「知らなかった…」愛犬の肌質は犬種や年齢・性別で変化する!肌質を決める『3要素』を獣医が解説
犬の皮膚は健康を守る大切なバリアですが、その性質はすべての犬で同じではありません。実は犬種や年齢、さらには性別によっても肌質に違いがある可能性が最新の研究でわかってきました。
犬の肌質を決める「3つの要素」とは

犬の皮膚には、人と同じようにいくつかの“肌質を決める指標”があります。その代表が「水分量」「皮膚のpH(酸性・アルカリ性の度合い)」「皮脂量」です。これらは皮膚のバリア機能に直結しており、外部刺激から守ったり、細菌やウイルスの侵入を防いだりする役割を持っています。
まず「水分量」は皮膚の潤い度合いの指標です。角質層に含まれる天然保湿因子や脂質によって維持されます。水分が少ないと乾燥肌となり、フケやかゆみの原因になります。
次に「皮膚pH」です。犬の皮膚は人間よりもややアルカリ性に近いのが特徴です。pHが整っていることで皮膚表面の菌バランスが保たれますが、乱れると細菌感染や皮膚炎を起こしやすくなります。
そして「皮脂量」は、皮膚表面を覆う油分の量です。皮脂は水分の蒸発を防ぎ、皮膚を柔らかく保ちます。ただし、多すぎてもベタつきや臭いの原因となるため、適度なバランスが重要です。
このような皮膚の生物物理学的な特徴は、外からは見えにくいものの、犬の肌質や皮膚トラブルのなりやすさを左右しています。
年齢や性別による違い

最近の研究では、149頭の犬を対象に、年齢・性別ごとの皮膚の状態が調べられました。その結果、特に年齢による違いが顕著に見られました。
若い犬(1〜6歳、7〜12歳)は皮膚の水分量が比較的高く、皮膚バリアが安定していました。一方、13歳を超える高齢犬では水分量が有意に低下し、乾燥傾向が強いことが確認されています。これは人間の高齢者が乾燥肌になりやすいのと同じく、加齢による皮膚成分の変化が関係していると考えられます。
さらに、皮膚のpHについても高齢犬は若い犬に比べてやや酸性に傾く傾向がありました。これは人間と異なる特徴であり、犬特有の加齢変化と考えられます。こうしたpHの変化は皮膚の常在菌バランスに影響を与え、免疫防御の低下につながる可能性があります。
一方で、性別による違いは明確ではありませんでした。一般に人では男性の方が皮脂分泌が多い傾向がありますが、今回の調査では犬において性差はほとんど見られませんでした。その理由として、多くの犬が避妊・去勢手術を受けており、ホルモンの影響が小さかった可能性が指摘されています。
つまり、「若い犬は比較的皮膚が強く、高齢犬は乾燥やバリア低下に注意が必要」というのが大きなポイントです。性別の影響は限定的といえるでしょう。
犬種によっても違う?犬の肌質の多様性

さらに注目すべきは犬種ごとの違いです。研究ではビーグル、マルチーズ、ミニチュアプードル、ポメラニアン、コッカースパニエルの5犬種が比較されました。
その結果、ビーグルは皮膚の水分量とpHが他の犬種に比べて高く、比較的うるおいのある肌質を持っていました。逆に、マルチーズやミニチュアプードルは水分量が低く、皮膚が乾燥しやすい傾向がありました。これは犬種による皮膚構造や脂質成分の違いが関係していると考えられます。
また、皮脂量については犬種間で大きな差は見られませんでしたが、個体差が大きく、一頭一頭の肌質を観察することが重要であることが示されました。
この結果は、犬種によって「皮膚トラブルに強いタイプ」と「乾燥や炎症に弱いタイプ」があることを示しています。例えば、乾燥しやすい犬種は保湿を重視したケアが必要と考えられますが、逆に皮膚がしっかりしている犬種でも年齢が上がると乾燥やpHの変化が出るため注意が必要です。
飼い主が覚えておきたいのは「同じシャンプーやスキンケアがすべての犬に合うわけではない」ということです。犬種や年齢による違いを意識しながら、その子その子の皮膚の状態に合わせたケアを選ぶことが皮膚病予防につながります。
まとめ

犬の肌質は犬種・年齢・性別によって異なります。特に高齢犬や乾燥しやすい犬種ではスキンケアが重要です。愛犬に合ったケアで皮膚の健康を守りましょう。
(参考文献:Vet Dermatol. 2025 Oct;36(5):689-695.)
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