「渡鬼」手がけた99歳の現役プロデューサー・石井ふく子さんが語る「わたしは家族がいないんです」1960年代のTBS名作ドラマ集めた映画祭が開幕

22日、東京・杉並区の映画館で「TBSレトロスペクティブ映画祭 第3回 石井ふく子特集」が開幕しました。舞台あいさつには世界最高齢の現役プロデューサーで演出家・石井ふく子さん(99)と、家族ぐるみでの親交があり、自身も石井さんのドラマに出演した船越英一郎さん(65)が登壇。ホームドラマを作り続けてきた石井さんは「わたし自身家族がいないです」「心が通い合う、命の大切さを伝えるドラマをつくりたい」と次の作品への意欲を見せました。
石井「みなさん亡くなられて寂しい…」TBSの名作を振り返る映画祭
東京・杉並区の映画館「Morc阿佐ヶ谷」で開幕した「TBSレトロスペクティブ映画祭 第3回 石井ふく子特集」。石井ふく子さんが1960年代に手掛けた『東芝日曜劇場』の名作8作品と、石井さんの歩みをたどる新作ドキュメンタリー映画「石井ふく子 100歳~心のドラマの軌跡~」が上映される特別な映画祭です。
船越さんの母で女優の長谷川裕見子が出演した『女と味噌汁』(1965年放送)の上映後に行われた舞台あいさつとあって、長谷川裕見子との思い出を振り返りつつ、石井さんは「作品を久しぶりに観て、もう亡くなられた池内淳子さん、山岡久乃さん、長谷川裕見子さん、みんなこんなに元気だったのかと寂しくなりました」と、かつての大女優たちに思いを馳せました。
今年100歳の現役プロデューサー・石井ふく子さんの人生は、ドラマの歴史。
石井ふく子さんは、今年9月に100歳を迎えます。母は花柳界の出身で、実の父とは面識がなく、継父は劇団新派の俳優・伊志井寛。家には美空ひばりや高峰秀子らが遊びにくることもあったそうで、俳優・長谷川一夫の勧めで石井さんは新東宝所属の俳優になりました。
その後自らの芸能人脈で俳優のキャスティングも手がけるうちに、開局直後のTBSから東芝日曜劇場のプロデューサーにスカウトされ、テレビに参画。橋田壽賀子、平岩弓枝といった脚本家たちと「肝っ玉かあさん」「ありがとう」「渡る世間は鬼ばかり」などで、家族のぬくもりと、日常の尊さなどを描き、大ヒット番組を数多く家庭に届け、なお、第一線を走り続けています。
船越英一郎さん「小さい頃はブーバーと呼んでいた」
石井さんの少女時代からの親友が2歳年上の女優・長谷川裕見子さん。俳優・長谷川一夫さんの姪であり、船越さんの母親です。石井さんとひとつ屋根の下で暮らしたこともあり、石井さんは、彼女と俳優・船越英二の結婚を介添えしたそうです。息子・船越英一郎さんのドラマデビューも手掛け、関係は続いています。舞台挨拶も終始、本当の親子が会話しているような温かな雰囲気が流れていました。
船越英一郎さんは、「幼い頃は石井さんを、家に車(ブーブー)で来るバーバ(おばさん)だから、ブーバーと呼んでいた。まだ(石井さんは)30代だったのに。この世界に入るときに、これからは石井先生と呼んで敬語で話そうと心に決めました」と語り、石井さんは「そんなことないわよ。時々ブーバーって呼ぶじゃない」と返し、和やかなやり取りに会場は笑いに包まれました。
“2時間ドラマの帝王”とも呼ばれる船越さんは「先生は人を殺すのは嫌とおっしゃるが、私はそればっかり。不肖の息子だけど、“人間”の描かれないドラマはダメだ、という先生の教えは大切にしてきました」と語りました。
「TBSレトロスペクティブ映画祭 第3回石井ふく子特集」は、大阪、京都、名古屋、福岡など全国で開催されます。ドラマの母が長年紡いできた物語は、今の時代にも 多くの人の胸を温めるメッセージを届けます。