【ニューイヤー駅伝展望】10000m日本新のトヨタ自動車・鈴木芽吹「前半から積極的に行きたい」

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2025-12-25 17:00
【ニューイヤー駅伝展望】10000m日本新のトヨタ自動車・鈴木芽吹「前半から積極的に行きたい」

ニューイヤー駅伝2026inぐんま(第70回全日本実業団対抗駅伝。群馬県庁発着の7区間100km)に新たな日本記録保持者が登場する。9月の東京2025世界陸上10000m代表だった鈴木芽吹(24、トヨタ自動車)が、11月22日の八王子ロングディスタンス10000mで27分05秒92と、塩尻和也(29、富士通)が持っていた27分09秒80の日本記録を約4秒更新した。世界レベルの26分台に最短距離に位置した鈴木に、日本記録の振り返りとニューイヤー駅伝への意気込みを聞いた。

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日本新は特別なことではない?

――日本記録を出して一番嬉しかったことは?
鈴木芽吹:
常に自己ベストを更新したいと思ってレースには出場しています。それがたまたま日本新という形になりましたが、それほど特別なことをしたとは思っていません。ただ、自己ベストを出せたことは純粋に嬉しかったですね。

――東京2025世界陸上を経験したことで、日本新でも気を抜いたらいけない、と考えるようになった?
鈴木芽吹:
世界陸上を走ったことで、参加標準記録(東京世界陸上は27分00秒00)を切ってスタートラインに立たないと勝負にならない、という危機感を持ちました。世界陸上が終わって、八王子で26分台を狙って行くと決めました。その中で27分05秒92の自己記録を残せたことは嬉しいのですが、冷静になってみると標準記録に到達できていないので、まだまだだよな、という気持ちが強いですね。

――10月下旬から約3週間のアルバカーキ合宿を行いました。昨年の八王子ロングディスタンス(27分20秒33)前もアルバカーキで練習しましたが、1年前とはどんな違いがありましたか?
鈴木芽吹:
メニュー自体はそれほど変えていないので、一番の違いは、今年は田澤(廉・25)さんと一緒に練習できたことです。1つ1つの練習も、たぶん去年より高いレベルでやれたと思いますし、引っ張り合うことで余裕を持ちながらできたと思います。

――帰国された後、八王子前の調整練習では練習量を維持しながら、ジョグの質も落とさなかったそうですが、それを実行するのは勇気が要ることでは?
鈴木芽吹:
以前と比べたらあまり落とさなかったということで、実際には落としているので、そんなに不安はありませんでした。意図としては合宿で、去年よりもレベルの高い練習を疲労感なくやることができていたので、大会前だからといって練習を大きく落としてしまうと、合宿で得られていた良い感覚が失われてしまう不安が逆にありました。ある程度合宿からの流れでやっていけば、レースでも走れるんじゃないかな、という感覚が自分の中にあったんです。

前半を抑え気味に走っていた前回のニューイヤー駅伝

――10000mのことは後ほどまたうかがいますが、2度目のニューイヤー駅伝が迫っています。前回は2区で区間2位でしたが、悔しさが残る走りだったのか、力を出し切った走りだったのか、どちらでしょうか?
鈴木芽吹:
昨年は八王子ロングディスタンスが終わってから、ケガとかではありませんが、体の状態があまり良くなくて。そのままニューイヤー駅伝当日を迎えてしまったので、欲張らずに走るしかありませんでした。前半を抑え気味に行って、余裕が出たときか、残り距離が少なくなったときに上げていくプランだったんです。区間賞は(15秒差で)取ることができませんでしたが、その時点でできること、やろうと思っていたことはしっかり出せたと思います。

――区間賞の池田耀平(花王・27)選手と長く並走していましたが、どんなことを考えていましたか?
鈴木芽吹:
やはり駅伝なので僕個人の順位云々より、チームとしてこの区間を良いものにすることを一番に考えていました。ライバルになる旭化成やHonda、GMOインターネットグループといったチームが前にいたので、それらのチームに最低でも追いついて、少しでも引き離すことが一番求められていたと思います。追いついて来られた池田さんを利用して、と言ったら少し失礼になるかもしれませんが、一緒に追い上げたいと思っていました(GMOインターネットグループと9秒差の2位に進出)。

