最大の武器“SNS”でメディア攻撃や直接発信するトランプ大統領 「ある種のプロパガンダ」 監視役の役割低下が懸念される中、メディアはどう変わるのか?【サンデーモーニング・風をよむ】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-05-10 14:44
最大の武器“SNS”でメディア攻撃や直接発信するトランプ大統領 「ある種のプロパガンダ」 監視役の役割低下が懸念される中、メディアはどう変わるのか?【サンデーモーニング・風をよむ】

トランプ大統領はメディアを非難したり、圧力をかけたりする一方で、メディアを介さずSNSで自らの主張を発信します。改めてメディアは今、その有り様を問われています。

【写真を見る】「今週のメディア犯罪人」ホワイトハウスHPに掲載

ワシントン・ポストがトランプ大統領に“急接近”

4日、俳優のアン・ハサウェイさんや、歌手のリアーナさんが参加したセレブが集うファッションイベントがニューヨークで行われました。

ところが、このイベントに出資し名誉議長も務める、アマゾン創業者、ジェフ・ベゾス氏への抗議デモが起きます。

ベゾス氏に抗議する人(インスタグラムより)
「ベゾス氏は、社会がひどくなっている理由の一つ」

ベゾス氏が有力紙ワシントン・ポストのオーナーとなって以降、トランプ大統領に急接近。編集方針に口出しする一方で、大規模なリストラを行ったことへの反発がありました。

政権とメディアの関係が問われたこの日、アメリカの優れた報道に贈られる「ピュリツァー賞」が発表されました。

ピュリツァー賞選考委員会 マージョリー・ミラー氏
「巨大な政治的、そして経済的圧力に直面している今日ほど、祝福の日としてふさわしい時はないでしょう」

最も権威のある公益部門では、ワシントン・ポストが受賞。「政府効率化省」による予算削減で、社会保障制度が機能不全に陥ったことなどの問題点を指摘しました。

また、ロイター通信は「トランプの報復」と題し、政府職員や裁判官、大学に至るまで、政権への同調が強制された実態を暴露。こうしたトランプ政権を検証した報道に賞が贈られました。

ピュリツァー賞選考委員会 マージョリー・ミラー氏
「残念ながら今、ホワイトハウスや国防総省へのメディアのアクセスが制限されています」

トランプ大統領「ゆがんだジャーナリズムは抹殺すべき」

実際いま、トランプ政権のもとで、メディアへの不当な干渉や圧力が強まっています。

トランプ大統領(4月)
「報道したメディアに乗り込んで行って、『国家安全保障の問題だ。情報源を出せ、さもなければ刑務所だ』と言ってやる」

トランプ氏は、ニューヨーク・タイムズやBBCテレビの報道に、1兆円を超える巨額の損害賠償を求めて提訴。また自分に敵対的なテレビ局には、放送免許の剥奪に言及します。

トランプ大統領(2025年9月)
「彼らは悪い宣伝や報道しかしない。その免許は剥奪されるべきだと思う」

さらにホワイトハウスの公式サイト内で、「今週のメディア犯罪人」、そして「恥の殿堂」などと題して、批判的なメディアや記者を名指ししています。

こういった政権による圧力を反映し、4月、国境なき記者団が発表した「報道の自由度ランキング」では、過去最低となる64位に下落。

トランプ大統領(SNSの投稿)
「ゆがんだジャーナリズムは、褒めるべきではなく、抹殺すべき」

そんなトランプ氏の最大の武器が、SNSからのメディア攻撃です。トランプ氏にとって、いまや最大の武器となったSNS。最近も...

トランプ大統領(SNSの投稿)
「フェイクニュースメディアは、イランに対してどれほど素晴らしい成果をあげたか報道することを嫌っている」

既存のメディアを「フェイクニュース」と批判し、真偽の怪しい情報も含め、連日有権者に発信します。こうしたトランプ氏の言動も影響してか、アメリカ市民の「メディアへの信頼度」は、過去最低の28%に下落したのです。

メディアをめぐる今の状況を、ジャーナリズムを研究する山田教授は…

専修大学 山田健太教授(ジャーナリズム論) 
「第2期トランプ政権の特徴は、SNSの直接発信。ある種のプロパガンダですので、そのプロパガンダによって自分のしたい政策を突き進むという状況。直接有権者に対して訴えかける方が早い、影響力が大きい、批判を浴びずに好きなことが言える。これは政治家にしてみると非常に気持ちいい状況」

政治家の“SNSで直接発信” メディアの役割低下に懸念

いまや為政者がSNSを活用するのは世界的な傾向です。

1日からベトナム、そしてオーストラリアで首脳会談を行った高市総理。その報告を、写真付きで、いち早くSNSに投稿。就任以来、ほぼ連日こうした発信をしています。

高市早苗総理(4月)
「タイムリーに今発信したいというようなこともありますし、リプライ機能から国民の皆様の声を直接受け止めることもできる」

為政者がメディアを介さず、直接国民に発信する現在の状況。片や、これまでメディアは、「ウォッチドッグ=監視役」としての役割を担ってきました。

例えば、政権による盗聴と隠蔽工作を暴いた「ウォーターゲート事件」の報道で、ニクソン大統領を辞任に追い込んだワシントン・ポスト。

また、ベトナム戦争に関する機密文書を入手し、政府が長年国民に嘘をついていた実態を明らかにしたニューヨーク・タイムズ。共に当時、ピュリツァー賞を受賞しました。

しかし、現在、こうしたメディアの役割低下が懸念される中、これから求められるものとは。

専修大学 山田健太教授(ジャーナリズム論)
「ネットの世界の場合、嘘であればあるほど面白く、面白い情報であればあるほど多数化し、真実化する。強いメッセージを発する人が出た場合、一斉にその色に染まってしまう。そういう状況が生まれている中で、今回のピュリツァー賞、ジャーナリズム界全体としては『今の状況は良くない』『変えなくていけない』という気持ちは強い。新聞やテレビは、『ジャーナリズムとは何なのか』ということにもう一度立ち返って、『表現の自由』を最大限活用して、いろんな声を取り上げていくってことが大事」

ネット偏重の傾向が加速する中、メディアは、信頼を取り戻せるのでしょうか。

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