「スマホ」や「モバイル充電器」など回収義務化へ “リチウムイオン電池”火災防止&レアメタルの確保に【Nスタ解説】
「2030年までにリチウムイオン電池による重大な火災ゼロを目指す」。
モバイルバッテリーなどによる火災が相次ぐ中、政府が対策をまとめました。
リチウムイオン電池による火災が相次ぐ中、政府が新対策
スマートフォンやモバイルバッテリー、夏によく見かける携帯用扇風機など、「リチウムイオン電池」が内蔵された製品は街にあふれています。
ところが、2025年10月には乗客が持ち込んだリチウムイオン電池の発火が原因で、中国国際航空の旅客機内で火災が発生。
相次ぐ火災に政府がまとめた対策とは?
東京・江東区のごみ処理施設で起きた火災は、ごみを粉々にする過程でリチウム電池を砕いたことが原因とみられています。
あまり知られていない“リチウムイオン電池”の捨て方
どう捨てるかはあまり知られていません。
街の人
「(廃棄方法は)わからない」
「ヤマダ電機とかに持って行って、『店員さんにお願いします』しかわからないですね」
実は回収方法は自治体によってバラバラ。環境省によりますと、令和5年度は25%の市町村が分別回収すら行っていないといいます。
住民が誤った方法で廃棄してしまうケースが多く、火災につながっているのです。
石原宏高 環境大臣
「2030年までにリチウムイオン電池に起因する重大火災事故ゼロを目指して」
政府は23日、「総合対策パッケージ」を発表し、本格的な対策に乗り出しました。
これまで回収方法が自治体によってバラバラだったものを、廃棄から処分まで統一された基準を策定し、回収体制を構築するとしました。
ポイントとなるのが「廃棄のしやすさ」。すでに実証事業も行われています。
茨城県守谷市のコンビニエンスストアには、リチウムイオン電池などの回収ボックスが設置されています。ボックスには温度センサーなどが取り付けられ、火災など安全性に考慮した構造。
こうしたコンビニなど身近な場所に設置することで、簡単に廃棄できるようにしているのです。
さらに、「回収拠点」はウェブサイト上のマップにまとめられ、「見える化」が図られています。
「モバイル充電器」などの回収義務化へ
井上貴博キャスター:
リチウムイオン電池が使われている主な製品は、スマートフォンやモバイルバッテリーなどです。
【リチウムイオン電池が使われている主な製品】
▼スマートフォン
▼モバイルバッテリー
▼携帯用扇風機
▼ワイヤレスイヤホン
▼加熱式たばこデバイス
▼スマートウォッチ
▼電動アシスト自転車
▼ノートパソコン
政府が打ち出した「リチウムイオン電池総合対策パッケージ」では、2026年4月以降、▼モバイルバッテリー、▼スマートフォン等、▼加熱式たばこデバイスの3品目の回収を義務化します。
自治体の回収拠点などを通じて、メーカーが回収するということです。
狙いとしては、▼適切な回収で発火事故防止につなげる、▼内蔵するレアメタル(希少金属)を再資源化し、循環させていこうということです。
安全に処分するには?
井上キャスター:
横浜市では、2025年12月からリチウムイオン電池などの収集を開始しました。「週2回の燃やすごみの収集日に『電池類』として一つの袋で出してください」としています。
そのまま出せばいいということではなく、可能な限り電池を使い切って、USB端子の金属部分にテープを貼り、絶縁処理をしてから捨てるのが正しい捨て方だそうです。
基本的には、家にあるテープなら何でも大丈夫だといいます。
膨張・破裂したバッテリーはどうすればいい?
井上キャスター:
また、膨張・破裂してしまったモバイルバッテリーは、多くの自治体では、通常のごみ収集などでは回収できません。各自治体の清掃事務所などに直接持ち込むよう呼びかけられています。
2025年7月31~11月末までの間に、東京・足立区の清掃事務所には3437個が持ち込まれたといいます。