“脚切断の危機も”9歳で希少がん・骨肉腫発覚「腹筋も手術で取った」凄まじい手術跡…車いすテニス・小田凱人選手を支えた医療技術とは【ニュースキャスター】

2024年、パリパラリンピックで金メダルを獲得。さらに、テニス4大大会を制覇し、『生涯グランドスラム』を達成した、車いすテニス・小田凱人選手。9歳の時に発覚した『骨肉腫』で脚の切断も危ぶまれたが…。難病を乗り越え、世界一のテニス選手となる彼を支えたのは、“子どもの未来を守る医療技術”だった。
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「病気をしてもここまでいけるんだ」―自らの活躍で夢物語を現実に
今回『Nキャス』の取材に、立った姿で現れた小田選手。
小田凱人 選手
「立ったり歩いたりはできて、そもそもが片脚の障害なので、右脚は普通の脚。右脚と比べて、こっち(左脚)の方が1センチ短い」
普段は歩くことも多いという。HIPHOPを愛し、ファッションにもこだわる彼の指には、ギラギラした大きな指輪。それは、“病に負けない証”の一つでもある。
小田凱人 選手
「テニスの記録もそうだし、年収もそうだし。ファッションもそうだし。病気をしてもここまでいけるんだ、という夢物語は、自分が現実として見せられたらいいなと」
「腹筋も手術で取っている」子ども・若者に多い『骨肉腫』
そんな彼の転機となった『骨肉腫』。その手術跡は凄まじい。
小田凱人 選手
「結構脚だけの障害だと思われがちだが、(手術で)お腹も切っていて、腹から胸ぐらいまで傷がある。左脚だけでなく腹筋も手術で取っているから、どれだけ筋トレをしても、ないものはつかない」
『骨肉腫』は、骨に発生し、時に筋肉をも蝕む悪性腫瘍(希少がん)で、特に10代の成長期の子どもに発症が見られる。小田選手はサッカーに夢中だった9歳の時、左脚に骨肉腫が発覚。酷ければ脚切断もあり得たというが…
成長に合わせて骨を伸ばす『伸長式人工骨頭』
成長期の彼を救ったのは、『骨を金属に置き換える』医療技術。今回、小田選手の了承を得て、主治医で名古屋大学医学部附属病院の生田国大先生に話を聞く事ができた。
生田国大 医師
「(当時)手術の前に、サッカーができるかというのを聞かれた事があって。その時に、正直に言うとできないよ、と。かなり落ち込んだと思うが、そう言ったのは覚えている」
生田国大 医師
「骨肉腫という腫瘍を体の外に切除して出す。そこに人工の金属を入れる手術。成長期で脚がこれぐらい伸びるだろうという予想を立てて、『伸長式人工骨頭』と言うが、オーダーメイドで作ってもらって」
それは体の成長を想定し、骨の長さを調節できる『人工骨頭(こっとう)』。
小田選手は、左脚の股関節と大腿骨の間にこの器具を装着していて、その特徴は、体の外から器具のネジを回転させる事で、成長に合わせて細かな単位で骨を伸ばせる事だ。
左脚の中に金属が…「ゾクッとするけど、仲良くなれている」
抗がん剤治療をしながらリハビリを行っていた際、車いすテニスを知り、その道へ進む事を決意したそうで。
小田凱人 選手
「左脚に金属が入ってんのかと考えたらゾクッとするが、だんだん仲良くなれている気はしている。動いても痛くない角度とか、9歳からリハビリしていく中で色々分かってきて」
「過酷だったけど、逆に普通の人よりテニスが上手くなって、強いボールが打てたら誰よりもかっこよくなれるんじゃないかという、反骨精神に近い感じで」
反骨精神と人工骨頭の支えで、世界一とも言える急スピードでの移動を行える体を築いた 小田選手。
生田国大 医師
「車椅子の回転が加わって打つ。かなりこれ機械に負荷かかってそうだなと思うこともあるが、“何かあった時はお付き合いする”というスタイルに決めているので」
自分の活躍を、日本で、地元で、間近で見て欲しい。
世界を飛び回ってきた彼が今願うのは、10月に名古屋で開幕する『アジアパラ大会』で自らの勇姿を間近で見て欲しいということ。小田選手は愛知・一宮市出身で、“地元”での試合に臨むことになる。
小田凱人 選手
「次、こういう世界大会が名古屋で行われるかわからない。このチャンスを逃さないよう、存分に自分の姿を見せたい」