物価高対策に「おこめ券」?現金?ポイント?それとも…各自治体の対応は【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2025-12-25 20:02

物価高対策として政府が推奨する「おこめ券」の配布。
その効果に各自治体から疑問の声があがるなか、東京・墨田区が23区で唯一「おこめ券」を配布する方針を決めました。商品券も選択できるということですが、区民はどちらを選ぶのでしょうか。

【写真で見る】23区で唯一「おこめ券」配布 区民の反応

23区で唯一「おこめ券」 墨田区民の選択も様々

食料品価格の高騰に対応するために政府が拡充した「重点支援地方交付金」。

政府は各自治体にこの交付金を使って「おこめ券」を配布することを推奨していますが、東京・品川区が選んだのは「おこめ券」ではなく、5000円分の「ギフトカード」。

1人当たり3000円分の交付金に加え、区の財源から2000円分を上乗せしています。

品川区 森澤恭子 区長
「おこめ券だと用途が特定品目に限られてしまう、経費がかかってしまう。ギフトカードのほうが合理的だと判断」

「おこめ券」を配布しない判断をした自治体はほかにもあります。

荒川区 滝口学 区長
「これ(おこめ券)は、どうしても事務費がかかるので。事務費を極力、抑えられる方法ということで、現金給付ということで」

JNNが東京23区の交付金の使い道について調査したところ、15の自治体が「おこめ券」を配布しない方針、もしくは配布しないことを決定。7つの自治体が検討中で、「おこめ券」の配布を決めたのは墨田区のみでした。

墨田区は「区としては、なるべく多くの選択肢を示したい」として、「おこめ券」に加え、複数の商品券を用意し、区民が自由に選べるようにするということです。

「おこめ券」と「商品券」、区民はどちらを選ぶのでしょうか?

墨田区民
「差し迫っては、おこめ券の方がいいかな。(おこめは)主食で食べるものですから」
「商品券ですね。おこめも買えるし、他の必要なものも買えるので、バラエティーが豊かなんで有意義」
「おこめ(券)です。うちは1週間に5キロなくなります」
「孫とかにご馳走もしたいし、プレゼントもあげたい。お年玉もあるし、現金がいいです」

区民の考えも、自治体の対応も様々なようです。

政令指定都市では「ゼロ」 おこめ券配布

井上貴博キャスター:
調査をしたところ、政令指定都市で“おこめ券”を配布するという自治体は「0市」でした。

【「政令指定都市」おこめ券は配布する?】
▼配布する:0市

▼配布しない(方針を含む):13市
仙台市・新潟市・さいたま市・静岡市・浜松市・名古屋市・京都市・大阪市・岡山市・広島市・福岡市・北九州市・熊本市

▼未定・検討中:7市
札幌市・千葉市・横浜市・川崎市・相模原市・堺市・神戸市

「配布しない」または「未定・検討中」の理由としては、やはりおこめ券は事務費用が多くかかるという点があげられているということです。

費用がほぼかからずに“12月から”の活用も

井上貴博キャスター:
では、各都市はどのように重点支援地方交付金を使うのでしょうか。

【福岡市】人口 約167万人(約91万世帯)
▼下水道使用料2か月無料 (ほかプレミアム商品券発行支援など)
●“スピードと公平性を重視”
●1世帯あたり平均3350円の負担減

<理由>
●迅速に対応できる(12月分から随時対応)
●事務費がほぼかからない

事務費用については、市民からの問い合わせなどに対応する体制を構築するなどで、一定程度かかるということですが、「ほぼかからない」というメリットがあるといいます。

“地域経済を回すため” 京都市は独自制度を検討

井上貴博キャスター:
京都市では、アプリを開発して、市内の店舗のみで使えるデジタル地域ポイントの配布を検討しているということです。

【京都市】※検討段階 人口 約143万人(約76万世帯)
▼デジタル地域ポイント
●1人あたり5000円分(ほか子育て世帯・非課税世帯への給付)
●方法:専用のアプリを開発→マイナンバーカードを紐づけてポイント配布
●時期:来年夏頃~(想定)
●利用:京都市内の店舗のみ→“地域経済を回す狙い”

専用のアプリをこれから開発するため、すぐできるわけではありません。

アプリ費用には事務費用が結構かかるのではないかと思いましたが、開発費を含めても現金給付よりも少なく済むといいます。

【事務費用どれだけ変わる?】
▼アプリ商品券:約9億円(開発・運営・周知・人件費等)
▼現金:約15億円(口座の振込手数料等 コロナ禍の給付時)
▼商品券(紙):上記2つよりもさらに高額(印刷・郵送・事務手続き等)

出水麻衣キャスター:
皆さんの生活が潤って給付しなくて済むようになるのが一番ですが、今後のことも考えると、思い切ってアプリを開発してインフラを整えるというのは大事なことだと思います。

井上貴博キャスター:
アプリ商品券は開始時期が2026年夏頃となっていますが、紙の商品券でもそのくらいかかると言われていますし、やはり今、初期投資をして進めていくというのは一つ大きな動きになりそうです。

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