熊本地震から10年、見直す防災の盲点 “置いて守る”新発想「逃げ一択防災」

2026-04-16 11:45

2016年に発生した熊本地震から、2026年で10年という節目を迎えます。当時の記憶は徐々に薄れつつあるかもしれませんが、あの災害が残した課題は、今なお私たちの暮らしに問いを投げかけ続けています。特に印象的なのは、発災直後の混乱だけでなく、その後の長期にわたる生活再建の難しさです。実際に、仮設住宅での生活が約3年にも及んだケースもあり、災害の影響は「その瞬間」だけでは終わらないことが明らかになりました。さらに、日本では今後も大規模地震の発生が高い確率で予測されています。こうした状況のなかで、防災は単なる「備え」ではなく、日常と地続きの課題として捉える必要があります。避難そのものだけでなく、その後の暮らしまで見据えた準備が求められているのです。

被災後に差が出る? 生活再建を遅らせる見えないリスク

災害時に必要となるのは、水や食料といった生活物資だけではありません。被災後の生活を立て直すためには、さまざまな手続きが必要となり、その際に不可欠なのが身分証明書や各種書類です。

例えば、罹災証明書の取得には本人確認書類などが求められます。しかし、自宅が被害を受けた状況でそれらを揃えるのは容易ではありません。実際に過去の災害でも、書類の紛失や取り出せない状況が手続きの遅れにつながるケースが報告されています。

発災直後には意識されにくいものの、こうした書類の有無は、その後の生活再建のスピードを大きく左右します。この“見えにくい課題”こそ、防災を考えるうえで重要な視点といえます。

迷わない防災へ! “逃げ一択”という新しい選択肢

こうした課題を背景に提案されているのが、「逃げ一択防災」という考え方です。災害時の行動を「逃げる」という一点に絞ることで、判断をシンプルにするアプローチです。従来の防災では、防災リュックを持ち出す「持ってく防災」が中心でしたが、これに加えて「置いてく防災」という視点が提示されています。避難時には持ち出さないものの、失うと困る大切なものをあらかじめ安全な場所に保管しておくという考え方です。
マスターロック・セントリー日本株式会社(MLSJ社)は、この“置いてく防災”の手段として耐火・耐水金庫の活用を提案しています。重要書類や貴重品をあらかじめ整理して保管しておくことで、災害時の判断をシンプルにし、生活再建に必要な備えを守ることにもつながります。

防災士・藤田実沙さん監修 「逃げ一択防災」 置いてく防災について:
https://masterlocksentry.jp/nigeittakubousai/

何を持ち、何を残す? 防災を分けて考える新常識

では、具体的にどのように備えを分ければよいのでしょうか。“置いてく防災”として考えられるのは、財産や身分証明に関する書類、そして思い出の品などです。登記書類や印鑑、パスポートなどは、再発行に時間がかかるため、事前に保管しておくことが重要です。


・財産に関するもの(登記済権利証書/現金/印鑑/宝飾品/遺言状など)
・身分証明に関するもの(パスポート/身分証のコピーなど)
・失くしたくないもの(年金手帳/結婚指輪・婚約指輪/エンディングノート/母子手帳/子どものへその緒/写真・手紙/スマートフォン・タブレット等のパスワードなど)
・そのほか(金庫保有者の連絡先)

一方で、“持ってく防災”として用意するのが、防災リュックです。災害時に避難所などへ移動する際、1日から数日をしのぐことを想定して持ち出すもので、基本的には避難所で物資がすぐに支給されないことを前提に準備する必要があります。そのため、防災リュックには、命を守るもの、安全を確保するもの、衛生環境を整えるもの、情報収集に役立つものなどをバランスよくそろえておくことが求められます。

このように、「持ち出すもの」と「置いておくもの」を役割ごとに整理することで、備えの全体像がより明確になります。

「備えは暮らしの中に」専門家が示す防災のヒント

防災士の藤田実沙さんは、近年の防災の変化について、非常時だけの特別な準備ではなく、日常生活の延長として備えることの重要性を指摘しています。

これまでの防災は、防災リュックを準備し、いざという時に持ち出すという考え方が主流でした。しかし現在では、日常で使っているモノやサービスをそのまま災害時にも活用する「フェーズフリー」という考え方が広がりつつあります。防災と日常は切り離されたものではなく、連続したものとして捉える視点が求められています。また、備えは住む地域や家族構成、ライフステージによって異なるものであり、それぞれの暮らしに応じた形で考えていく必要があるとされています。そして、もしもの備えは暮らしの延長と捉えることで、リスクのある局面を乗り切るための実効性のある備えにつながるとしています。

さらに藤田さんは、大切なモノの保管について、強度のある金庫を活用することも選択肢のひとつであると述べています。家族にとって大切なモノを保管する場所として、また万が一の際にも安心して家を離れられるようにするための備えとして、暮らしになじむ形で取り入れていくことが重要だとしています。

防災を特別なものとして切り分けるのではなく、日常の中に自然に取り入れていくこと。そうした考え方こそが、無理なく続けられる備えにつながっていくのかもしれません。


藤田実沙(防災士)
整理収納アドバイザー、防災士。夫と中学3年生、中学1年生の息子と犬1匹と暮らす。大阪府北部地震をきっかけに防災に目覚める。
暮らしになじむ備えの情報をInstagramやVoicyで発信している。著書に「おしゃれ防災アイデア帖」「おうち防災アイデア」ほか。

災害時に潜む“もう一つのリスク”

災害時には、自然災害そのものだけでなく、「セキュリティの空白」というリスクも存在します。避難によって無人となった住宅を狙った窃盗や、避難所での盗難といったケースは、これまでの災害でも報告されています。貴重品を持ち出すことが、必ずしも安全とは限らないという現実があります。こうしたリスクを踏まえると、「どこに保管するか」という視点は、防災において欠かせない要素といえます。

災害時にも頼れる存在、耐火・耐水金庫という備え

こうした課題に対する具体的な手段として、MLSJ社が展開する耐火・耐水金庫があります。
耐火・耐水金庫は、火災や浸水から重要書類や貴重品を守る機能を備えており、災害時の備えとして活用することができます。一定時間の耐火性能や耐水性能により、万が一の状況でも中身を保護できる設計となっています。

防犯用途として知られてきた金庫ですが、近年では防災の観点からも注目されています。“置いてく防災”を実践するうえでの具体的な選択肢のひとつといえるでしょう。

マスターロック・セントリー日本株式会社 公式HP:
https://masterlocksentry.jp/

これまでの防災は、「何を持つか」という準備に焦点が当てられてきました。しかしこれからは、「どう備えを整理するか」という視点も重要になってきます。必要なものを見極め、役割ごとに分けて備えること。それによって、災害時の判断をシンプルにすることができます。

日常の中で無理なく備えを整え、いざという時に落ち着いて行動できる状態をつくること。それが、これからの防災に求められるかたちといえそうです。

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