華やかな「平和の祭典」五輪の陰で… 「どんな軍事侵攻にも反対」“追悼ヘルメット”失格の代償払っても… メダル選手「何より大切なことは…」【サンデーモーニング・風をよむ】

オリンピックは今回も多くの感動を与えてくれました。その一方で、平和の祭典といわれながら、開催期間中もロシアやイスラエルによる攻撃は続き、そしてアメリカ社会の分断といった問題も影を落としました。
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「どんな軍事侵攻も支持しない」国籍を変更した“ロシア選手”
熱戦が続くミラノ・コルティナオリンピック™も、2月23日に閉幕を迎えます。
金メダルに輝いたフィギュアスケートのりくりゅうペアをはじめ、日本は冬季オリンピックで史上最多のメダルを獲得しました。
そんな華やかな祭典の陰で、「どんな軍事侵攻であろうとまったく支持しません」と語ったのは、スピードスケート男子10000メートルで銀メダルを獲得したウラジーミル・セミルニー選手。
2025年8月、国籍をロシアからポーランドに変更。理由はウクライナ侵攻に反対だったからです。
他にも様々な理由から、多くのロシア出身の選手が国籍を変更。ロシアメディアによると、今大会、外国代表として37人が出場しています。
メダル常連国だったロシアは、ウクライナ侵攻を続けており、今回も同盟国ベラルーシとともに国を代表する形では出場できません。
ロシアによる侵攻を“積極的に支持している”とIOCに判断された選手らは除外。両国から個人資格の中立選手として、20人が出場しました。
失格となっても…侵攻で亡くなったアスリートの写真をヘルメットに
かたや、ウクライナの代表選手からは…
スケルトン男子・ウクライナ代表 ウラジスラフ・ヘラスケビッチ選手(27)
「マリシェフ選手はバイアスロンの選手で、殺害された時19歳だったんです」
ロシア軍との戦闘で命を落としたという19歳の若者を含む、侵攻で亡くなったアスリート24人の写真をあしらったヘルメットで競技に臨もうとしたヘラスケビッチ選手について、IOCは「政治的発言を禁じるオリンピック憲章に反する」としました。
ヘラスケビッチ選手
「ウクライナで今、私たちがどれほど大きな犠牲を払っているか、戦争がどれほど恐ろしいものかを世界に改めて知って欲しい」
失格という代償を払ってでも、戦争の悲惨さを訴えたのです。
実は2025年11月、国連では、オリンピックに先だって加盟国全てに期間中の休戦を求める決議を採択しました。
しかし、現実は開幕からの5日間で、5人の子どもがロシア軍に殺害されたと、ウクライナ側はその惨状をSNSに投稿し、休戦破りを非難したのです。
ロシアが国として出場できなかったのに対し、イスラエルの出場に“ダブルスタンダード”だなどの批判が。
オリンピック期間中もガザへの空爆を行い、2025年10月のハマスとの停戦合意以降だけでも犠牲者は600人を超えましたが、今回イスラエルは国として出場しています。
「アメリカを代表するのは複雑な気持ち」移民政策にも批判
さらに今回の大会に影を落とした問題もあります。
開会式当日、会場となったミラノでは、アメリカのICE=移民・税関捜査局に対する抗議デモが起きました。
デモ参加者
「(ICEは)アメリカで恐ろしい犯罪に手を染めた組織の一部で、移民に対し人種差別的な治安強化策を推進している」
相次ぐ市民への発砲で批判を受けるICE。今回、アメリカ代表団の警備支援のため派遣されることに抗議の声があがったのです。
こうした状況に、アメリカの代表選手は複雑な心境を吐露します。
アメリカ・フリースタイルスキー代表 ハンター・ヘス選手
「今のアメリカを代表するのは複雑な気持ちです。少し難しい。国旗を身につけているからといって、米国で起きている全てを代表しているわけではありません」
これにトランプ大統領は「本物の負け犬だ。こんな選手を応援するのはとても難しい」と、SNSで非難したのです。
戦争・分断の暗い影 一方で、国を超えた繋がりも
戦争や分断が暗い影を落とす一方で、平和や連帯を願うオリンピックの精神を、改めて思い起こさせる場面もありました。
スノーボード女子ハーフパイプで、韓国のチェ・ガオン選手が激しく転倒。競技が続けられるか、危ぶまれます。
一方で、日本の小野光希選手は会心の滑りで、一時2位に付けます。
しかし、韓国選手が最後に逆転して金メダルを獲得したことで小野選手は銅メダルに。それでも真っ先にその韓国選手にかけより、祝福したのです。
また、スノーボード男子ビッグエアでは、銅メダルの中国選手が、金、銀を獲得した日本の選手を讃え、金メダルの木村葵来選手を抱き寄せて祝福します。
中国・スノーボード 男子ビッグエア 蘇翊鳴選手
「 キラ(木村選手)やリョーマ(木俣椋真選手)と共に表彰台に立てたことは、間違いなく僕にとって特別です」
試合後、蘇選手はSNSに「競技そのものよりも大切なものがあります。スノーボーダー同士と国同士の愛を分かち合うことこそがより重要なことなのです」と綴りました。