中国“断固として打撃”台湾への強硬姿勢示す 日本へは「レアアース」外交カードに“揺さぶり”も?全人代が開幕【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-03-06 20:42

中国各地の代表者が集まり、国家の重要事項を決める「全人代」=全国人民代表大会が始まりました。

【画像を見る】側転やバク転もお手の物?中国で作られたAIロボット

「台湾」や「フィジカルAI」など、中国がとる戦略についてどんな方針が示されたのでしょうか。

フィジカルAIを産業の核に?一方“バブル崩壊”の懸念も 

高柳光希キャスター:
中国はAIをはじめとする「デジタル経済中核産業」の対GDP比について、全人代の中で今後5年間の政策を審議し、12.5%まで引き上げることを目標としました。

【「デジタル経済中核産業」の対GDP比】
▼2020年 7.8%
▼去年(2025年) 10.5%
▼今後5年(目標) 12.5%

2020年は7.8%、2025年は10.5%というところから、今後5年(目標)で12.5%と、産業の核に据えようという考えがうかがえますね。

JNN北京支局 特派員 中原達也 記者:
一方で懸念されているのがバブルの崩壊です。企業数やロボットの機種が増えることで価格競争が激化し、上位の一部の企業しか生き残れないのではないかともいわれています。

現在、中国経済の成長は鈍化していますが、そのきっかけの一つが中国国内で多くの倒産者を出した「EVブーム」です。それと同じ轍を踏むのではないかと懸念されています。

バブル崩壊による中国経済の減速は、ゆくゆくは日本を始め、世界の経済にも影響を与えます。

アメリカもフィジカルAIの開発に力を入れる中、2026年は中国のロボット産業にとって正念場と言えます。

李強首相「台湾独立勢力に“打撃”を」 初めて“打撃”と表現

高柳キャスター:
全人代では、台湾政策についても発言がありました。

3月5日、李強首相は「台湾独立分裂勢力に“断固として打撃”を与える」と発言。この「打撃」という表現が世界から注目されているということですね。

JNN北京支局 特派員 中原 記者:
例年、全人代の活動報告では、中国政府の台湾問題に対する基本姿勢が示されます。

ここ数年は、台湾独立に触れた際は「断固反対」としていましたが、今回初めて「打撃」という表現を使いました。

これは中国政府が台湾独立勢力とみなす、台湾の今の政権への強硬姿勢を一段と強く示した形です。

また、景気の低迷が叫ばれる中で、2026年の予算案では国防費の伸び率が7%となっていて、5年連続で7%以上という高い伸び率を維持しました。

全人代の活動報告書では「訓練・戦備を着実に進め、先進的戦闘力の整備を加速する」と表明しています。ただ、具体的な予算の内訳は示されておらず、この不透明さが日本を含む周辺国の懸念を招いています。

トランプ氏の発言がカギに?台湾への揺さぶりも

国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
今の台湾政権は「民進党」という、北京からみれば独立勢力側です。

2026年11月に台湾で統一地方選挙が予定されていて、そこで野党「国民党」がどれくらい勢力を伸ばせるのか注目されています。今の国民党執行部はこれまでにないほど北京よりで固まっているので、中国としては国民党に勢いがいくようにしたいはずです。

そこで注目されるのが、3月31日から訪中予定のトランプ大統領の発言です。

例えばトランプ大統領が「平和的統一を支持する」と言えば、中国にとっては大勝利です。

今の台湾の政権は統一とは違う方向へむかっているため、トランプ大統領が“平和的統一を支持”した場合、台湾に対する圧力になり、台湾内政が大混乱するでしょう。

トランプ氏の訪中や統一地方選挙の前触れとして、台湾に揺さぶりをかける意図が、全人代での「打撃」という発言に集約されていると思います。

日比麻音子キャスター:
「打撃」ということで、レベルが上がっているように見えますが、すぐに何か動きがあるのでしょうか。

国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤さん:
中国の党中央軍事委員会は今期7人でスタートしましたが、粛清により2人しか残っていません。台湾侵攻に対して軍内の体制が整っている状況とは程遠く、まずはそこの建て直しをせざるを得ないと思います。

台湾侵攻に前向きな幹部を据えなければなりませんが、そう簡単には進まないので、今すぐ何か動きがあるとは思えません。

ただ、2027年の中国共産党大会前後に向けて、何か動きや言論戦のようなものも強まっていくと思います。

中国に頼り切りの「レアアース」 外交カードに?

高柳キャスター:
中国と日本の関係では「レアアース」も重要な鍵を握っています。中国は以下のような規制を行っています。

▼2025年の4月
一部のレアアースの輸出を規制

▼2026年2月(三菱造船など日本の20の企業など対象)
レアアースを含む、軍事利用可能な品目の輸出規制発表

JNN北京支局 特派員 中原 記者:
全人代で審議される「5か年計画」の「産業基盤能力と競争力を高める」とする項目の中に、レアアースを初めて明記しました。

日本への軍民両用品の輸出規制の対象品にもレアアースが含まれる中、今後もレアアースを重要な外交カードとして使っていくという戦略が見てとれます。

高柳キャスター:
生活に直結するレアアース、今後の動きが気になります。

国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤さん:
レアアースは、例えば自動車を1台作るにしても必要不可欠です。

中国は世界の採掘量の7割を占めていて、2番目の採掘大国であるアメリカも約8割を中国から輸入しています。もちろん日本も同様で、今のところ中国に頼らざるを得ない状況です。

中国は手段として、レアアースの一種の“武器化”を選ぶかもしれません。

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<プロフィール>
中原達也
JNN北京支局特派員 主に中国経済を担当
AI・ロボット・社会動向などを取材

堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」ニュース解説

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