世界初!海底「レアアース泥」回収 内閣府チームリーダーに聞く!採鉱大作戦と“国産化”への道筋【ひるおび】

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2026-02-06 15:28
世界初!海底「レアアース泥」回収 内閣府チームリーダーに聞く!採鉱大作戦と“国産化”への道筋【ひるおび】

政府は世界で初めて海底から「レアアースを含んだ泥」の引き上げに成功したと発表しました。
深海魚も泳ぐ水深6000mの海底から、どのように回収したのでしょうか?
研究プロジェクトのチームリーダーである石井正一氏がスタジオ生出演。
「国産レアアース」開発の展望についても詳しく聞きました。

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発見された「レアアース泥」何がすごい?

埋蔵量は世界の需要の数百年分を満たすという試算も
◎放射性物質などの有害物質をほとんど含まない
1日350トンのレアアース泥を採取すれば、経済性が見出せる可能性も

1月12日、探査船「ちきゅう」は静岡県の清水港を出港。18日に「ちきゅう」から採鉱機を降下させました。
そして2月2日、南鳥島沖の海底約6000mにあるレアアースを含んだ泥を、世界で初めて回収しました。
内閣府の大型研究プロジェクトの一環として行なわれたものです。

恵俊彰:
世界の需要の数百年分を満たす量が、日本のすぐそばにあるってことですよ。

内閣府プログラムディレクター 石井正一氏:
日本にとって、そして世界にとっても「明るい光」になるんじゃないかと思います。

スタジオには、「レアアース泥」の実物が・・・

内閣府プログラムディレクター 石井正一氏:
これが6000mの海底にあるレアアース泥の本物で、2018年に(試験的に少量を)採ったものです。海水を抜いてマッドケーキ状態にして、分離精製し、最終的にジスプロシウム・テルビウム・ネオジムなどになります。

生活に欠かせない「レアアース」

私たちの身近でも使われているレアアースは、抽出が難しく産出量も少ない「レアメタル(希少金属)」の一種で、17種類の元素の総称です。
このレアアースを加えることにより素材の性能を高めることから、『産業のビタミン』とも呼ばれています。
▼自動車のモーター▼スマホのメモリー▼テレビなどの液晶▼蓄電池(リチウムイオン電池)などに使用されています。

内閣府プログラムディレクター 石井正一氏:
レアアースを加えると、高温下でも力を発揮するんです。
普通の磁石は、温度が高くなると磁力が減退してしまう。それがこれを振りかけると高温下でもくっつく。皆さんがビタミン剤を飲むのと同じ考えです。

レアアースであるネオジムを含んだ磁石は、普通の磁石より磁力が強く、モーターの性能を高めたり、小型化を実現したりすることにつながります。
日本は現在70%以上を中国からの輸入に頼っており、国産化への期待が高まっています。

深さ6000mからどうやって採る?採鉱大作戦

ジャーナリスト 大谷昭宏氏:
そもそも、1900㎞も離れた海底6000mにレアアースがあると、なぜ分かったんですか?

内閣府プログラムディレクター 石井正一氏:
2000年頃から国際海洋科学掘削で、日本やアメリカなどの先進国で太平洋の科学掘削をやったんです。何十本も採りまして、それを東大とJAMSTECの先生方が分析したところで、存在が明らかになりました。

6000mは、スカイツリーの高さの約9.5倍です。
この深さから、どのように泥を採取するのでしょうか?

