「動物病院」ちゃんと行っていますか?猫のワクチン接種や予防の必要性について【獣医師執筆】

2026-02-19 17:20

猫ちゃんは動物病院を苦手とすることが多く、ストレスなどを考慮して受診頻度が減りがちです。子猫のころのワクチン接種のみの受診以降、全く動物病院に行けていないという飼い主さんもいるのではないでしょうか。本来であれば行うべきワクチン接種などの予防は行えていますか?優先順位が低くなりがちな予防ですが、必要性があるものなのです。

猫ちゃんに必要な予防

ワクチンのバイアルを見つめる子猫

お外が苦手でまったくお外に出ない猫ちゃんも多く、病院自体が苦手という猫ちゃんも多いでしょう。

他の猫ちゃんにも接触しないから予防なんて我が家の子には必要ない!と思っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

しかし、猫ちゃんの健康にとって、そして飼い主さんの生活にも大きくかかわる病気への予防はとても大切です。

ワクチン接種

猫ちゃんもワクチン接種は必要です。

海外へ渡航する場合などは、国によって、狂犬病の接種や猫の混合ワクチンを打つことが定められている場合もありますが、国内での混合ワクチンの接種は義務付けられていません。

ではなぜ必要なのでしょうか。

多くの猫ちゃんが生まれたころの環境から猫風邪のウイルスや細菌をもって成長することが多いです。

体内に残るウイルスや細菌は疲れや体調不良によって、症状が現れます。

混合ワクチンには、猫風邪の原因となるウイルスや細菌が含まれており、混合ワクチンの接種によって、症状が起こる頻度を減らしたり緩和することにつなげられる可能性があります

フィラリア予防などの寄生虫予防

生まれ育った環境によって、体内にすでに寄生虫を持っている猫ちゃんもいるでしょう。

実際にうんちに出てきてびっくりしたことのある飼い主さんもいるのではないでしょうか。

消化管に寄生する寄生虫がよく知られていますが、気を付けるべき寄生虫は他にもいます。

わんちゃんへの感染でよく知られるフィラリア症は、蚊が媒介する寄生虫の病気であり、近年は猫ちゃんへの感染で知られています。

猫ちゃんの場合、重症化やすく、感染すると高確率で死に至る危険性があることがわかりました。

また無症状であることもあるため、症状に気づかないまま突然死につながることもある怖い病気です。

外部寄生虫予防

ノミやマダニなどの外部寄生虫予防も大切な役割を持ちます。

ノミやマダニの寄生は皮膚炎などのトラブルにつながることや、猫ちゃんへの違和感などの負担になるイメージが強く、致命的なものではないため、あまり重要視されていない傾向があるでしょう。

しかし、最近はマダニを媒介したウイルス感染症で飼い主さんにも影響を及ぼす人獣共通感染症が発見され、日本国内でも次第にみられるようになっています。

実際に感染して命を落とした方もいるため、媒介するマダニなどの外部寄生虫の予防はとても大切です。

予防をしない理由で多いもの

物陰から不安そうに顔を覗かせる猫

実はとても大切な予防ですが、実際に病院に来る猫ちゃんに聞いてみると、ずっと予防をしていなかったり、適切な機関で予防が行えていないことが多いです。

なぜ予防をしないことが多いのでしょうか。

以下のような理由が多いですが、皆さんの考える理由と同じでしょうか?

動物病院が苦手

猫ちゃんは動物病院が苦手な子も多いです。

他の動物のにおいが苦手、家族以外の人に接するのが苦手、病院でされることが苦手、様々な苦手があるでしょう。

ストレスになるくらいであれば、動物病院に行くことをやめたほうが良いのではと考えて、子猫ちゃんのころに受診をして、それ以外の受診はあきらめる飼い主さんもいます。

予防接種は獣医師が行う必要があるため、動物病院とのかかわりは必要です。

お外に出ないから良いのでは?

