「試乗した2人に1人が成約」EV世界首位・中国『BYD』は日本車の牙城を崩せるか【Bizスクエア】

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2026-02-18 07:00
「試乗した2人に1人が成約」EV世界首位・中国『BYD』は日本車の牙城を崩せるか【Bizスクエア】

中国のEV最大手『BYD』が日本市場で攻勢を強めている。ターゲットは日本のお家芸とも言えるハイブリッド車と生活の足でもある軽自動車。圧倒的な価格競争力を武器に、日本の風景を塗り替えようとするBYDの戦略とは?

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同装備国産車より「150万円安い」

2025年12月、中国のEV最大手『BYD』が日本市場に投入したのは、意外にもエンジンを搭載した“プラグインハイブリッド車”「SEALION6(シーライオン6)」。

通常はモーターのみで走行し、電池の残量が少なくなるとガソリンエンジンを回して充電。モーターとエンジンを併用することで「最大1200km」もの長距離走行が可能だ。(※ガソリン満タン・満充電の場合)

試乗した元レーシングドライバーの桃田健史さんは、“コストパフォーマンスの高さ”に驚いたと話す。

自動車評論家・桃田健史さん:
「例えば高速道路の料金所の合流とか出口でアクセルを多めに踏んでも、結構な重さがある車だけど重さを感じさせないフィーリングで、やっぱり価格以上。日本の自動車メーカーたちには明らかに脅威」

シーライオン6の価格はFWD 2駆で398万2000円(税込)。同じ装備の国産車と比べ“150万円ほど安い”という。しかもー

桃田さん:
「国産車の場合はかなりグレード分けが多いのでエントリーモデルはこのぐらい、フル装備だと平気でプラス100万円とか。BYDはいわゆるワンプライス。わかりやすい値付けが強みだと思う」

試乗した客の「2人に1人が成約」

BYDの車は日本の消費者にどのように受け入れられているのかー

試乗した男性(50代):
「安かろう悪かろうなら安いのもな…と思うが、乗ってみて本当に600万700万の車と全然遜色ない。だいぶ心が動く」

東京の『BYD AUTO 目黒店』では、“試乗した客の2人に1人が成約”とのこと。

この日納車を迎えた夫婦は、たまたま近くの展示場で見かけて「かっこいいな」という第一印象から始まったという。

夫:
「一度展示場に行き1時間後にもう一度妻を連れて見に行って、そこから1週間後には買っている」

妻:
「私はもう中国車っていうので買う気もないしという感じだったけど、車を見るとすごい。日本は遅れているんだなって」

“手厚いサポート”でも心を掴む

BYDが注力するのは、売りっぱなしにしない“手厚いサポート”だ。
カーナビなどのアップデートに戸惑うユーザーには、ディーラーが丁寧に教えてくれる。

“次の買い替えもBYD”という男性ユーザー:
「例えばアプリを更新する操作でわからないときがある。最近もメニュー画面が変わったが、そのインストールの仕方・使い方とかそういうことも教えてもらえる」

『BYD AUTO 目黒』舞野悠樹店長:
「一部のお客様は使い方に少しハードルが上がってしまう。そこを使いこなすことで今までより便利になる。何かあったときにはすぐに対処できるよう取り組んでいる」

2026年夏「軽EV」投入の勝算は?

BYDが次に狙うのは、日本の新車販売の4割を占める「軽自動車市場」の攻略だ。

2025年10月に開催されたジャパン・モビリティ・ショーでは、日本の軽自動車の規格に合わせ独自に開発した軽EV「RACCO(ラッコ)」を発表。開発期間はわずか2年で、2026年夏の発売を予定している。

<BYD 軽EV「ラッコ」>
▼高さ1.8メートルの「スーパートール型」
▼両側スライドドア
▼航続距離は、電池容量別に200km超と300km超の2タイプ

『BYDオートジャパン』東福寺厚樹社長(67):
「今まで日本の各メーカーが素晴らしい軽自動車を出しているが、それと遜色のない使い勝手の良さが“最初から担保されている”ので、実車で確かめてもらえたら」

――各社軽EVの価格帯を見ると、BYDなら“198万円”あたりに?

▼日産「サクラ」【259~308万円】/航続距離180km
▼ホンダ「N-ONE e:」【269~319万円】/航続距離245km
▼ダイハツ「e-ハイゼット カーゴ」【314~346万円】/航続距離257km
▼スズキ「Vision e-Sky」【価格未定】/航続距離270km

東福寺社長:
「なんとかそこまで行けるといいですが(笑)。やはり先輩方の素晴らしい軽EVがすでに日本で発売されてお客様にも受け入れられているので、少しでもお求めやすい価格帯が実現できないかということで今鋭意詰めている」

そもそも、日本特有の車種「軽自動車」に参入したのはナゼなのかー

1つは、BYDが掲げる<地球の温度を一度下げる>というブランドビジョン。日本で軽EVを増やすことは“脱炭素に向けた取り組みの一環”だという。

さらに、“軽自動車とEVの相性の良さ”もあるという。

東福寺社長:
「軽自動車では1日あたりの走行距離が40~50kmというのが普通なので、EVという少し限られたサイズのバッテリーを積んだ小さな車でも十分その距離は稼げる。何より家に帰ってきてコンセントに繋いでおけば夜間充電で朝になったら満充電という使い方ができるので、軽のEVはすごく使いやすいツールとして受け入れてもらえるのではと思う。また、ソフトウェアでどんどんアップデートすることができるので、そういう意味でも新しい軽を提供できるのではないか」

――軽への参入で、販売台数をどれくらいにしたいと?

