イランへの軍事攻撃の背景には「自らの政権を延命する意図も」激しく対立してきたイスラエルとイランの視点と思惑を元中東支局長が解説

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2026-03-01 06:06
イランへの軍事攻撃の背景には「自らの政権を延命する意図も」激しく対立してきたイスラエルとイランの視点と思惑を元中東支局長が解説

イスラエルとアメリカが行ったイランへの軍事攻撃。
激しく対立してきたイスラエルとイランの双方にとって、今回の軍事攻撃が持つ意味と背景をJNNの元中東支局長が解説します。

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イスラエルにとって今回のイラン攻撃の意味は?

【秌場 元中東支局長】 
イスラエル政府、イスラエルのネタニヤフ首相にとってはイランは宿敵です。国連総会がある度に演説で、「イランが核を持ったら大変だ」ということを言い続けてきました。
それは一面、本当でもあります。実際にイランは「イスラエルという国はなくなるべきだ」というようなことをずっと言い続けてきた国家ではあります。
一面ではそうなんですけれども、もう一面ではやはり外に敵を作ることで、自分の政権の基盤強化とか、あるいはイスラエル政府がパレスチナの人たちに行っている行為から目を逸らさせる意図もあります。

現在行われている攻撃は、ある意味その延長線上にあるんですけれども、去年の「オペレーション・ミッドナイトハンマー」とトランプ大統領が誇らしげに言う、アメリカがバンカーバスターという貫通弾を使って地下深くにあるイランの核施設を叩いた作戦というのは、ネタニヤフ首相にとっては素晴らしい展開だったんです(イスラエルは常にアメリカを巻き込みたかった)。
けれども、実際それで本当にイランの核計画を根絶やしにできたかというと、それは分からなかった(というより、懐疑的な見方が支配的だった)。
また、弾道ミサイルですね。こちらも叩いておきたいという考えもずっとありました。(昨年6月の応酬で、イスラエルはイランの弾道ミサイルによる「飽和攻撃」で防空網が破られ、死傷者を出した)

ただ今回、レジームチェンジ、つまりイランの体制を転換するということが本当にできたら、ネタニヤフ首相にとっては非常に大きな成果にはなります。 

彼は、ガザのハマスによる2023年10月7日の攻撃を許してしまったことについて、国内から強い批判もあります。あれだけの犠牲者を出す攻撃をなぜ察知できなかったのか、なぜ防げなかったのかというのはずっと言われてきているんですけれども、首相側は、「ガザでの戦闘が続いている間はそれを言うのはナシでしょう」というスタンスをとってきました。

ただガザでの戦闘も、括弧付きですけれども以前よりは落ち着きつつあり(それでも犠牲者は毎日のように出ていますが)、治安維持部隊の展開がどうこう、という段階になってきています。そうなるとネタニヤフ首相への責任追及の声が一段高まる、という状況にもなり得ます。
ここで新たにまたイランと戦争を本格的に始めることによって「自分の政権をさらに延命する」という計算が全くないかと言ったら、そんなことはないだろうという気がしますね。

イラン国内の状況は?体制に対するイラン国民の不満は?

【秌場 元中東支局長】 
イラン国民も当然一枚岩ではありません。
8000~9000万人も国民がいて、その中には当然今の政権に近い考え方をする人たちもいますし、今の宗教者が支配する政体そのものに強い不満を持つ方々もいます。
 中には「政権への不満もあるけど、経済だけうまく回してくれればいい。だけど、その経済がうまく回ってないじゃないか」という不満を持つ人もいます。

一方で、革命防衛隊、イラン軍の精鋭部隊ですが、彼らはやはり体制の中で優遇されているので基本的には体制を支えようとするでしょう。ただ、革命防衛隊の中も決して一枚岩ではありません。企業を作って儲けてる人たちもいて、「もっと外国とうまくやろうよ」という革命防衛隊の人もいれば、「もっとハードコアに体制を守るべきだ、アメリカに死を!」という人たちもいて、スタンスはバラバラです。

なので逆に言うとですね、じゃあ体制を転換して(というより、打倒して)「さあどうぞ皆さんテイクオーバーしてください」と言った時に、明確なリーダーが今のところ存在しないんですね。ですので、どうやっても混乱するんじゃないかと思います。 

イラン国民の中には、今のイランの現体制は嫌いだけどアメリカも嫌いという人も当然いるんですね。アメリカにはひどい目に遭ってきたと考えてる人たちが結構多いし、さらに、ネタニヤフ首相とかトランプ大統領に言われて何かをやるのは違うと、「我々は我々の力で体制を倒すのだ」と思ってる人たちもいます。

さらに、国外にはパフラヴィー朝(パーレビ朝)という1979年のイラン・イスラム革命の前にイランを支配していた王制の、元皇太子がいます。
この人が先般のデモなどを煽っていました。確かに彼が戻ってきてほしいという掛け声を発する勢力もあったんですけど、じゃあこの人が反体制派の核(コア)になれるかというと結構これについては懐疑的な見方が多いです。元皇太子もそこまで人気がない、と。どうなるのか本当に分かりません。そういう状況だということはトランプ政権もおそらくよく分かってるんですよ。 その上でトランプ大統領が「政権の打倒」に関して発言するというのは、やはり無責任な感じがします。

かつてイランの隣国イラクには、サダム・フセインという独裁者がいました。アメリカは、彼が大量破壊兵器の開発をしているんだという間違った情報を元に攻めていって政権を転覆するわけですけれども、その後に待っていたのはやはり混乱でしかなかったです。

この混乱によって(政権転覆後に治安維持を担当した)アメリカ兵もたくさん亡くなってるんですよね。
今回が、その二の舞にならないという保証がどこにあるのかということは、アメリカでも明確に示されていないと思います。

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