人気の高市総理、そのファンとアンチとの違い~TBSの専門家が分析「データからみえる今日の世相」~【調査情報デジタル】

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2026-03-07 08:30
人気の高市総理、そのファンとアンチとの違い~TBSの専門家が分析「データからみえる今日の世相」~【調査情報デジタル】

女性初の自民党総裁・高市早苗氏が「働いて、働いて、働いて、働いて、働いていく」と言ったのは、昨年(2025年)10月4日の総裁就任演説。「私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てる」(2025年10月5日朝日新聞)と、そのやる気を猛アピール。同月21日に女性初の総理に選ばれ、12月17日の記者会見では「目の前でやらなければいけないことが山ほど控えているので、解散について考えている暇がない」(2025年12月18日朝日新聞)とも発言。

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その約1か月後に「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか。今、主権者たる国民の皆様に決めていただく。それしかない。」(2026年1月19日読売新聞オンライン)と言い出して、1月23日に衆議院を解散、総選挙へ。「大義がない」とか「16日間の選挙期間は短すぎる」とか、いろいろ批判の声もある中で迎えた投開票日の2月8日。

結果は、自民党が改選前の198議席を大きく増やして316議席を獲得。単独でも改憲発議が可能な衆院総定数の3分の2(310議席)を超えましたが、連立を組んだ日本維新の会と合わせた352議席は、実に総定数の4分の3以上。

この結果を生んだ要因の1つと言われるのが、高市氏の人気の高さ。読売新聞によると「衆院解散後も内閣支持率は高水準を維持」し、「自らの信任投票であることを有権者に強く意識させ、『高市人気』を自民候補に波及させ」て「保守層や若年層からの支持を得た」とのこと(2026年2月9日読売新聞オンライン)。

選挙の結果は出ましたが、「高市氏がどれくらい人気なのか」、そして「どんな人が高市氏を好きなのか」を改めてデータで確認してみます。

不人気が人気を上回るのが歴代総理の常

このコラムでおなじみのTBS総合嗜好調査(注1)は、政財界などの著名人を選択肢にして「好きな人」をいくつでも選んでもらう質問を、実に1970年代から毎年実施。さらに同じ選択肢で「好きでない人」も選んでもらっているのも、この調査の特徴です。その時々の総理が選択肢なのはもちろん、21年以降は高市氏も追加。

本コラム執筆時点での最新データは昨年10月(当時は石破茂総理)で、歴代総理と高市氏の人気・不人気は、次の折れ線グラフに示すような形になりました(注2)。

データは77年の福田赳夫総理からスタート。80年代の中曽根康弘総理、00年代の小泉純一郎総理、10年代の安倍晋三総理と長期にわたる政権もあり、短命政権が続いた時期もあり。

全体としては、不人気(好きではない)が人気(好き)を上回る時期が多い傾向。特に20世紀の間は「政治家は嫌われてナンボ」といった感じ。21世紀でも10年代の安倍政権は不人気が人気の倍くらいの時もありました。

そうした中、奇跡的に(?)人気が不人気を上回ったのが、93年の細川護煕総理、01~02年と05年の小泉総理、06年の安倍総理(第1次)、09年の鳩山由紀夫総理、13年の安倍総理(第2次)、そして20年の菅義偉総理でした。

非常に大きな国民の期待を集めて政権交代を実現し、総理の座についたのが細川・鳩山・安倍(第2次)の3氏。しかし、細川・鳩山両氏は政権が1年保たず、第2次安倍政権も発足翌年には不人気が上回る結果に。その後継の菅政権は、携帯電話料金値下げなどの政策で期待を集めたものの翌年には失速。

この調査で過去最高の人気(31%)を01年に獲得した小泉総理は、翌年も人気が高かったものの、03~04年は、戦争状態のイラクへの自衛隊派遣や、当時の閣僚や党幹部の年金未納発覚などで不人気に。しかし、05年に郵政民営化の賛否を争点に「郵政解散」総選挙を仕掛けて、自民党単独で296議席を獲得する大勝利を収め、人気も復活。最初の人気の高さもさることながら、一度落ちた人気を盛り返したというのも含めて、小泉総理は際だって異例な存在でした。

そこで高市氏ですが、選択肢になった21年の人気度は8%、24年も10%でしたが、そこからいきなり18ポイントも上昇して28%に。ポスト石破政権を争う自民党総裁選を制した勢いが、人々の人気にも表れた感じです。

高市氏ファンは信条もやっぱり高市氏寄り

2025年のTBS総合嗜好調査・東京地区回答者では、高市氏が「好き」と答えたファンが3割、「好きではない」アンチは1割、「どちらでもない」中立派が6割という分布。その特徴について、データで深掘りしてみました。

