“行列を回避”できる「ファストパス」広がる GWも並ばずに飲食店へ…「患者に選択肢を」病院でも導入拡大 “タイパに課金制”どう思う?【news23】
連休中、飲食店などの行列に並ぶ方も多いのではないでしょうか。いま、行列を有料の“ファストパス”で回避できるサービスが広がっています。みなさんは“ファストパス”買いますか?
「時は金なり?」ファストパス使い並ばず行列店へ
2026年も始まったゴールデンウイーク。
観光客
「(ドラマの)ロケ地巡り」
「結構混んでる。思ったより」
連休中、人が集まる場所、人気の店で避けられないのが「行列」です。
肉厚で柔らかな豚肉に、キレのある醤油スープのラーメンが人気のこちらの店。
客
「1時間待ったことはある。一番並んでる時は2重に折り返している時とかもあるので」
「列が並んでて、その時は諦めた」
「ぐるなび」が行った調査によれば、許容できる入店の待ち時間は「30分まで」が最も多く、1時間以上待てると答えた人は、全体の15%程度に留まりました。
【許容できる入店の待ち時間】
・並ぶお店には行かない:14.8%
・~5分:6.7%
・~10分:12.9%
・~15分:13.9%
・~20分:10.1%
・~30分:23.7%
・~45分:2.6%
・~1時間:11.9%
・~1時間半:2.1%
・~2時間:0.9%
・それ以上:0.5%
ぐるなびリサーチ部より
※2024年8月実施
※20~60代のぐるなび会員1291名対象
そこでいま、広がりつつあるのが…
記者
「横浜にあるこちらの店舗では、入店の待ち時間を回避できるファストパスを導入しています」
テーマパークなどではすでにおなじみの「ファストパス」。
使い方は簡単で、店にある専用のQRコードから優先チケットを買うと、行列に並ばず、すぐに入店できます。この店の場合、750円から購入することができ、混雑状況に応じて値段が上がる仕組みです。
客
「すごくいいよね」
「ゴールデンウイークとか大型連休の時とかに早くお店入って、ご飯食べられるのはすごくいいなと思う」
「ディズニーだったら課金しちゃう」
「子どもも小さいので、1時間も並んでられないから使うかも」
こちらの店では、約2年前からファストパスを導入。多いときで月に100人ほどが利用しているそうです。
博多天ぷらたかお神奈川ブロック長 植松一成さん
「列が多くできてしまって、待機列をストップしたりということがあって、導入したことによって待機列が少しでも短くなって、近隣の店舗への迷惑が軽減されたことや、お客様の待ち時間の短縮に繋がっていると思う」
サービスを行っている会社によれば、現在、全国約100の店舗で導入され、ファストパスによる売り上げの半分は店の利益となり、商品の値上げを抑えるために使ったり、従業員の給与に還元する飲食店もあるということです。
病院にも導入「患者に選択肢を」
そして、ファストパスはいまや病院にも。
受付
「有料ファストパス予約で間違いないでしょうか。4400円になるんですが」
こちらの病院のファストパスは、4400円と高めの設定ですが…
看護師
「有料ファストパスの横山さんどうぞ」
受付から会計まで優先され、急患などで10分以上待った場合には全額返金されます。
パークタワー西新宿整形外科 佐藤啓院長
「特に整形外科とか、予約がないところで受診すると、半日・数時間かかるのはあたり前だというのが世の中的にまだ多い。(ファストパスが)一般的に広まってほしい、使って欲しいと思った(価格)設定ではなく、どうしても急がなくてはいけない人とか、選択肢を用意しておくことが大事と思って準備をしている」
現在、ビジネスマンを中心に、月10人程度が利用しているそうです。
患者
「時間が無いときとかには、そういうのも選べるのはありがたい」
「あんまり高額だと、たぶん使わないと思うんですけど、適正な値段で並ばずに早く行きたいときには、便利なサービスになるんじゃないか」
生活のあらゆる場所に現れた「ファストパス」。もし長い行列が出来ていたら、あなたは待ち時間をお金で買いますか?
“行列回避で課金” あり?なし?
小川彩佳キャスター:
お腹がすくと極端にイライラしてしまうタイプなので飲食店などでは、コンディション次第かなと思います。待つのも楽しかったりしますから、状況によりますよね。
藤森祥平キャスター:
「ファストパス」と聞くと、「テーマパークなのかな」というイメージになってしまいますが、かなり広がってるようです。
ファストパス導入例を見ていきます。博多天ぷらたかおジョイナス横浜店では、ファーストパスが750円からで、列の長さによって金額が上がるそうです。オーソドックスな天ぷら定食が1380円からということで、ファストパスの金額を含めると倍近くになってしまいます。利用客は、月50〜100人で日本人が多いそうです。
パークタワー西新宿整形外科では、ファストパス4400円です。ただ、▼診察までに10分を超えた場合は返金するということです。あくまでも「急患を優先するため」だということです。
ファストパス以外に、通常の予約枠があって、そこに割り込む形になりますが、予約している人が遅くなるということはないということです。うまく両立してるということですね。
東京大学准教授 斎藤 幸平さん:
僕はファストパス全般に反対です。百歩譲ってテーマパークはありだとしても、ラーメン屋みたいなものは、平等の空間だと思っています。金持ちも、貧乏人も、労働者もみんな同じ時間を待って、同じものを食べる。そういう階級を超えてシェアする空間なんですよ。
社会主義的・コミュニズム的な空間がラーメン屋なので、そこにディズニーランドみたいな階級が入ってきて、人々が接し合わなくなるというのは良くない。ファストパスが医療とか命に関わるところまで入ってきて、「たくさん金払っているから、救急車も早く」みたいになってしまうと危険なんじゃないかなという懸念があります。
藤森キャスター:
そういう考えもあるかもしれません。街の声を聞きました。
「時間の価値」「不平等」…街の声は
30代
「病院とかだとかなり平日に休みをとって行っても、並ぶことがあるので、そういったときに、いくらかにはよるが、もしあれば使うこともあるのかな。急いでるとき、次の予定があるときとは、時間の価値が高いと思っている」
大学生
「資金力とかの差が出てきて、大人の方がやっぱりファストパスは利用しやすいのかなって、不平等になっちゃう」
40代
「子どもがいると待てなかったり、ぐずっちゃったりするので、そういう時はできればスムーズに入りたい」
60代
「お金出してまで?食べ物はちょっと…待つかな。ファストパスにお金がかかるなら普通に待つかな」
大学生
「私ケチなんですよ。(待つのが)1時間ぐらいだったら、『頑張ろう』って説得しちゃう、相手を」
小川キャスター:
価値観の対立というか、何を大事にして、何に価値を見出すのかということですね。
東京大学准教授 斎藤 幸平さん:
結局、ファストパスで時間短縮をしても、手に入れた時間をスマホとかで浪費しているだけだと思います。常にタイパ・コスパだけ求める人生は、本当に豊かなのでしょうか。むしろ、目先のことだけではなく、無駄とか、寄り道とか、そういうのが逆に人生の豊かさになるのではないでしょうか。速さだけを求める社会には、貧しさも含まれているんじゃないかなと思います。
小川キャスター:
そこに違和感を持てる人間でありたいなとも思いますよね。
東京大学准教授 斎藤 幸平さん:
「待つのも楽しいな」みたいな人生の楽しみ方も必要ではないでしょうか。
小川キャスター:
人間はそもそも非効率であって無駄がある生き物ですからね。
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<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
著書『人新世の「資本論」』