“高市自民党”が歴史的圧勝 選挙結果の必然性と違和感 “熱狂”の末に残る課題

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-02-15 07:00
“高市自民党”が歴史的圧勝 選挙結果の必然性と違和感 “熱狂”の末に残る課題

戦後最短、解散から投開票まで16日という“超短期決戦”となった衆議院選挙は、高市総理が率いる自民党が結党以来最多、316議席を獲得する圧倒的勝利で幕を閉じた。

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自身の進退を賭け、高市総理を信任するかどうかを争点に設定する「高市劇場」ともなった選挙戦は、「高市総理の、高市総理による、高市総理のための選挙だった」との声も上がる。

選挙戦を振り返ると、「高い内閣支持率」や「巧みな選挙戦略」など、勝利には必然性も見られたが、選挙制度から生まれる違和感や制度の課題も浮き彫りとなる結果となった。

批判も追い風に変える高市総理

真冬の2月に衆議院選挙が行われたのは36年ぶり。雪国への負担や大学受験シーズンと重なるといった時期の問題に加え、「物価高対策が最優先」と訴えてきた高市総理が、2026年度予算案の年度内成立よりも衆議院の解散を優先したことには、野党などから「自己都合解散」などと批判の声が相次いだ。

だが、高市総理への批判の声は、猛烈な“高市旋風”を前に、打ち消される結果となった。

実はこうした風潮は、選挙の前から見られていた。高市総理就任後に問題視された台湾有事をめぐる発言でも、日中関係の悪化を懸念する声が野党やメディアの間で沸き起こったが、高市総理の発言後、去年12月におこなったJNNの世論調査では「発言は問題とは思わない」が55%と過半数を占めるなど、高市総理の言動は国民に好意的に受け止められる傾向が続き、内閣支持率は7割前後の高い水準を維持し続けてきた。

自民党関係者はこう指摘する。「初の女性総理ということもあって期待感が大きい。保守色が強いのも強固な支持を得やすい。アメリカ軍の空母の上ではしゃいだり、首脳会談の際に韓国国旗にお辞儀したりするなど、石破総理や岸田総理が同じ事をしていたら猛烈な批判を受けるようなことでも、高市総理がやると、それが好意的に受け止められる」

石破前総理との距離感も追い風に

高市総理は石破前総理と距離があったことで、石破内閣からの政策転換を大胆に打ち出せたことも支持の高さに繋がっていると見る永田町関係者は多い。

ある自民党の閣僚経験者は「事実上、政権交代をしたようなものだ」と話し、変化を求める国民が、停滞する日本を高市総理なら変えてくれるのではないかという「期待感」を抱いていると分析する。ただ、「この期待感が失望に変われば、そのまま逆風になる」と楽観する様子は見られない。

したたかな選挙戦略 消費減税の争点潰し

2025年の参院選では、「年収の壁」の引き上げを主張した国民民主党や、「外国人への規制強化」を掲げた参政党が躍進した。そして多くの野党が「消費税の減税」や「ガソリンの暫定税率の廃止」を掲げたのを前に、財政規律を重視した石破総理率いる自民党は大敗した。

そして、参院選からわずか半年。今年の衆議院選挙の自民党の公約を見ると、高市内閣の取り組みと実績には、参院選で野党が訴えていた「ガソリン税の暫定税率廃止」や「年収の壁見直し」などが前面に打ち出された。少数与党となる中、野党に迫られ実現した形だが、野党の“人気政策”が自民党の実績としてアピールされた。

また、自民党は消費税の減税についても初めて公約に盛り込んだ。

自民党のあるベテラン議員は「消費税の減税を盛り込むことで、争点つぶしになった」と話し、したたかな選挙戦略が自民党の歴史的大勝に繋がったと分析する。

語られた希望と、語られなかったリスク

高市総理が選挙期間におこなった街頭演説をAIを使って分析すると「日本」「投資」「成長」「未来」などといった言葉が多く使われていたことが分かる。また「人を動かすのは希望だ」と訴えるなど、明るく前向きなメッセージを発信し続けた。

これに対し惨敗を喫した中道改革連合・野田共同代表(当時)らの演説は、“解散時期”や“円安による物価高”など、高市政権の批判に触れることが多く、具体的で前向きなビジョンを打ち出すことに欠けていたと評する声がある。

ただ、高市総理はポジティブな言葉を並べる一方、そこに潜むリスクを話すことは少なく、丁寧さや正確性に欠く発言も見られた。

高市総理が「(円安で)外為特会の運用はホクホク状態」と発言した際には、合わせて「円高がいいか、円安がいいのかわからない」とは述べたものの、民主党政権下の円高の問題点は指摘する一方、円安の欠点や高市政権の積極財政が物価高を引き起こすリスクについては触れなかった。

また、南鳥島周辺の海底からレアアース泥の採取に成功した後の演説では、「日本はこれから、今の世代も次の世代もレアアースには困らない」などと発言したが、実際には、安定した採取が可能なのか、採算性はあるのかなど課題は多い。現時点で「困らない」と言うには根拠が乏しく、誤解を招きかねないと指摘する声も上がる。

小野田経済安保担当大臣もレアアースの産業化に向けては“採取にかかる費用の大幅なコストダウンが重要”との認識を示している。

議席割合と得票率の乖離からくる違和感 政治に突きつけられた課題

衆議院選挙は自民党が316議席を獲得する大勝となった一方、立憲民主党と公明党が合流して結成した中道改革連合は大幅に減らし、自民党の6分の1以下の49議席と惨敗した。

ただ、比例代表の得票数は自民党が2103万票だったのに対し、中道改革連合は1044万票と約半数だった。

連日、「自民党大勝」「高市一強」といった言葉がマスメディアやSNS上で飛び交うが、自民党の比例代表の得票率は36.7%で、日本維新の会の8.6%と合わせても与党で45.3%程度と半数を下回る。

与党の比例代表の得票率が45.3%なのに対し、獲得議席率は75.7%というギャップに違和感を覚える人もいるのではないだろうか。

小選挙区比例代表並立制は、政党・政策本位で政権交代が可能となる二大政党制を目指し、1996年の衆院選で初めて導入されたが、小選挙区で死票が多く出るため民意を反映しにくいという課題が指摘され続けてきた。

導入から30年が経ち、民意が多様化する中、今の選挙制度のままでいいのか、見直しを求める声も上がっている。

高市総理は、衆議院の解散にあたり「国論を二分するような大胆な政策についても、批判を恐れることなく果敢に挑戦していきたい」と意欲を示し、多くの有権者の信認を得て公約の実現に向けた安定した政権運営が可能となった。

だが、今の選挙制度のもとでは、議席数には表れない多くの民意があることも忘れてはならない。

衆議院選挙を受けた特別国会は2月18日に召集されるが、高市総理が、数の力で政策を推し進めるのか、それとも野党の声にも真摯に耳を傾け丁寧な議論を尽くすのか、今後の政権運営が注目される。

TBSテレビ 政治部
官邸キャップ 中島哲平

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