春闘集中回答日「満額回答」続出の陰で…50代だけがマイナス?賃金上昇の「世代間格差」【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-03-18 18:39

きょう(18日)は「春闘の集中回答日」。4月からの給料を左右する大事な日です。賃上げや初任給を引き上げる企業が増える一方、いま課題となっているのが、世代間の賃金格差です。

【写真を見る】2026年春闘 経営再建の企業の賃上げは

春闘 集中回答日 一斉に回答する理由

高柳光希キャスター:
18日は、大企業が労働組合に対し、一斉に賃上げなどの回答を行う、春闘の「集中回答日」です。ところで、なぜ一斉に回答するのでしょうか。

TBS報道局経済部 財界・内閣府担当 古市啓一朗記者:
バラバラで回答すると、他社の動向を見てから決めたり、交渉の議論が進んでいかなくなる懸念があります。

そこで、自動車や電機メーカーなど、影響力の大きい大企業が同じ日に回答を出すことで「今年の賃上げはこうだ」という相場観を作り出します。

集中回答日に高い回答が出ると、日本全体の給料が上がりやすいムードになります。一方、低い場合は「景気が冷え込むのでは」という懸念が出てくるので、(集中回答日は)非常に注目度の高い1日となっています。

高柳キャスター:
今回、日立製作所は、労働組合側の要求に満額回答し、ベースアップは過去最高水準となる1万8000円となりました。賃上げは4年連続だということです。

日立製作所 執行常務の瀧本晋氏は「引き続き積極的な人材への投資を通じて、持続的な成長を目指していきたい」と述べています。

TBS報道局経済部 財界・内閣府担当 古市啓一朗記者:
今回は満額回答の企業が相次ぎましたが、注目ポイントは…
▼3年連続で賃上げ率が5%を超える
▼賃上げが物価上昇を上回る

長引く物価高の中で、働く人の生活を守り、消費を冷え込ませないという考えは経営側も労働組合側も一致しているため、満額回答が相次ぎました。

ただ企業によっては、数字は良くても手当や福利厚生が削減されている場合がありますので、中身についてはよく見ていく必要があります。

社会起業家 石山アンジュさん:
長引く物価高騰の中で、賃上げムードはすごく評価されるべきではあるとは思います。

ただ、賃上げ率5%というのは、まだまだ生活コストに追いついてないと感じる方も多いでしょう。さらに、イランをめぐる情勢で燃料コストが中小企業に大きく影響すると思うので、(賃上げムードが)日本全体にどのくらい波及するか、バランスが難しいですね。

氷河期世代だけ冷遇 賃金上昇の世代間格差

高柳キャスター:
賃上げや初任給を引き上げる企業が増える一方、課題となっているのが「世代間の賃金格差」です。

2020年から2025年の月給の伸び率を見ると、20~24歳は「15.8%上昇」したのに対し、就職氷河期世代といわれる50~54歳は「-1.3%」と、全世代の中で唯一マイナスとなっています。(一般労働者・大卒 / 厚労省の資料を基に計算)

なぜ、この年代だけ待遇改善が見られないのでしょうか。

TBS報道局経済部 財界・内閣府担当 古市啓一朗記者:
就職氷河期にあたる世代の若い頃は、不景気だったこともあり、成果を出しても給料をアップする機会が少なかったり、年功序列の企業が多い中、賃上げが遅れているのも影響したとみられています。

さらに、最近の企業では、定年延長をする動きもあり、ちょうどこの世代の賃上げが見送られているという、まさにそのしわ寄せがきているのです。

高柳キャスター:
そんな中、北海道・札幌の運送会社「ロジネットジャパン」では2023年度に中高年の給料の底上げを行いました。

こちらの企業は、40代以上のトラックドライバーが多く、その年代に対して「年収を最大15%アップ」、管理職は「年収10%アップ」を行ったということです。

同社のトラックドライバーの宮島賢介さん(47歳)は、「プライドを持ってやっているので、評価してもらってありがたい。モチベーションアップにもつながる」と言います。

中高年世代の給料が上がることは、会社全体にとっても大きなメリットがあるようです。

TBS報道局経済部 財界・内閣府担当 古市啓一朗記者:
どうしても若い世代の賃上げが優先されている中、それまで中核で会社を支えてきた人たちの不公平感をぬぐい、また若い世代にとっても、「年を取っても昇給するんだ」という未来への希望につながり、良い影響が出ています。

将来の不安解消、また消費活性化のためにも、この世代の賃上げをどう進めていくか。今後、中小企業の賃上げも回答が出てくるので注目です。

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<プロフィール>
石山アンジュさん
社会起業家
“シェア”を通じて新たなライフスタイルを普及
政府の審議会委員や企業の社外取締役など幅広く活動

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