていますが、そうしたアメリカの動きにも注目だということです。
さらに末廣チーフエコノミストは、今後は円安と日本経済の状況から、機動的に金利の上げ下げをしていくような政策に転換していく必要もあるのではないか、としています。