――今回のニューイヤー駅伝では、仮に2区であればどんな役割が求められそうです
か。
鈴木芽吹:
チーム内でも今は若い選手がトラックのタイムで勢いがあります。その選手たちを中心に、前半から前に出るレースはしないといけないと思っています。2区に限ったことではありませんが、前半から積極的に行きたいですね。体調も去年よりは良い状態になっています。

マラソン選手たちと走ることが楽しかった

――日本記録保持者として駅伝に出場することになりますが、その点はどう考えていますか?
鈴木芽吹:
先ほど話したように、自分の中では自己ベストを出しただけと考えていますが、(拠点とするGgoatチーム指導者の)大八木弘明総監督からは、日本記録保持者という肩書きがこれからは付いてくるので、誰にも絶対に負けないプライドだったり、そういうものを持って走らないと本当の意味で日本記録保持者として認められない、そうやって走ることで成長していかないといけない、と言っていただきました。確かにそういう気持ちはすごく大事だと思うので、大八木総監督のご意見も受け容れつつ、あまり意識しすぎずに走りたいと思っています。

――2区はトラックの代表選手、マラソンの代表選手と、色々なタイプの選手が走ります。個人のプライドをぶつけ合う側面もあるのですか?
鈴木芽吹:
実業団駅伝は色んなカテゴリーのトップ選手が集まります。前回は距離が一番長い2区でマラソンランナーの方も多く、長い距離は自分たちのテリトリーだから勝ちたい気持ちで来ていたと思いますし、僕としても20kmになったからといって、スピードでは負けないぞ、という気持ちで走っていました。プライドと言っていいのかわかりませんが、そういう気持ちのぶつかり合いは確かにあると思います。普段はあまり一緒に走らない選手たちと走ることは、すごく楽しかったです。

――学生駅伝との違いを、どんな部分に感じましたか?
鈴木芽吹:
実業団選手はマラソンにしろ、トラックにしろ、世界に挑戦している選手が数多くいます。チームとしての目標も、駅伝で結果を残すことと世界で戦う選手を育成することの2つを持っているチームがほとんどです。大学生は駅伝を、特に箱根を集大成として位置づけていますが、世界を目指す実業団選手にとって駅伝は通過点です。その一方で学生駅伝はあくまで大学スポーツであって、負けたから何かがあるわけではありません。もちろん結果も欲しいのですが、過程が重要でそこで後悔なく頑張ることに集中していました。その点実業団は、会社として優勝なり、入賞なりを求められていて、結果を出すことへの責任感は学生駅伝より強いと思います。

26分台への練習として考えていることは?

――10000mの日本記録を出したことが、今後にどうつながりますか?
鈴木芽吹:
26分台が近づいて来た実感を得ることができました。今までは出せたらいいな、くらいだったものが、次は現実的に、本気で狙いに行ける感覚を持つことはできました。

――そのための練習もイメージできていますか?
鈴木芽吹:
基本的にはそんな大きく変えるつもりはありませんが、例えば1000mを最低でもこれまでより数秒早く設定し、リカバリーは長くとりながら5本やったり、質の高い練習を要所、要所で入れたりしたいと思っています。あとは動き作りや補強など、細かい部分を妥協せずに継続していくことも重要かな、と思います。

――練習のレベルを上げるために駅伝が何かしら役立ちますか?
鈴木芽吹:
駅伝になると、10000mをやっている僕からすると距離が長くなるので、スタミナを意識した取り組みもします。練習にボリュームを持たせるので、土台を作っていくという意味で、すごく良い影響があると思います。

――日本記録の時に良かったことの1つに“蹴らずに脚を置いていく動き”があるということですが、その走り方は駅伝などロードでも同じですか?
鈴木芽吹:
カーボンの入った厚底シューズは、置いて走れば反発で脚が回っていきます。その特性はロードの方が、大きく利用できると思っています。僕はもともと、蹴りが強くてスピードがあるタイプではないので、ランニングエコノミー、つまり走りの効率を良くして筋力に頼らない走りが合っています。そこを意識した動き作りや補強をやっている中で、徐々に目指す走りに近づいているのかな、と思います。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)

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