ホルムズ海峡“封鎖”でガソリン200円超の恐れも イラン情勢悪化で夏以降に電気代も影響か 懸念は「3週間分」の天然ガス【Nスタ解説】
アメリカやイスラエルによるイランへの軍事作戦。中東からの輸入に大きく頼っている原油の価格があがれば、ガソリン価格にも影響する見通しです。暮らしへの影響についてみていきます。
【画像を見る】妹と連絡が取れない…日本在住のイラン店主の不安
“封鎖”されている「ホルムズ海峡」とは?
井上貴博キャスター:
「ホルムズ海峡」は、クウェートやカタール、サウジアラビア、UAE、オマーンなど、中東の国々の近くにある、幅約30kmの海峡になります。
世界全体の石油消費量の約20%が通過しているため、イランが“ホルムズ海峡を封鎖すること”は世界中に大きな影響を及ぼすことになります。
今回で言いますと、アメリカが攻撃してきたため、イランとしてはホルムズ海峡を封鎖。そうすると、世界中に影響が及ぶことに繋がります。“それを止めたいならばアメリカの行動を止めなさい”というロジックが成立するわけです。
原油輸入の94%を中東に依存している日本は、ホルムズ海峡が封鎖されることで、どのような影響があるのでしょうか。
日本の船42隻が湾内に…動けない現在の「ホルムズ海峡」
井上キャスター:
まず、封鎖された「ホルムズ海峡」の現在の状況はどうなっているのでしょうか。
24時間リアルタイムでホルムズ海峡内をどのような船が、どの方向に動いているのかが分かるアニメーション(Marine Traffic)で、「イラン攻撃前」「3月3日」を比較すると、明らかに動きが違うことが分かります。
「攻撃前」は多くの船が行き交っている一方で、「3月3日」はほとんどの船が動いていません。封鎖されているため、停泊して動けない状況だそうです。
国土交通省の外航課によりますと、3日時点で、ペルシャ湾にとどまっている日本の船は42隻あるとのこと。連絡を取り合い、安否確認を常時行っている状況だそうです。
(それぞれの船は)こういった不測の事態に備えて、多くの食料、水、燃料などを積んであるとのことで、直ちに問題になるということはありません。
しかし、ご家族や関係者の皆さんが不安を抱いていらっしゃるだろうことは容易に想像できます。
約8か月分の備蓄があるが…ガソリン価格3割上昇か
井上キャスター:
現在、日本では石油備蓄(国と民間の総量)は254日分あると、木原官房長官は説明しています。
こういった備蓄を過去に放出した出来事としては、湾岸戦争(1991年)、東日本大震災(2011年)、ロシアのウクライナ侵攻(2022年)などがありました。
なお、政府は、現時点では「放出する必要はない」と判断しています。
国際開発センター研究顧問 畑中美樹さん:
254日分、つまり8か月ちょっとくらいとのことで、備蓄としては十分あります。そのため中東、あるいは、北アフリカ地域で何か起きたとしても、直ちに石油やガスの消費が日本でできなくなるという状況ではないので、ひとまず安心していい日数だと思います。
井上キャスター:
ホルムズ海峡の状況は世界中に影響しています。
例えば、日本よりも依存度が高い中国では、石油備蓄は約100日分しかありません。
そのため恐らく、中国は「ホルムズ海峡封鎖のニュース」について、内心いろいろと感じているところがあるだろうと思います。中国は今後、どう出てくるのかもポイントといえそうです。
避けられそうにないのは「ガソリン価格の上昇」です。
今回の攻撃直前は、レギュラーガソリン(1L)あたり約157円が水準でした。
軍事衝突が激化・長期化した場合はどうなるのか。
2024年にイスラエルがイランを攻撃したときのデータを見ると、当時はレギュラーガソリン(1L)あたり204円まで上がりました。
【ガソリン価格上昇で考えられるシナリオ】
※野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト、木内登英氏の試算
▼今回の攻撃直前
1バレル:67ドル
レギュラーガソリン(1L):約157円
▼軍事衝突が激化・長期化した場合(2024年イスラエルがイランを攻撃時)
1バレル:87ドル
レギュラーガソリン(1L):204円
国際開発センター研究顧問 畑中美樹さん:
約157円から204円と約3割の上昇です。4割までは上がらず、しかし2割では低いと考えると、上昇の幅として約3割というのはあり得る範囲かなという気がします。
陸上100mハードル 元日本記録保持者 寺田明日香さん:
ガソリン価格が上がってくると、電気代やガス代など生活に直結してくるので、これから夏に向けて大丈夫なのか、不安はすごく高まっていくなと思います。
井上キャスター:
厄介なのはタイムラグがあるところです。ガソリン価格はすぐ上がりません。日用品もすぐ上がりません。タイムラグがあってから価格が上がっていくことを頭に入れるべきなのかもしれません。
液化天然ガスも高騰する?先々で「電気代」にも影響の可能性
井上キャスター:
もう1つ懸念されるのが、「液化天然ガス(LNG)」です。
マイナス約160度で管理する必要があり、管理が非常に難しいと言われています。
現在、日本には約3週間分が保管されているそうです。
石油に比べて備蓄が少ないと感じるかもしれませんが、石油とは違い、「液化天然ガス」の中東依存は10.8%と、依存から脱却できています。
【「液化天然ガス(LNG)」日本の主な輸入国】※財務省「貿易統計」より
オーストラリア:39.7%
マレーシア:14.8%
カタール:5.3%
オマーン:4.5%
UAE:1.0%
国際開発センター研究顧問 畑中美樹さん:
基本的に、石油は中東依存が強いので、液化天然ガスは依存脱却しようという考えがあります。それと同時に、中東の産油国の中でも、ガスを産出している国はそう多くはありません。したがって、必然的に中東への依存度が下がってきているという側面もあると思います。
山形純菜キャスター:
液化天然ガス(LNG)の高騰はないと見ていいのでしょうか。
国際開発センター研究顧問 畑中美樹さん:
仮に原油価格が上昇すると、それに引きずられて、LNGの価格も上がってくると見ていた方がいいと思います。
井上キャスター:
情報は点としてではなく、それぞれの要素が影響し合っています。
そのため、先々、注意が必要なのは「電気代」です。
日本の電力構成を見ると、過半数を火力に頼っていることが分かります。
【日本の電力構成】
※資源エネルギー庁 資料より
火力(石炭):28%
火力(石油等):7%
火力(天然ガス):33%
原子力:9%
再生可能エネルギー:23%
経済産業省の担当者は、「原油の値上がりが続いた場合、夏以降の電気料金に影響がでる可能性がある」と話していました。
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<プロフィール>
畑中美樹さん
国際開発センター研究顧問
約40年にわたり中東諸国及び石油情勢を分析
寺田明日香さん
陸上100mハードル 元日本記録保持者
東京五輪で準決勝進出 “ママアスリート”の先駆者