認知症の人の居場所作り 調布市内で開かれている「注文を間違えるカフェ」

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2026-02-03 16:00
認知症の人の居場所作り 調布市内で開かれている「注文を間違えるカフェ」

「注文を間違えても、どうかあたたかい目で見守ってください」

認知症の人が働く場として、東京・調布市内で月1回、第2水曜の正午から2時間半、開かれているのが「注文をまちがえるカフェ オレンジデイSENGAWA」です。

「注文をまちがえるカフェ」で働く人が感じるやりがい、楽しさ

場所は、京王線・仙川駅近くの「うくらいま食堂」で、定休日にボランティアの運営委員会が場所を有料で借りて開いています。

1月の開店日は14日。
取材に行くと、店の前の看板には「注文を間違えても、どうかあたたかい目で見守ってください」とオレンジ色の文字で書いてあります。

オレンジは認知症支援のシンボルカラーです。

この日、正午から1時間担当する認知症スタッフは森田利雄さん(88)。
開店と同時にお客さんが次々と入り、オレンジ色のエプロンをつけた森田さんがボランティアスタッフの女性と一緒に、注文を聞いていました。

メニューを限定し、配膳を手助けするための「テーブルの色分け」も

カフェでは注文を受けやすくするため、メニューは飲み物とスイーツだけに絞っています。
注文票は大きな文字で、飲み物は「あたたかい」と「つめたい」、そして「スイーツ」に分けられ、わかりやすくなっています。
食器は丈夫だけど軽いものを持ち込んで使っています。
森田さんは注文を聞いて、ゆっくりと頼まれた品名に丸をつけていました。

店内は、2人掛けのテーブルが6つで、配膳の時に見分けやすくするため、様々な色の花が置いてあります。

「紫にお願いします」と言われた森田さんが少し迷っていると、女性客が「こちらが紫です。私の好きな色ですよ」と声を掛けます。
森田さんは「どうぞごゆっくり召し上がってください」と飲み物とスイーツを置いていきます。

前から気になっていたけど、この日タイミングが合って初めて来た、というお客さんもいれば、毎月の常連さんもいます。
お客さんが帰る時、森田さんはドアのところまで出て、見送っていました。
ある男性客は「季節をいつも感じられますし、こちらに来るのがとても癒されます」と話しかけ、森田さんはうれしそうでした。

「注文をまちがえるカフェ」で働く人が感じるやりがい、楽しさ

森田さんはカフェで働くのはここが初めてですが、営業の仕事を長くしていたそうで、とても話し好きです。
妻の正子さんに話を聞くと、森田さんは自治会長を長く務めていたそうで、カフェに歩いて来る時も、すれ違う近所の人の名前が思い出せなくても、顔がわかると、声をかけ、ちょっとおしゃべりしたりするそうです。

お二人に一緒に話を聞くと、森田さんは「ここに来るのは、楽しいです。環境は変わるし、お話しする内容とか面白い」と話します。
営業の仕事も毎日、一生懸命やりました、という森田さん。
正子さんが「今でも働きに行きたいんですよ」と付け加えます。
「明日は11時半までにカフェに行くって、前の日にメモしていても、朝になると、きょうは何だっけという感じです。でも、きょうカフェでしょ、というと、嬉しそうに支度しています」。

「注文を間違えても許される飲食店」を作るまで

「オレンジデイSENGAWA」の開店は2023年の4月。

森田さんは開店と同時に働き始めました。
3月まで働くと、丸3年になります。
同じような取り組みは、各地に広がっていますが、定期的に、継続して開かれているところは、あまりありません。

運営委員会の代表、漢那亜希子さんは、認知症になった自身の父親が、アルバイトを探す姿を見ていて、「居場所がほしいのでは」と感じたそうです。
そこで、栄養士でもある漢那さんは「間違えてもゆるされる飲食店はどうだろう?」と発案、賛同したスタッフと一緒に運営委員会を作りました。

スタッフは皆本来の仕事を持ちながらのボランティアですが、相談を受けた「うくらいま食堂」が、全員が集まることができる水曜日を定休日にしたことで、借り続けることができています。

この活動は助成を受けたこともありますが、基本はカフェの売り上げと寄付で運営を続けているため、今も寄付を必要としています。
地域の人たちに活動を広く知ってもらおうと、昨年の12月には、調布の福祉祭りに出店しました。
温かい飲み物と、ボールペンやステッカー、Tシャツといったグッズを販売し、寄付を募りました。 

認知症の人の「居場所」作りを長く続く活動にするために

その時、漢那さんは「認知症の方の居場所作りが主な目的なので、1回でも多く長く開催していかないと意味がない。資金には苦労してますが、地元の人が気軽に参加していただけるような地域ボランティア活動であるということをお伝えしたいと考えて出店しました」と話していました。

認知症になった人が、社会との結びつきを失い、外出しなくなると、体力も衰えがちです。
自宅から出て、活躍できる居場所があることは意欲を失わないためにも、やりがい、生きがいを見つけるためにも大事なことです。
カフェでは、認知症の人の家族から相談を受けることもあるそうです。
認知症について、知ってもらう、考えてもらうきっかけになる場でもあります。

TBSラジオ「人権TODAY」 担当:崎山敏也

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