【イラン攻撃】イラン側がホルムズ海峡を封鎖「一滴の石油も流出させない」 ペルシャ湾に日本船42隻が滞留…トランプ氏は“大規模攻撃”示唆【news23】
緊迫するイラン情勢について。「大波がまもなく来る」イランに対し、さらなる大規模攻撃を準備していると明らかにしたトランプ大統領。一方のイラン側は原油タンカーが通るホルムズ海峡を封鎖したと宣言。日本にも影響が出始めています。
【写真で見る】イラン国連大使「アメリカは子どもを殺している」
米・イスラエルの攻撃続く イラン国内の死者787人に
イラン国内の死者は、この一日で200人以上増え、アメリカとイスラエルの攻撃による死者は、787人にのぼりました。
こちらの病院では、爆風によりガラスが散乱。医療機関としての機能は止まっています。
住民
「なぜ?どうして?これから人生をどう立て直したら良いのか」
イランの報復攻撃も勢いを増しています。イスラエル中部では、礼拝所への攻撃で9人が死亡。イランによる攻撃は、イスラエルだけにとどまらず、周辺国のアメリカ軍基地などにも拡大しています。さらに…
あたり一面を埋め尽くすほどの煙。狙われたのは、サウジアラビアにある世界最大級の石油精製施設です。ドローン攻撃を受け、操業を停止したということです。
石油が“人質” 日本経済への影響は?
イランは今、いわば“石油を人質”にして、世界経済に打撃を与えるという報復に出ようとしています。
そのひとつが「ホルムズ海峡の封鎖」です。イランの革命防衛隊の司令官は…
イランの革命防衛隊 司令官(2日 国営テレビで)
「(ホルムズ海峡の)通過を試みる船舶はすべて焼き払う。この地域から一滴の石油も流出させない」
ペルシャ湾周辺には、世界最大級の油田群が広がり、その多くがホルムズ海峡を通って運ばれるため、封鎖の影響は計り知れません。
さらに、日本の石油消費量は、中東に95%以上依存。私たちの生活にも大きな影響が出る恐れがあります。
海運事業者の業界団体「日本船主協会」は、ペルシャ湾に足止めされている船と毎日、連絡を取り、情報収集を続けています。
日本船主協会・篠原康弘 理事長
「ホルムズ海峡がここ。ここが通れないために(ペルシャ)湾内に留まっている船がこれだけいる。これは世界中の船。日本の船は42隻いる」
日本関係の船の中には、日本人23人が乗船しているといいますが、現状、“安全確認はできている”としています。
また、原油の輸送は、ホルムズ海峡を通る以外にもパイプラインを使って別の海域から輸送する方法もありますが…
篠原理事長
「ただこのルートを使うとしても、レッドシー(紅海)のところは今、イスラエルとガザの紛争の関係で全く通れない状態。海上輸送ルート(ホルムズ海峡)が回復しないと、日本に原油を安定的に運ぶことは難しいと考えている」
原油価格が高騰すれば、ほとんどの仕入れ値が上がってしまうと嘆くのは、クリーニング店の店主です。
小林ランドリー・小林史明 店長
「石油系溶剤が、ずっとひたすら上がっている。このプラスチックハンガー、こういうのも次の仕入れから上がるってこの前連絡が来た」
クリーニング店に欠かせないものは、石油関連製品ばかり。物価高も重なり、不安な日々を過ごしています。
小林店長
「イラン問題が長引けば長引くほど、必ず3か月後とかに(仕入れの)値段が上乗せされてというのは、今までの流れからすると上がっていきますよね」
安保理事会 議長はメラニア夫人
2日、国連の安全保障理事会に珍しい人物が現れました。
メラニア夫人
「第10113回の安保理会合を開会します」
会合の議長役を務めたのは、トランプ大統領の妻メラニアさん。テーマは「紛争下における子ども、テクノロジーと教育」です。
メラニア婦人
「アメリカは世界中のすべての子どもたちと共にあります。皆さまのもとに、ほどなく平和が訪れることを願っています。紛争は無知から生まれます」
国連によりますと、現職の大統領夫人が安保理で議長を務めるのは初めてです。
しかし、会合に先立ち会見したイランのイラバニ大使は、メラニアさんを厳しく批判しました。
