「アメリカは出て行け!」揺れるグリーンランド トランプ氏は欧州に関税で“脅し” 「第三次大戦の始まりになったら…」住民の不安【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-01-20 01:09

アメリカのトランプ大統領はグリーンランド領有に向け、圧力を強めています。領有を認めないイギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパ8か国に対し、新たに「関税を課す」と脅していて、亀裂が深まっています。

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■「アメリカは出ていけ」揺れる島

北極海に面する世界最大の島、「グリーンランド」はいま、揺れています。

記者
「アメリカ領事館の前に住民が沢山集まっています。グリーンランドの旗を掲げて、グリーンランドは売り物ではないと訴えています」

「私たちのグリーンランドだ」

17日、中心都市ヌークで行われた抗議デモ。氷点下の中、およそ5000人が声を上げました。

トランプ大統領の決めゼリフ「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」をもじった「Make America Go Away(アメリカは出て行け)」と書かれた帽子も…。

グリーンランド市民
「アメリカの大統領ともあろう人が、このように振る舞うことをとても悲しく思う」
「グリーンランドはグリーンランド人のもの。アメリカに支配されたくない」

デンマーク王国の一部であるグリーンランド。人口およそ5万7000人のほとんどが先住民のイヌイット系で、漁業や狩猟など、独自の伝統文化を育んでいます。

記者
「くじら類の一種だそうなんですが、ネズミイルカの刺身をいただきます。コリコリしているんですけど、すごく脂がのってて新鮮でおいしいです」

グリーンランドの領有に向け、トランプ大統領は強いこだわりを見せてきました。

アメリカ トランプ大統領(9日)
「いずれにせよ、グリーンランドに対して何か行動を起こすつもりだ。彼らが望むかどうかは関係ない」

軍事力の行使も排除しない姿勢に、ドイツやフランスなどNATO=北大西洋条約機構の国々は、グリーランドに部隊などを次々と派遣。

記者
「あちらに今、デンマーク軍の哨戒艦がヌークの沖に出ているのが見えます。連日、あのように巡廻しているのが見られます」

こうした動きに苛立ちを募らせたのか、トランプ氏はデンマークやイギリス、フランス、ドイツなどの8か国に、新たに関税を課すと表明。2月1日から10%の関税、さらに6月1日には25%に引き上げられ、グリーンランドの購入が合意に至るまで、この関税が継続されるとしています。

トランプ氏のこの対応に、イギリスのスターマー首相は…。

イギリス スターマー首相
「同盟国に対する関税の適用は完全に誤りだ。同盟内の意見の相違を解決する正しい方法ではない」

アメリカも一員であるNATOの基盤を揺るがしかねない行動に、ヨーロッパには反発が広がっています。

8か国の共同声明(18日)
「関税による脅しは欧米関係を損ない、危険な悪循環を招く恐れがある」

■“北極海の覇権”争いの裏に…

なぜトランプ氏はここまでグリーンランドにこだわるのか。北極海をめぐる“覇権争い”が指摘されています。

これまでアジアとヨーロッパを繋ぐ航路は、スエズ運河を経由する「南回り航路」でした。しかし、面積の8割を覆っているグリーンランドの氷が解け始めたことで、太平洋と大西洋を最短で結ぶ「北極海航路」が航行しやすくなり、アジアとヨーロッパを短時間で行き来することができるようになったのです。

中国はこの新たな航路を“氷上のシルクロード”と呼び、開発を進め、ロシアも北極海で軍事演習を行うなど、「安全保障」の要として重要性が増しているのです。

ただ、グリーンランドにはすでにアメリカの基地があり、およそ200人の部隊が駐留しています。

グリーンランド自治政府の議員は、トランプ氏の“真の狙い”は安全保障ではないとみています。

グリーンランド自治政府議員 ボー・マーティンセン氏
「彼(トランプ氏)は何らかの『レガシー』、つまり、帝国のようなものを築こうとしているのだと思います。ただ、そのために人々を犠牲にするべきではありません。一度立ち止まり、現実を見るべきです」

住民は不安を募らせています。

中学生の息子と暮らす小学校の教師・マリナさん(40)。この日、2人が見ていたのは、自宅のバルコニーで撮影した空港の映像です。

Q.それは何
「回っている」
「光っているやつ(スウェーデン航空機)」

マリナさんの息子 クリスチャン君
「いつもそうなんだ」

マリナさん
「きのうもスウェーデンの航空機の着陸をバルコニーから見て待っていたんです」

グリーンランドで生まれ育ったマリナさんは「戦争が近づいているように感じる」と打ち明けます。

マリナさん
「本当に怖い。戦争なんて経験したことがなく、ニュースでしか見たことがありません。もしこれが第三次世界大戦の始まりになったらどうしようと…。毎朝、息子を学校に送り出す度に『これが永遠の別れになるかもしれない』。そんなことを考えてしまいます。怖いです」

「これは悪霊退散の歌です」
「“ここから出ていきなさい”」

■トランプ氏に日本はどう向き合う?

小川彩佳キャスター:
このNATOの基盤を揺るがしかねないトランプ氏の言動に、日本がどう対応するのかについても、選挙で問われることになる部分です。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今回見えてきたのは、アメリカという日本の同盟国で、同盟の価値よりも自分の利益を大事にする大統領が時々出るということです。

これは例えば、同盟国の日本よりも中国との貿易や、北朝鮮との関係改善を大事にする可能性もあるので、他人事ではありません。

今よく言われてるのは、日米同盟がプランAだとすると、その同盟を維持しつつも、新しいプランBをそろそろ考える必要があるのでは、ということです。

外交関係者の中では少しずつ議論され始めています。もちろん日米同盟は維持するのだけど、東南アジアやヨーロッパ、韓国、オーストラリアなどの国々とも非常に密接な関係を築く、例えば安全保障の関係も強化して、「アメリカが頼りにならないのであれば、我々はこういうオプションもありますよ」というプランBを用意しておく、ということを日本全体として考えてもいいのではと思います。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身

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