まず、10mのパイプを600本、船の中でつなぎながら6000m下まで降ろしていきます。
そして、先端にある採鉱装置で吸い上げるのですが、海上の船は波や風の影響で動いてしまいます。GPSの位置情報や風速計の情報を船内のシステムで自動計算し、船底のスクリューを調整することで船の位置をキープしていたそうです。

さらに先端にある採鉱装置にも驚きの仕組みがあります。
泥の中に埋められた装置の中にはプロペラ状のものが付いており、これを回して泥をかくはんします。そこにパイプで上から海水を勢いよく流し、その圧力で6000mの高さに泥を引き上げていくのです。

内閣府プログラムディレクター 石井正一氏:
これは海洋石油天然ガスで使われる技術を使っておりまして、閉鎖空間を作って、そこで海水を中の細い管で入れ、スラリー状態になったレアアース泥を船上にあげる。
石油天然ガスの技術をしっかりと応用した形の技術展開を、私どもチームが考えてやったということですね。

この「閉鎖型循環方式」は、海底の泥の巻き上げによる生態系への影響を最小限に抑えられるというメリットもあります。

恵俊彰:
確かに、深海魚とか生き物がたくさんいますもんね。

石井正一氏:
深海は真っ暗な世界で、1平方センチに600キロの圧力がかかっているわけですね。
装置が着底したときには泥が巻き上がりますが、これも数メートル以内ですぐ沈下します。そして深海魚が泳いでるのが見えるということは、海洋環境を破壊しないということです。

持ち帰ったレアアース泥は・・・

研究施設で泥水の成分や海底で得たデータを分析し、泥からレアアースが実際に精製できるか試みます。
レアアース泥には放射性物質やヒ素などの有害物質をほとんど含まないことが分かっているので、産業廃棄物などの処理工程が少なくなるという利点もあります。

石井正一氏:
「レアアース鉱石」からの精製のプロセスは中国に占有されておりますけれども、「レアアース泥」からのプロセスの研究開発は日本が総力を挙げてやって、何とか精製・製錬も日本でできるようにしたい。
でもそのためには物(レアアース泥)がないと駄目なんですよ。
2027年2月には本格的に採りにまいりたいと思っております。

恵俊彰:
すごいですよ。鉱物からでなく泥からレアアースを採ろうとしているのは日本だけで、その技術は日本が今トップランナーであると。

弁護士 八代英輝:
中国がレアアースに関して今、独占的な地位にあるのは、精製過程で環境負荷がかかってしまうからで、それが許されてできるのが中国の内陸部だけだから、実際のところ先進国は難しいというふうに言われていました。先生の説明だと環境負荷が非常に低い精製技術を用いてできるのではないかという可能性が出てくる。

石井正一氏:
クリーンなレアアースができるという考え方で、これからの日本の研究開発を進めてまいりたいと思っています。

“クリーンなレアアース”今後の計画は

2027年2月に、1日最大350トンの泥を引き揚げる本格的な試掘を行う計画があり、試験開始までに、南鳥島に泥から海水を抜く脱水処理をする施設を建設する予定です。

石井正一氏:
再来年の28年3月までには経済性をしっかりと皆さんに見えるような形にします。
経済性を抜きにしてレアアース開発は議論することができないものですから。
内閣としては、全体の技術的な実証をする。鉱区を設定するための基礎的な条件を詳細に調べています。
技術的に採れる、精錬もできるということになると、民間事業者が入ってきやすいわけですよね。内閣府は9府省が今連携して、このルートを築こうとしています。

国産レアアースの重要性について石井氏は、「日本の経済安全保障の観点から、供給源の多様化が重要。選択肢の一つとして、南鳥島のレアアースが少しでも貢献できれば」と話します。

石井正一氏:
政府全体としても、2010年の中国からの供給停止2か月を教訓にいたしまして、2010年から15年間かけて供給源を特定国に過度に依存しない、いわゆる多角化多様化をしていきましょうという考え方できました。
その中の一つとして「国産レアアース」の選択肢があるということです。
今は選択肢にまだノミネートされませんので、早くノミネートされるような形に研究開発を加速する必要が、今の国際情勢ではあるのではないかと思っています。

恵俊彰:
まだ一歩かもしれませんけれど、とても大きな一歩で、力強い一歩なんだということがよくわかりました。

(ひるおび 2026年2月3日放送より)
==========
<プロフィール>
石井正一氏
内閣府の大型研究プロジェクト
「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」プログラムディレクター

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