イラン・イラバニ国連大使
「非常に恥ずべきで偽善的だ。(アメリカは)学校を攻撃をして子どもを殺している」
イラン保健当局と国営メディアによると、攻撃されたイラン南部の女子小学校では175人が死亡。ほとんどが子どもだということです。
攻撃された学校の教師
「私は教師で、ここは学校です。約12人の教師がここで働いていました。昨夜も一緒にいました」
この攻撃について問われたアメリカのルビオ国務長官は…
アメリカ・ルビオ国務長官
「アメリカが意図的に学校を標的にすることはない。我々の目標はミサイルだ」
「大波がまもなく来る」イランへの大規模攻撃か
イランへの攻撃開始から3日。トランプ氏が公の場で発言しました。
アメリカ・トランプ大統領
「軍の指導部の排除に4週間はかかると見ていたが、約1時間で済んだ」
トランプ氏は、約1時間でイランの最高指導者ハメネイ師や軍指導部の排除を遂行したと胸を張りました。
さらに、CNNテレビのインタビューでは…
トランプ大統領(CNNより)
「大きな波はまだ来ていない。それは間もなく来るだろう」
さらなる大規模攻撃を準備していると明らかにしました。
ハメネイ師殺害 なぜ居場所特定?
最高指導者ハメネイ師ら、イラン指導部を殺害した今回の作戦。専門家はアメリカCIA=中央情報局とイスラエルの対外情報機関アマンが協力し、「準備は去年の12月から行われていた」と分析しています。
明海大学・小室哲男 教授
「トランプ氏が最初に軍事行動を考えたのは1月14日。ただアメリカの攻撃が近いとなると、ハメネイ師が地下に潜ってしまう。油断させるためにも、交渉を継続するような姿勢を見せていたというのが実態だと思う」
情報収集が進む中、ハメネイ師が毎週土曜日の午前に幹部と会合を開くことが分かったといいます。
小室教授
「イスラエルにいたってはテヘランの防犯カメラ、これをすべてハッキング。どこで何が起こっているかということも把握していたよう」
そして実は、今回より1週間早い2月21日の土曜日が実行日でしたが、こんな問題が…
小室教授
「攻撃をしようとしたが、天候があまり好ましくなく1週間見送った」
ニューヨークタイムズによればCIAが28日午前中に、ハメネイ師が出席する会議が
行われるという情報を入手。
これを受けイスラエル軍の戦闘機がハメネイ師らを攻撃、殺害したということです。
サウジがトランプ氏の背中押す?
小川彩佳キャスター:
そもそも今回のイランへの攻撃について、アメリカのワシントン・ポストが「サウジアラビアのムハンマド皇太子がトランプ大統領に対してイランへの攻撃を進言していた」と報じています。中東諸国の声がトランプ大統領をイラン攻撃に踏み切らせたのでしょうか?
元JNN中東支局長 秌場聖治記者:
事実だとしたら、決定打ではないにせよ背中を押した可能性はあったと思います。ムハンマド皇太子は間違いなく、この地域の最高実力者の1人です。地域の不安定化を嫌う湾岸諸国の盟主からOKが出たという意味では安心材料になったのではないか。
藤森祥平キャスター:
イラン側を取材すると、どんなことがわかりますか?
秌場聖治記者:
イランは報復攻撃を行っているが、多くは周辺国にあるアメリカ軍基地を狙ったもの。ただ、大使館や民間施設も狙われています。
実は3日に日本のイラン大使館で行われた駐日大使の会見に参加し、このことについて質問しましたが、大使の答えは「米軍基地が攻撃や諜報活動に利用されているのだから、正当な攻撃対象である」というものでした。
また湾岸諸国に対しては「米軍基地を使わせるなら攻撃対象になるよとずっと伝えてきた」と言い、民間の施設も狙われたことについては明確な答えはありませんでした。
イランが周辺国に報復拡大のワケ
藤森キャスター:
攻撃が広がる中、短期終息はあるのかという点ですが、イランのアラグチ外相は「米軍基地が利用されていなくても攻撃目標であり続ける。米兵をホテルに移転させても攻撃対象から外れるわけではない」とはっきり言っています。民間施設も狙って報復を続けるのでしょうか?