東福寺社長:
「25年が3700台だったので、26年は軽を上積みすることで、何とかテスラが25年に達成した1万台を目指していきたい」

日本市場での手ごたえは?

2023年にはコンパクトSUV「ATTO3」・コンパクト車「ドルフィン」、24年はスポーツセダン「SEAL」、25年はクロスオーバーSUVの「シーライオン7」を投入し、日本市場での販売台数は順調に伸びているが、実は“誤算”もあったという。

<BYD 日本でのBEV販売台数>
▼2023年:1446台⇒▼24年:2223台⇒▼25年:3742台

『BYDオートジャパン』東福寺厚樹社長:
「参入当初は25年あたりはもっとEVが普及しているだろうという想定だった。なかなかそこが伸びていかない中で、ゼロスタートにしてはまあまあな販売台数かなとは思う」

確かに、日本でのEV化のスピードは遅い。新車の燃料別台数の割合をみると、ハイブリッドとガソリンが90%以上を占め、バッテリーEVはわずか1.5%だ。

<2025年 燃料別販売台数>計253万3523台
▼ハイブリッド⇒60.4%
▼ガソリン⇒31.9%
▼プラグインハイブリッド(PHEV)⇒1.6%
▼バッテリーEV(BEV)⇒1.5%
▼その他⇒4.6%

※日本自動車販売協会連合会より

東福寺社長:
「やはりハイブリッドは非常に優れた技術で、多くの支持を得ている。バッテリーEVに関しては今までは車種がどうしても限られていたが、2026年になって各社新しいEVもどんどん発売されてきている。より多くの人にEVやプラグインハイブリッドに目を向けてもらえるのではと期待してる」

安さのワケは、ほぼ“自社生産”

価格の安さもBYDの大きな武器だ。

<各社のプラグインハイブリッド>
▼BYD「シーライオン6(2駆)」【398万2000円】
EV走行距離:100km/航続距離(エンジン+バッテリー):1200km
▼トヨタ「RAV4 Z(4駆 )」【490万円】
EV走行距離:95km/航続距離(エンジン+バッテリー):1221km
▼三菱「アウトランダー(4駆)」【529万4300円】
EV走行距離:106km/航続距離(エンジン+バッテリー):1000km

『BYDオートジャパン』東福寺厚樹社長:
「日本には先輩方の素晴らしいプラグインハイブリッドが数々あるので、やはり同じ価格ではなかなか選んでもらえないというのも現実。なので、よりお求めやすい価格帯はどこだろうと研究して400万円は切りたいと。本社ともだいぶネゴシエーションして何とか実現できた」

――当然採算は取れる計算。どうして安くできるのか?

東福寺社長:
「BYDはバッテリーのメーカーとして創業し、バッテリーだけではなくてモーターや半導体などいろんな部品を自社で生産できる体制になっている。ガラスとタイヤ以外はグループ会社を含めると“全て自社生産”なのでコスト競争率が非常に高い。そこをお客様にも還元する意味でお求めやすい価格付けができた」

――プラグインハイブリッドは、“ハイブリッド信仰”が強い日本での一つの突破口になりうると?

東福寺社長
「プラグインハイブリッドは、EVとハイブリッドの良いところを両方持っている。我々はシーライオン6から『スーパーハイブリッド』という名前で、ハイブリッドだけれども、さらにEVの良さを味わってもらえる素晴らしいクルマというふうにプロモートしている」

「中古で売る時に安くなる」は昔の話

『第一生命経済研究所』の熊野英生さんは、「トヨタもコストダウンを必死にやっての値段なのにそれより低い」と驚く一方で「中古車で売る時にEV車は価格が安くなるのでは」とユーザー目線の懸念も口にする。

この点はどうなのか?

『BYDオートジャパン』東福寺厚樹社長:
「初期のEVは中古車になったときにバッテリーの寿命や走行距離が短くなってしまうということがあった。ただ、今のEVは10年使っても10%劣化するかしないかぐらい。BYDでは、かつ補償条件を10年間で30万キロまで延ばしているし、中古車になっても何かあったらバッテリーを無償で交換できるということが安心感にも繋がると思う。また、近いうちにディーラーでのバッテリーの診断も始める予定で、充電の履歴や劣化など全てわかるようになるので、より安心して使ってもらえると思う」

(BS-TBS『Bizスクエア』2026年2月14日放送より)

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