トランプ大統領への“お土産”は日本に還元される?11兆円超の対米投資で合意も 専門家「国内への還元は減る方向」【Nスタ解説】
日米首脳会談では、経済についても話が進みました。今回、かなりの巨額投資に関して合意されましたが、本当に国益にかなうのでしょうか。
【写真で見る】「JAPAN IS BACK!」トランプ氏の隣で笑顔をみせる高市総理
アメリカへの“お土産”は対米投資
井上貴博キャスター:
日米同盟を維持しながらも、“お土産”を持っていかなければなりません。
日本がアメリカに対して、80兆円規模の投資をするとしている中、今回はその第2弾として11兆円規模の投資を提示したということです。
内容は以下の通りで、投資規模は最大11兆5000億円になるということです。
▼小型原子炉の建設
▼新たなガス火力発電所建設
▼レアアースなどの鉱物資源の開発協力
▼アメリカ産エネルギーの生産拡大
日本としては、中東に依存していた部分を分散化できるというプラスもあるようですが、これらの巨額投資は、果たして本当に国益にかなうのでしょうか。
対米“巨額投資”で歓迎ムード
首脳会談のあと、開催された夕食会。その会場には、ソフトバンクグループの孫正義会長や、Googleのスンダー・ピチャイCEOの姿があり、同じテーブルにはプロゴルファーの松山英樹さんの姿もありました。
高市総理
「Japan is Back!日本は再び世界のイノベーションをリードします」
和やかな雰囲気の中、会場で流れていたのが、高市総理がファンとして知られるロックバンド「X JAPAN」の名曲「Rusty Nail」です。
ここまで歓迎されたワケ。それは、日本からアメリカへの巨額投資に合意したからです。
今回、第2弾となるプロジェクトの投資規模は11兆5000億円。その目玉が…
高市総理
「小型モジュール炉(SMR)の建設を含む、戦略的投資イニシアティブの第二次プロジェクトについて発表しました」
「小型原子炉」とはどんなものなのでしょうか。
専門家「国内への還元は減る方向」 小型原子炉建設は国益になる?
記者
「原寸大の模型と身長を比べても小さく、コンパクトな印象です」
通常は広大な土地が必要な原子力発電所ですが、小型原発に必要な敷地は約20分の1です。
トランプ大統領(2025年5月)
「原子力の時代だ。我々は大きく行く」
AI向けのデータセンターに必要な莫大な電力。それをまかなうため、アメリカは原発の新設を急いでいます。日本は、その建設資金を投資として出すことになったのです。
建設の主体に選ばれたのは、日立製作所とアメリカ企業の合弁会社。
ニッセイ基礎研究所 矢嶋康次 氏
「日本の中でこれだけ巨額案件の投資はなかなか起きない。参加される日本企業にとってみれば、これから稼げるチャンスという意味で、非常に良い案件だと思う」
ただ、大きなビジネスチャンスの一方で、その利益が日本国内に還元されるかどうかは、不透明だと指摘します。
ニッセイ基礎研究所 矢嶋康次 氏
「アメリカであがったドルの収益を、ドルで貯めておいて、ドルで投資をするという形で、お金の循環を図る企業が今まで以上に増えてくると思う。国内への還元というのは、減っていく方向になっていくと思う」
トランプ政権の「アメリカファースト」に、経済面で応えた形の対米投資。
日本の国益にどこまでつながるのかが、課題となりそうです。
日本は資金・アメリカは資源 共同プロジェクトの課題とは
井上貴博キャスター:
基本的な構造としては、日米共同プロジェクトに対して、日本がお金を投資する。一方、アメリカは土地・水・電力・エネルギーなど、そして、規制面に対応するということです。
今回のプロジェクトをどう捉えていますか。
早稲田大学教授 中林美恵子さん:
5500億ドル(87兆円)の投資を行うというざっくりとした合意が2025年に決まり、今回はその第2弾を提示する形になりました。その中身を見て、初めて細かいことがわかるようになってきていますが、これは公の場では議論されていません。
どのくらいの採算が取れる事業なのか。第3セクターや官民ファンドのようなものによって、無駄な投資が出てくるケースは過去にも経験しています。
どのくらい効率のいいものなのかわかりませんし、日本からある程度の公金が流れていくということになれば、相当の説明責任が必要になってくると思います。
しっかりと採算を出すということが重要ですが、この部分は今のところわかっていません。
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<プロフィール>
中林美恵子さん
早稲田大学教授
元アメリカ議会上院補佐官(共和党)
専門は国際公共政策