秌場聖治記者:
民間施設を特に狙うかどうかは展開次第だと思いますが、周辺国に圧力をかけて混乱を招き、アメリカに攻撃を止めるように話をしてほしいという計算もあるかもしれません。
藤森キャスター:
一方で、イランは報復すればするほど孤立していきますよね?
小説家 真山仁さん:
イランの最高指導者が殺されたにも関わらず、世界の緊張感はあまり高まっていない気がする。イランが孤立しても「イランは嫌われ者だから勝手に怒ればいい」という印象なのか。
戦争をしたくないのか、本来ならアメリカに直接攻撃すればいいのに、周辺国の基地に攻撃している。逆にアメリカが「我々はいくらでも受けて立つ」と言っている構図からすると、普通はイランが被害者に見えるはず。ところがなぜかそういう風が吹かないのは、なぜでしょうか?
秌場聖治記者:
実はカタール、サウジアラビア、オマーンを含む周辺国は王制なんです。イランの現政権は王制を革命で倒して共和制になった。しかも「革命を輸出する」と言ってきたので、王制の国々はずっと警戒してきた。
ただ、国によってイランとの距離感はまちまちで、今回の攻撃にも表れています。
例えばアラブ首長国連邦は、2日の段階で弾道ミサイル161発、巡航ミサイル8発、ドローンは645機を迎撃。クウェートも弾道ミサイル178発とドローン384機を迎撃しているが、オマーンは数個のドローンの迎撃しかない。これまでイランとアメリカの仲介の労をとってきたオマーンに対しての手加減はある。
トランプ氏“大規模攻撃”示唆 今後の動きは?
小川キャスター:
ただ、トランプ大統領は作戦は4~5週間続くと、さらに大規模な攻撃も示唆していますよね。
真山仁さん:
「平和を守りましょう」と訴えてきた側(アメリカなど)が、どう考えても平和と反対のことを堂々と悪びれずやっている。普通はもっと非難されなくてはいけないのに非難しないのは、みんなアメリカが怖いのでしょうか?
秌場聖治記者:
間違いなく遠慮はしている。アメリカも「力による平和」を打ち出しているように、平和の定義を変えてしまっている。
2日のヘグセス長官の会見を見る限り、何を目的としているのか今ひとつはっきりしない。自分たちの作戦が終わった後は「イランの皆さんにおまかせです」という形で、おそらく自分たちやイスラエルにとっての脅威さえ取り除けば、西半球以外のところが混乱しても「まあいいか。勝手にやってくれ」ということではないかなとすら思えてきます。
真山仁さん:
イラク戦争で中東全部に被害があったときも、アメリカがちょっかいを出して、後で「間違いだった」と言っていた。何かあったら西半球のことしかしない。
他の先進国も、こういういい加減なことをするのはいかがなものかと声をあげないのか。第三次世界大戦がこうやって始まったと言われかねない事になっている気がする。これは私が思い込みすぎているのでしょうか?
秌場聖治記者:
イラクの教訓をアメリカは今回学んでいる。「1回政権を倒したら、後は手出ししない。自分たちが関わると、泥沼になってアメリカ兵がたくさん死ぬから」という教訓の学び方をしている。
真山仁さん:
極端なことを言えばイラン人が何人死んでもいいということ?
秌場聖治記者:
極端なことを言えば、そういうことになるかもしれない。
小川キャスター:
イランの隣のアフガニスタンでも、パキスタンと戦火を交えているという状況ですから。中東情勢は混乱を極めています。
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<プロフィール>
秌場聖治
元JNN中東支局長
シリア内戦など中東各地を取材
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
最新作は能登地震がテーマの「ここにいるよ」