猫も人も発症する『人獣共通感染症』5つ 主な原因や症状、知っておくべき予防法まで

2026-04-28 17:00

人も動物も感染する病気のことを「人獣共通感染症」といいます。症状は軽いものから、命に関わるものまで多岐に渡り、細菌やウイルスによって引き起こされます。愛猫と飼い主の間で感染する病気は、どちらか一方ではなく双方のリスクを理解することが大切です。今回は、特に注意すべき感染症とその対策をまとめました。

猫も人も発症する人獣共通感染症5つ

猫に引っかかれた手

どんなにかわいい猫であっても、動物由来の感染源はゼロではありません。猫の爪や口の中、あるいは体には、人間に感染すると病気を引き起こす細菌やウイルスなどの病原体が存在します。

まずは、飼い主として覚えておきたい、代表的な5つの感染症について見ていきましょう。

1.猫ひっかき病

「バルトネラ・ヘンセレ」という菌が原因で、猫に引っかかれたり、噛まれたりすることで感染する代表的な病気です。

引っかかれるというと猫に攻撃されるイメージがありますが、「遊んでいる最中に爪が当たった」「膝から飛び降りる時に爪が食い込んだ」「怪我しているところを舐められた」といった日常の些細なすり傷でも感染リスクがあります。

人が感染すると、数日から数週間で傷口に近いリンパ節の腫れや、発熱や頭痛を引き起こします。人医の皮膚科や内科で猫に引っかかれたことを相談してください。

この病気は主にノミを介して猫の間で広がりますが、猫自身にはほとんど症状がないことから、飼い主が気づかないうちに菌を保有しているケースが多いのが特徴です。

2.パスツレラ症

猫の口の中には「パスツレラ菌」という常在菌が存在しています。この菌に感染して発症するのがパスツレラ症です。どんなにかわいい猫でも、ほぼ全頭が保有しているといわれています。

小さな傷口や荒れた皮膚などから猫の唾液を通して侵入し、傷口が赤く腫れ上がり、激痛を伴います。細菌と接触してから発症までに、数時間〜2日以内というかなり短い期間で症状が出ることから、原因は比較的「猫」と判断しやすいかもしれません。

糖尿病などの持病がある方や、免疫力の落ちた高齢者は重症化しやすく、肺炎や敗血症を引き起こすリスクもあるため、すみやかに医療機関を受診してください。

3.重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

近年、日本国内で最も警戒されているのが、マダニが媒介するウイルス感染症です。

感染した動物(特に弱った猫など)の唾液や体液によって人へ感染します。近年では、野良猫の保護活動をしている方や獣医療関係者の感染も報告され、猫を飼っている人たちにとっては、けっして他人事ではないでしょう。

人が感染すると6日〜14日程度の潜伏期間を経て、38℃以上の高熱や倦怠感、嘔吐、腹痛、下痢などの症状が現れます。初期症状はノロウイルスやインフルエンザと似ているため、注意が必要です。

SFTSは、人の致死率は10〜30%、猫の致死率は60〜70%といわれています。

4.皮膚糸状菌症

カビ(真菌)の一種が皮膚に感染する皮膚糸状菌症は、猫では顔周りや耳、足などに円形の脱毛やフケが見られるのが一般的です。

猫の皮膚糸状菌症も、感染の原因は接触です。感染した猫と直接触れ合うケースのほか、抜け毛やフケに付着した真菌の胞子がブラシや寝床、カーペットなどを介して移ることでも感染します。

人が感染した場合、痒みを伴う赤いリング状の湿疹ができ、抗真菌薬による治療が必要です。

一度でも家の中に病原体が持ち込まれると、付着した抜け毛などから人も猫も再感染しやすいため、多頭飼いの家庭では全頭検査や隔離、また徹底した部屋の掃除と消毒が重要になります。

5.トキソプラズマ症

寄生虫の一種であるトキソプラズマによる感染症は、猫の糞便中に排出されたオーシストや、寄生虫を含んだ生肉などが口に入ることで感染します。

健康な成人であれば、その多くは無症状か、軽い倦怠感やリンパ節の腫れなど風邪のような症状で済み、一度感染すれば一生続く免疫が得られます。しかし、免疫系未発達な未就学児などでは、大人よりもリンパの腫れや強い倦怠感が顕著に現れることがあります。

最も注意が必要なのは、妊娠中の女性が初めて感染した場合で、胎盤を通じて胎児に感染が及ぶと、水頭症や視力障害、脳内石灰化など重篤な影響が出る可能性があります。

感染リスクを下げるために知っておくべき予防法

ケージの中の保護猫

愛猫から感染症をうつされないためには、猫を健康に保つことと、人側の衛生管理を徹底することの二段構えが重要です。

猫に対してできることは、完全室内飼育を徹底して、外からの感染源を断つことです。きちんと爪を切っておくだけでも、猫ひっかき病の感染リスクは減らせます。また、猫の体調などに異常を感じたら、時間をおかずに動物病院に相談するようにしましょう。子猫や高齢猫は、数時間で容態が悪化することもあるからです。

同時に、飼い主側の衛生管理もとても重要です。甘えん坊の猫だと抱っこをしたり、一緒に寝たりすることもありますが、猫と接近すればそれだけ猫の唾液が付きやすくなります。顔同士を近づけるような過剰なスキンシップは控えましょう。また、トイレの掃除では排泄物に直接触れないよう気をつけつつ、猫を触ったら手洗いや消毒をするようにしましょう。

衛生面の観点からは、できれば自分の愛猫以外の猫に触れることは避けたいものですが、人から一時的に猫を預かるときや野良猫の保護活動をしている場合は、マスクやグローブ、長袖・長ズボンなどで噛み傷や体液との接触を防ぎましょう。こまめな消毒も必須です。

まとめ

鼻を触られる猫

愛猫との暮らしを長く楽しむためにも、猫も人も感染する病気のリスクは、正しく理解することが大切です。

感染症は、「病原体そのもの」と「入ってくる経路」、そして「感染する相手(宿主)」がそろってはじめて成立します。猫には何ともなくても飼い主が倒れたら大変ですから、予防策をしっかりと実践して、家の中の環境や自分自身の清潔を保つことを心がけてください。

そして、もし自分や猫の体にいつもと違う様子が見られたときには、医療機関や動物病院で診断を受けるようにしましょう。症状を悪化させないためには、初期段階での受診が重要です。

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