細菌やウイルスの感染症や、外部寄生虫の感染は猫ちゃん同士の接触や自然の多い場所での感染のイメージが強く、以前と比較して外に自由に出る猫ちゃんは減った傾向もあり、外に出ないから予防は必要でないという意見を持っている飼い主さんもいるでしょう。

しかし、感染経路は猫ちゃんが直接接触したり持ち込むことだけではありません。

飼い主さんの衣服に付着したり、同居しているわんちゃんがいる場合、散歩に出たわんちゃんの体に付着して持ち込まれることもあります。

新しく猫ちゃんを迎える場合、お迎えした子が感染していて猫ちゃんや家庭に感染が広がってしまう場合もあります。

予防って何?

猫ちゃんの場合、わんちゃんなどと異なり、国内で過ごすにあたり、飼い主さんが果たすべき義務などは法律で定められていません。

そのため、猫ちゃんをお外に出す機会も少なく、病気や健康のための知識がほとんどない状態でも天寿を全うしてしまう場合もあるでしょう。

すべき予防の知識や、健康のどんな面に気を付けるべきかなどの知識が飼い主さんの間にあまり広まっていないという問題も挙げられます。

普段の癖や体の特徴と思っていたことが、実は健康面での問題だったということもあります。

健康面の注意や猫ちゃんの予防などについて「知らなかった!」というお声も聞きます。

どうしたら予防が可能?

リラックスしながら獣医師の診察を受ける猫

投薬やおうちの外が苦手な猫ちゃんたちにとって、ハードルの高い動物病院の受診や予防薬の投与ですが、健康のために行うことが理想です。

ではどうしたら少しハードルを下げることができるのでしょうか。

動物病院の選定

まず、動物病院が苦手という猫ちゃんの場合、動物病院の雰囲気や待たされる間の緊張、他の動物さんたちの気配など、苦手なものがはっきりしているのであれば、苦手なものや条件が感じられにくい動物病院を選ぶというのも有意義でしょう。

例えば、獣医師の先生との相性や、猫ちゃんの扱いが上手かどうかなども、猫ちゃんがストレスを感じるかどうかということに関係することがあります。

最近では診療体制や、動物病院の環境で猫ちゃんへの配慮がされている動物病院をキャットフレンドリークリニックとして認定する制度もあります。

動物病院を選ぶ際の基準にしても良いでしょう。

往診の利用

おうちの外に出ることが難しい猫ちゃんの場合、往診という診療システムを利用することも選択肢の一つです。

獣医さんがおうちに来て、ワクチン接種などの診療を行うシステムです。

往診のメリットは、お外が苦手な猫ちゃんでもご家庭で診療を受けられるということです。

デメリットとして、往診というシステムを取り入れていない動物病院もあるということ、おうちの中でも攻撃的になったり、逃げるのが上手で捕まらない猫ちゃんの場合、処置ができない場合があることなどが挙げられます。

適切な予防薬の使用

猫ちゃんが感染をしないためや広げないために欠かせない予防ですが、お薬を苦手とする猫ちゃんはたくさんいます。

ねこちゃんはこだわりがそれぞれ強い子が多いため、何を苦手と感じているかが異なります。

経口投与が苦手な子、スポットタイプのお薬の液の感覚が苦手な子、日常生活と違うことをされることがストレスに感じる子など様々です。

しかし、予防薬にもいろいろあります。

飲み薬タイプのもの、背中に垂らす液状のもの、持続性のものなどがありますが、ご飯に混ぜたり、寝ている間に滴下するなど種類と投与方法やタイミングを適したものにすることで、猫ちゃんも飼い主さんも感じていたストレスを軽減できる可能性があるでしょう。

まとめ

飼い主の膝の上でなでられている猫

お外に出ないから、高齢だから、病院が苦手だから…様々な理由で予防を行っていないケースがあると思います。

しかし、予防はおうちの猫ちゃんだけでなく、飼い主さんや同居している動物さんの健康を守ることにもつながります。

予防を行うことが遠ざかってしまう理由があるのであれば、解決方法を見つけて、猫ちゃんも飼い主さんやご家族の動物さんもみんなが健康に過ごせることが理想です。

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