犬の「分離不安」は防げる?科学的観点から教える『犬との正しい接し方』を獣医が解説

2026-03-09 17:20

「お留守番が苦手な子に育てたくない」そんな飼い主さん必見。最新の研究が明かす、子犬が分離不安になるリスク要因と、家庭でできる予防ポイントをやさしく解説します。

「お留守番ができない犬」はなぜ生まれる?最新研究が見た“原因”

物陰からそっと顔を覗かせる犬

「お留守番させると吠えたり家具を壊したりして困っている…」
それ、**分離関連行動**かもしれません。これは、飼い主と離れたときに犬が示す問題行動のこと。

具体的には

  • 吠える遠吠え鳴き続ける
  • 家具やドアを壊す
  • トイレの失敗
  • 同じ場所をぐるぐる回る(スピン)
  • ウロウロと落ち着かない(ペーシング)

こうした行動は犬のストレスの表れであり、犬のQOL(生活の質)を下げるだけでなく、飼い主にも負担となります。

2024年末に発表された研究では、生後6か月の子犬の約47%が何らかの分離関連行動を示していることが判明。そのうち最も多かったのは「ウロウロ歩き回る(ペーシング)」で14.5%、次いで「クンクン鳴く(7.6%)」「くるくる回る(6.9%)」でした。

では、なぜこれほど多くの犬が「お留守番に不安」を抱えるようになるのでしょうか?
研究チームは「生後16週までの過ごし方と飼い主の対応」が大きく関係していることを明らかにしました。

分離関連行動を引き起こす“やってしまいがちな対応”とは?

叱る飼い主と不安そうな表情の犬

研究では、以下のような飼い主の行動や環境が、分離関連行動のリスクを高める要因であると報告されています。

1. 罰を使ったしつけ

たとえば…

  • 「イケナイ!」と強く叱る
  • 無視する
  • 軽く叩く
などの方法が、後の不安行動につながりやすいと判明。

2. 再会時に「かまいすぎる」

飼い主が帰宅した時に、「かわいそうだったね」「さみしかったね」と過度に“かまう”ことで不安が強化される可能性があります。研究では「再会時にかまいすぎた飼い主の犬は、分離関連行動の発症率が6倍高かった」との報告も。

3. 睡眠不足&夜間に自由すぎる環境

夜間に9時間以上しっかり寝ていた子犬は、6〜8時間しか寝なかった子よりも不安行動のリスクが低かったという結果が出ました。
また、夜はクレートや部屋で安心できる“囲まれた空間”で休ませる方が、将来の不安を減らす可能性があると示唆されています。

4. トイレトレーニングが不十分

おうちのルールをしっかり学ぶ時期にトイレが曖昧だと、後の不安行動と関連する可能性があります。

5. 若い飼い主の方がリスクが高い傾向

年齢16〜34歳の飼い主の犬は、35歳以上の飼い主に比べて分離関連行動の発症率が高い傾向がありました(飼育経験の差も影響かもしれません)。

※なお、犬種や性別は分離関連行動との関係は特に見られませんでした。

子犬のうちからできる!不安にさせない育て方

犬用ベッドでぐっすり眠る子犬

では、飼い主として何を意識すればよいのでしょうか?研究に基づくおすすめの育て方をご紹介します。

1. 優しい声かけとごほうびで育てよう

叱るのではなく、望ましい行動をほめて強化。
失敗したときは感情的にならず、淡々とリセットし、再チャレンジさせてあげることが大切です。

2. 夜間は“安心できる囲まれたスペース”で寝かせよう

クレートや囲ったスペースで寝かせることで、安心感と習慣が生まれます。自由すぎる空間よりも落ち着きやすいです。

3. 睡眠時間はしっかり確保(9時間以上)

遊びやしつけに夢中になるあまり、睡眠が足りないと脳が過敏に。不安やストレスを感じやすくなります。

4. 帰宅後の“過度なハグ”は避けて落ち着いて対応

再会時にテンションを上げすぎると、犬が「分離=大事件」と思い込んでしまいます。帰宅時は平常心で静かに接するのがコツです。

まとめ

窓から外を見る犬の後ろ姿

子犬の“分離不安”は、育て方次第で予防できる可能性があります。叱らず、安心できる環境で育てることで、愛犬も飼い主もストレスの少ない日々を過ごせます。

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