“立場がかなり上昇”北朝鮮に対し影響力強める狙いか 中国・習近平氏が訪朝 核問題に言及は【Nスタ解説】
7年ぶりに北朝鮮を訪問した中国の習近平国家主席。
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滞在中は両国の友好や協力が強調されましたが、首脳会談で核問題について言及があったかは明らかになっていません。
なぜ今?習近平氏が訪朝 近づく北朝鮮・ロシア背景に
井上貴博キャスター:
中国と北朝鮮をめぐる主な経過についてです。
【訪朝までの経緯】
2019年6月:習氏訪朝・首脳会談
2020年1月:新型コロナで中朝国境の往来制限
2025年9月:北京で中朝首脳会談
2026年5月:米中首脳会談
→9月にも米中首脳会談が行われる予定
2026年6月8日:習氏が2度目の訪朝・首脳会談
中国・習近平国家主席にとって今回の訪朝は2026年初の外遊で、北朝鮮を訪問して首脳会談を行うのは2回目となります。
その間に、ロシアによるウクライナ侵攻があり、北朝鮮はロシアへ軍事支援を行い、ロシアは北朝鮮に軍事技術を提供したとみられるなど、関係性が近くなっています。
今回の訪朝は、対アメリカを視野に関係を強化したい北朝鮮と、長年、北朝鮮の“後ろ盾”となってきた中国が、北朝鮮をつなぎとめる意味で影響力を強める狙いがあったとみられています。
ロシアにオール・インしてきたことで…中国と良好な関係に?
井上キャスター:
北朝鮮としては、ロシアと近づいたけれども経済がそれほど良くならなかったため、やはり中国にお願いしたい、後ろ盾になってもらいたいという思惑があるのでしょうか。
慶応義塾大学 礒﨑敦仁 教授:
北朝鮮は貧しい国ですが、今、経済的には歴史上、最高潮だと思います。それは戦争特需が生まれているからです。
“戦争特需”欲しさにロシアにオール・インしてきた結果、中国との関係はギクシャクしていました。しかし、結局それを見た習近平氏が「自分の目の届く所でやってくれ」「アジアを主導するのはロシアではなく中国」ということで、今回の訪朝に至ったように見えます。
各国の首脳が北京を訪れて習近平氏に会いにいく中で、習近平氏の2026年初めての外遊先が北朝鮮ということで、北朝鮮は「大勝」といえるでしょう。
出水麻衣キャスター:
こうした動きをロシアはどう見ているのですか?
慶応義塾大学 礒﨑教授:
ロシアと北朝鮮の関係は非常に良いです。そもそもウクライナ侵攻以前は、ロシアと北朝鮮は非常に遠い関係でした。
北朝鮮としてはロシア・中国双方との友好関係を謳い、「バランス外交がうまくいっている」というのが、大きな動きになると思います。
北朝鮮の狙い 中国・ロシアが「黙認」でアメリカ・日本にも波及する“核問題”
井上キャスター:
北朝鮮に非核化の説得を期待しているのがアメリカですが、今回の中朝首脳会談で「非核化」について、中国は言及はしていないようです。
北朝鮮からすると「中国は核保有を黙認した」と受け止めることもできるのでしょうか?
慶応義塾大学 礒﨑教授:
ロシアはプーチン大統領が、北朝鮮からの軍事支援が欲しいため、北朝鮮の核保有を黙認してきました。
北朝鮮は経済制裁がかかったまま兵器を売り、多額の外貨を得ているとみられており、中国がアメリカとともに非核化を進める意味が減ってしまいました。
以前の中国の報道には「北朝鮮に対して非核化を求めた」という情報がありましたが、今回は出てきていませんので、北朝鮮・金正恩氏の立場はかなり上がっているようです。
ロシアも中国も北朝鮮の核保有を黙認することになれば、アメリカが「なぜ日本と韓国と、北朝鮮の非核化を推し進めるのか」と波及する恐れがあります。それが北朝鮮の狙いだと考えていいかと思います。
北朝鮮は中国との関係を悪くしてでも、賭け事的にロシアにオール・インしてきた数年間でしたが、結果的に中国を振り向かせることに成功。中国とロシアの双方から引き出すことができれば、バランスを取りながら自主路線を歩むことができます。
史上稀に見る北朝鮮にとって良い形ができてしまっています。
「普通の国家であることを印象づけたい」 金正恩氏の服装に変化
井上キャスター:
2019年と今回の訪朝では金正恩氏の服装に違いがありました。何か意図はあるのでしょうか。
【金正恩氏の服装】
▼2019年:人民服
▼2026年:スーツ
慶応義塾大学 礒﨑教授:
金正恩氏がスーツを着る機会が増えてきています。国内での朝鮮労働党大会でも2026年はスーツでした。
普通の国家であることを印象づけたいという意味もあるのでしょう。
井上キャスター:
後継者とされる娘のジュエ氏は今回は参加していないのですか?
慶応義塾大学 礒﨑教授:
今回の首脳会談には、まだ姿を出していません。
ジュエ氏の名前も公表されていない段階ですが、平壌にあるロシア大使館を親子で訪問したり、前回の外遊で中国に連れて行ったりしています。
徐々に露出を増やしていて重要度は高まっていると思いますので、そろそろ姿を見せるかもしれません。
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<プロフィール>
礒﨑敦仁さん
慶応義塾大学教授
北朝鮮政治・外交が専門
アメリカ・中国・韓国で研究に従事