調査では、社会のいろいろな事柄についての意見を示し、自分の考えに近いものをいくつでも選んでもらう質問も実施。その質問への回答で、「高市氏が好きな人の選ぶベスト5」と「好きな人と好きではない人で差が大きい項目」を集計した結果が次の棒グラフです。

ベスト5は、高齢者の免許返納や老後の過ごし方など、ファン(今どきなら「推し」でしょうか)とアンチであまり差がない項目が並ぶ中、ファンの支持が明確に高いのが「死刑存続」。

また、ファンとアンチで差が大きい項目では、「夫婦同姓」「軍備増強」「国旗・国歌」「原発推進」といった、いわゆる保守的、右派的、タカ派的な項目の支持者がファンに多い様子。これらは高市氏が政策や信条として表明しており、「推し」をファンがまっすぐ推している印象。

まさに国論を二分するような論点で、アンチは当然これらを支持しませんが、回答者の6割を占める中立派でもこれらを支持するのは4人に1人。回答者全体では大体3割程度の支持率で、大勢を占めているわけではないことには注意が必要です。

テレビや新聞よりネット情報を信じるファン

今回の総選挙では、インターネットの影響力も指摘されました。

「高市早苗総理が出演する自民党の動画がユーチューブで約1億3千万回再生され、その異例の多さに注目が集ま」り、「広告としても再生され、多くの人の目に触れたとみられる」とか(2026年2月7日朝日新聞デジタル版)。

ふと、「高市氏のファンとアンチでは、メディアへの接触の仕方も違うのだろうか」という疑問がわいて、その確認にもTBS総合嗜好調査を駆使。

調査では「1日あたりのネット利用時間」や「1週間あたりのテレビ視聴頻度」とともに、ズバリ「テレビや新聞より、インターネットにでている情報を信頼する傾向」があてはまるかどうかも質問。これらが高市氏への好悪でどう違うかを示したのが次の帯グラフ。

ネット利用時間とテレビ視聴頻度の選択肢がそれぞれ異なるので、時間量の比較は難しく、相対的な傾向を比べることになります。そういう目で見ると、高市氏ファンではネット利用時間が長く、テレビ視聴頻度が少ない傾向があり、逆にアンチではネット利用時間が短く、テレビ視聴頻度が多い傾向がうかがえました。

こうした傾向に呼応するように、「テレビや新聞よりネット情報を信頼する傾向」の人は、アンチでは4割のところ、ファンでは実に7割を占有。

ちなみに、高市氏ファンに占める割合が最大なのは女性10~30代(26%)で、後続は女性40~50代(20%)と男性10~30代(19%)。

一方、アンチ高市氏ではトップが男性40~50代(24%)で、そこに女性と男性の60~70代(各々17%)が後続。なるほど、メディアの接触も違いそうな顔ぶれで、そうしたことも選挙に影響したのかも、と想像させる集計結果です。

そしてどうなる、高市政権

こうしてみてくると、高市氏は、テレビや新聞よりネットの情報を信頼するという若年層を引きつけて、自らの政策実現に邁進していく模様。

現時点では非常に多くの人気を集めていますが、不人気が人気を上回りやすいのは歴代総理の常。小泉総理は例外中の例外で、「安倍一強」が長く続いた第2次安倍政権も、2年目以降はかなりの不人気振りでした。

高市氏のファンには氏の政策や信条を支持する人も多いですが、それが多数派ではないこともデータが示したとおり。

しかし、衆議院の4分の3も議席を取った今、この先は人気やファンが多かろうが少なかろうが、数の力を頼みに採決強行連発も可能な状況です。はたして高市総理はファンだけ喜ぶ政治をするのか、それともアンチや「どちらでもない」人の意向も汲んだ政治をするのか、先行きが大いに気になります。

注1:TBS総合嗜好調査は、衣食住から趣味レジャー、人物・企業から、ものの考え方や行動まで、ありとあらゆる領域の「好きなもの」を調べる質問紙調査です。TBSテレビが、東京地区(1975年以降)と阪神地区(1979年以降)で毎年10月に実施し、対象者年齢は、1975年が18~59歳、76~2004年が13~59歳、05~13年が13~69歳、14年以降は13~74歳となっています。

注2:第75代宇野宗佑総理(在職1989年6月3日~同年8月10日)と第80代羽田孜総理(在職1994年4月28日~同年6月30日)は、調査が行われた10月時点で総理ではなかったので、グラフから省いています。

<執筆者略歴>
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング&データ戦略局も兼任。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。

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