震災翌年生まれの中2少年 父に憧れ、抱いた「漁師」の夢 福島第一原発の処理水放出続く海に…父が残す“未来”とは【東日本大震災から15年】【Nスタ】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-03-11 17:44

父の背中を追って漁師をめざす、福島県の少年。

【写真で見る】ブランド化を目指す幻の「ブドウエビ」

「中学を卒業したら、すぐにお父さんの船に乗りたい」。しかし、原発事故の影が夢の前に立ちはだかります。父と息子、2人が歩むこの先の『15年』とは。

津波にのまれた港…それでも「漁師になりたい」中2少年の夢

福島県相馬市に住む菊地航世さん。震災の翌年に生まれた中学2年生です。

同級生
「リーダーシップがある」
「クラスの女子からモテてます」

周囲は航世さんをムードメーカーだと言います。

相馬の港で生まれ育った航世さんは、幼い頃から釣りが大好きです。

さらに、父・栄達さん(33)は港の最年少船長。その若さと、豊富な知識で周囲からも一目置かれています。

2年前の2024年、井上キャスターが航世さんを取材。将来の夢を話してくれました。

井上貴博キャスター
「将来の夢とか何か考えることありますか?」

菊地航世さん(当時小6)
「漁師になりたい」

あれから2年、「将来の夢」を聞くと即答でこう返ってきました。

菊地航世さん(中2)
「漁師です」

近くの原釜漁港で獲れるのは、肉厚なヒラメや今が旬のアンコウ。“常磐もの”と呼ばれ、高い評価を受けています。

しかしあの日、港は津波にのまれ、多くの船が破壊されました。

「カッコいい」前を向き続けた父 一方“原発の不安”も

父・栄達さん
「港もあんな感じでぐちゃぐちゃで、それにプラス原発問題がかかってきて、全然将来が見えない中で、自分がこのまま漁師を続けていっても良いのかなって不安もあった中で」
「やるしかなかった、子どもがいたから仕事をしていないわけにはいかない」

家族のために働くしかなかった父。

息子・航世さんは、せっかく獲ってもみんなに食べてもらえないのなら意味がないとすら思っていました。

しかし、原発事故直後に全面自粛になった漁も、翌年からの試験操業を経て徐々に出荷が出来るようになり、漁に行く父の背中も活き活きとしてきました。

父・栄達さん
「ただ15年、何もしないで黙っていたわけでもなく、どんどん良い方向に進めているのではないかなと思っています」

前を見続ける父に、いつしか心境も変化してきました。“お父さんと一緒に漁に出たい”。

菊地航世さん(中2)
「カッコいいもあるし、自分もそういうふうになりたいと思った」

そんな息子の声に嬉しい反面、こんな不安も。

父・栄達さん
「前よりトラブルみたいのはないから騒がれることはなくなったけど、処理水の問題が続いているうちは元に戻ったとは言えないわけで」

父・栄達さんが不安に感じているのは、3年前から始まった処理水放出の風評被害。

処理水とは、原発事故で発生した汚染水から、大部分の放射性物質を取り除いたものです。しかし、トリチウムとよばれる放射性物質は除去できず、薄めて海に放出。

この先も25年程度は続く見込みです。

「いつか父を超える漁師に」息子の決断に父は未来へ

父に憧れ、抱いた漁師の夢。

早くお父さんの船に乗りたい。しかし、原発問題の不安との葛藤もあります。

菊地航世さん(中2)
「高校に行かないで漁師になるつもりだったけど、(今は)処理水を流して、もし失敗して魚が獲れなくなったらって不安(がある)」
「漁師の仕事がなくなって、他の仕事に頼るときに高校行かないと入れないから」

悩みに悩んだ末、高校への進学を決めました。息子の決断に父も動き出しています。

父・栄達さん
「見た目がブドウのような色をしていて、ブドウエビって言われているんですけど」
「ブランド化したいです」

1回の漁で数匹しか獲れない幻のエビです。

父・栄達さん
「航世だけじゃなく航世の下の代もいるわけだから、今だけじゃなくて一生に残していかないといけない」

父の想いを受けた航世さん。今から15年後、思い描く未来は…

菊地航世さん(中2)
「自分たちがやるときも、相馬の魚を有名にしていきたい」
「いつかお父さんを超える」

父は息子を想い、息子は“いつか父を超える”と誓う。二人三脚の歩みが続きます。

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