「女が偉そうにするな」「”跡継ぎ”の弟に先にご飯」女性たちが地方を去る理由とは…【news23】

まもなく新しい年度を迎え、進学や就職をきっかけに、多くの若者が東京へとやってきます。中でも、目立つのが若い女性です。なぜ彼女たちは、地方を離れ、東京を目指すのか。キャリアアップや都会への憧れ、理由はそれだけではないようです。
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「全く知らん場所で一人で頑張ってみたい」目指すは東京就職
「自らの手で人生をたぐりよせたい」。首都圏の企業と学生とのマッチングイベントが行われました。
長崎出身の大学生
「私は地元が長崎なんですが、すごい上京したい気持ちがあるので」
山梨出身の大学生
「挑戦したいという思いは自分の中である」
地方から3人の女子大学生も参加しました。彼女たちが目指すのは、東京での就職です。
3人は、イベントの運営会社が提供するシェアハウスに宿泊。最大3週間利用でき、地方から来た学生の就職活動を支援します。
大阪出身の大学生
「全く知らん場所で一人で頑張ってみたい」
山梨出身の大学生
「めちゃいい理由じゃない?2倍くらい輝いてる“東京”ってだけで」
止まらない東京への一極集中。毎年、女性の流入が男性を上回り、中でも際立つのが20代前半の女性です。
なぜ、彼女たちは地方に背を向け、東京を目指すのでしょうか。
母を残す後ろめたさと「クリスマスケーキの法則」
東京に出るか迷う長野の会社員
「もっと違う世界があるんじゃないかなっていう気持ちもあるし、私は母親のような道は歩めないというのもある」
長野県に住む25歳の会社員の女性。「男は仕事、女は家庭」そんな価値観の中で育ちました。一緒に暮らす祖母は、“昭和の人”そのものだといいます。
東京に出るか迷う長野の会社員
「(私の)弟が家の跡継ぎになるので、弟が先にご飯が出てきたり」
祖母は、とりわけ嫁である母親には厳しく、自由を与えませんでした。
東京に出るか迷う長野の会社員
「外には(自由に)出させてもらえなくて、家事をずっとやっている。やっと子育てが終わるのに、次は好きじゃない祖母の介護をすることになるんじゃないか。(母は)『私は召使いなの?』と」
地元を出たい気持ちがある一方で、ここに母親を残していいのかという葛藤もありました。
東京に出るか迷う長野の会社員
「私がお母さんにできることは、そばにいることだし、目を背けて出て行くのは違うのかなという後ろめたさもあって」
最近、地元・長野の同級生2人が転職し、一足先に東京で暮らし始め、東京を訪れる機会が増えました。
東京に出るか迷う長野の会社員
「(東京に)住んでみてどうなの?」
上京した同級生
「自分では合ってるかもと思ったけど」
「分かる。合ってる」
「自分を出していいんだなというのは東京に来てから思った」
さらに彼女には、長野を離れたい理由がありました。
東京に出るか迷う長野の会社員
「クリスマスケーキ法則あるじゃん」
上京した同級生
「何それ何それ」
「クリスマスケーキの法則」とは、クリスマスケーキが25日を境に売れなくなるように、女性も25歳を過ぎると価値が下がり、結婚しづらくなるという古い考え方です。
上京した同級生
「マジで私たちの年齢って全然まだ。結婚とかじゃない」
東京に出るか迷う長野の会社員
「長野にいて、みんな結婚ブーム」
上京した同級生
「でも焦るかも、孤独感じるかも。『待って、私やっぱおかしい?』みたいな」
東京に出るか迷う長野の会社員
「分かる。めっちゃ分かる。長野にいても楽しいんだけど、何か『うーん』みたいなのが…」
「生まれ育った場所だけど死ぬ場所ではない」地方を去る女子学生
地方を離れると決めた、京都の大学に通う広島出身の女性。春から大学院に進学しますが、その先は東京で働きたいと考えています。
広島出身の大学生(23)
「広島にいたら出会わなかったような人たちがたくさんいるので、圧倒的に世界が広がった感じがする」
地元の広島に帰省して、母親に大学院に進むことを報告しました。母親は、京都へ行く際も背中を押してくれるなど、よき理解者です。
母親
「ここで楽しくなさそうな娘を見て、近くにいても娘っぽくない感じでいるんだったら、離れていてもそっちの方がいいなと思う」
広島出身の大学生
「自由がないもん。何もできんもん。こっちおったら」
母親も、この地域での生きづらさを感じていました。先日、娘の今後について、義理の父と口論になったときのことです。
母親
「娘が勉強することに対して、『勉強することの何がいけんの』と聞いたときに、『女が勉強して知恵つけてもいいことはない』と言われた。
『知恵をつけて何がいけんの』って言ったら、(義理の父は)『女が偉そうにするな』と言い、『おまえにどんだけの稼ぎがあるんじゃ』と言った。『女は男について行くもので、稼げる男が偉い』と言っていた」
ただ、母親も義理の父のすべてを否定しているわけではありません。
母親
「おじいちゃんはおじいちゃんの中で、その生き方しか知らなかったし、そうやってこの町を守ってきたから今ここがあるのもわかるし」
娘は、ふるさとへの思いを抱えながらも…
広島出身の大学生
「生まれ育って私を育ててくれた場所ではあるけど、死ぬ場所ではないなと思います」
内閣府の調査でも、東京圏に暮らす地方出身の女性のうち、地元で「家事・育児・介護は女性の仕事」という意識があったと答えた人は4割に上っています。
「若者・女性に選ばれる地域づくり」固定化された仕組みを見つめなおす
人口流出は女性の問題なのか。見過ごされてきた女性たちの本音に、光をあてようとする人がいます。
「地方女子プロジェクト」代表の山本蓮さんは、地方出身の女性100人以上に聞き取りをしてきました。2025年に行われた石破前総理との地方創生をめぐる意見交換会では…
「地方女子プロジェクト」代表 山本蓮さん
「若者・女性に選ばれる地域づくりを目指すことは、女性だけでなく、あらゆる人が生きやすくなる地方を目指すことになる」
山本さんは、山梨県北杜市が主催する勉強会にも招かれました。周辺の町の職員や議員も出席し、固定化された男女の役割分担意識を見つめ直します。
町議会議員
「年配の男性の人たちが決めた仕組みで物事が進んでいる。それを改善するためには、意思決定する場所に女性が入るべき」
市は今後、何ができるかを考えるきっかけにしたいということです。
「地方女子プロジェクト」代表 山本蓮さん
「結局はその地域の人がどうありたいか、その地域のいる人が変えたいと思っているかがすごく大事」