忙しいビジネスパーソンの学びを支える AI時代の新しいeラーニング KKCompany Japanの発表会レポート
働きながら新しいスキルを身につけたい。でも、なかなか時間が取れない――。そんな悩みに応える学習プラットフォームが登場しました。
2026年1月28日、KKCompany Japan合同会社がAIを活用した「スキルアップサプリ(次世代型eラーニング/LXP新サービス)」の提供を開始。渋谷サクラステージで開催された発表会では、代表のトニー・マツハシ氏が、AIが切り拓く学びの新しい形を紹介しました。
動画の中身までAIが“理解”する

KKCompany Japanは、台湾・シンガポール・日本とアジア太平洋圏に拠点を持つAIマルチメディアテクノロジーグループです。音楽配信サービス「KKBOX」や、テレビ朝日の動画配信プラットフォーム「テラサ」、J:COMの「J:COM STREAM」など、100万人を超える視聴者を抱えるサービスを支えてきました。
今回発表された「スキルアップサプリ」は、同社が提供するマルチメディア対応AIプラットフォーム「BlendVision AiM(ブレンドビジョン・エイム)」をベースに発展させたサービスです。最大の特徴は、文字や音声だけでなく、動画の映像そのものもAIが分析できる「マルチモーダルAI」。「例えば、会議を録画した動画をアップロードすると、AIが自動的に内容を分析します」とマツハシ氏。重要なキーワードをタグとして抽出し、話題が変わるタイミングでチャプター分割を行い、それぞれの要約まで生成してくれます。「AIに不慣れな方でも、気になるタグのボタンをクリックするだけで、該当するシーンにすぐジャンプできます」。
従来の議事録作成ツールは音声をベースとした文字起こしが中心でしたが、スキルアップサプリでは映像情報も含めてAIが分析。音声や文字情報では拾いきれない内容まで理解できるのが強みです。
「管理」から「体験」へ。LMSからLXPへの進化

今、企業の学びが大きく変わろうとしています。従来の企業向けeラーニングは、LMS(学習管理システム)が主流でした。人事部門が用意したコンプライアンス研修や情報セキュリティ研修を、社員が順に受講していくスタイルです。「管理者視点での学習管理が中心で、主導権は人事側にありました」とマツハシ氏は振り返ります。
それに対して、今アメリカを中心に注目されているのが、LXP(学習体験プラットフォーム)というコンセプトです。従業員自身が学ぶべきコンテンツを自ら見つけられる環境を目指し、各個人のニーズに適したカリキュラムで学習を進められます。
「実は当社でも数年前に、IDP(個別育成プラン)を導入しようとしたんですが、頓挫してしまいました」とマツハシ氏。従業員一人ひとりと面談を重ね、ニーズを把握し、カリキュラムを組んでいく作業は、マニュアルでは大変な負担だったのです。「AIの進化によって、ようやくここが実現できるようになってきています。それが今、LXPへのパラダイムシフトが起きている理由です」。
AIがあなた専用のカリキュラムを提案

デモンストレーションでは、営業担当の三木氏が実際の画面を操作しながら機能を紹介しました。
標準パッケージには、株式会社Hajimariが提供する1000本以上のeラーニング動画が見放題で搭載されており、ビジネスマナーからロジカルシンキング、AI・DXまで幅広いテーマがカバーされています。動画は5分程度の短尺コンテンツも多く、通勤時間などの隙間時間にも視聴が可能です。
注目の機能が、AIによる個別育成プランの提案です。例えば「IT企業で5年間営業として勤めている」という現在の職務経歴と、「営業マネージャーを目指したい」という目標をAIに入力すると、AIがスキルのギャップを分析。「販売戦略の立案」「チームマネジメント」といった必要なスキルを提示し、それを習得するための具体的な学習コンテンツを提案してくれます。
三木氏は「これまでのLMSは企業が従業員の学習を管理するツールでしたが、スキルアップサプリは従業員一人ひとりが自分の興味や目標に対して、AIと一緒に学習を進めていくことができる。そういった体験を提供したい」と語ります。忙しいビジネスパーソンにとって、これは心強い味方になりそうです。

また、マツハシ氏も注目していると語るのが、社内外のコンテンツを広く柔軟に活用できる点。標準のeラーニング動画だけでなく、社内の研修動画、会議の録画、業務マニュアル、プロジェクトの引き継ぎ資料など、様々な形式の情報をAIが取り扱えます。これによって、事業内容を把握したAIがどんな示唆を示してくれるのか、今後が楽しみだとマツハシ氏は語ります。
実際、マツハシ氏自身も社内でスキルアップサプリを活用しているそう。「タグを見るだけでどんな内容か分かりますし、要約も確認できる。分かっているところは1.75倍速で見て、分からないところは丁寧に見る。後から復習する時も、該当シーンにジャンプできるので、本当に時短になります」と、使い勝手とタイムパフォーマンスの良さとを実感しているといいます。
管理者向けには、従業員への研修タスク割り当て機能や、AIによる自動テスト生成機能、学習進捗を可視化するダッシュボードなども実装。従業員に学んでほしいが、その管理が追いつかない、という悩みを解決するツールとしても真価を発揮しそうです。

料金プランは月額880円(1ユーザーあたり)からスタート。このミニプランでは標準搭載の1000本の研修動画が見放題で、AI機能もフル装備。自社の会議録画や業務マニュアルなども活用したい場合は、ライトプラン以上での利用となります。
AIが切り拓く学びの新しい形。個人のキャリアアップを、企業の成長を、テクノロジーが後押しする時代が始まっています。
<取材・写真・文/双海しお>