名刺交換からプレゼン発表まで 中学生が挑んだ5日間の職業体験に注目

2026-06-15 22:00

「働く」と聞くと、社会人になってからの話だと感じる人も多いかもしれません。しかし実際には、仕事を通して学べることは職業そのものだけではなく、人との接し方や目標に向かって行動する力など、これからの人生にもつながる大切な経験が数多くあります。

兵庫県姫路市では、中学生が地域企業で実際の仕事を体験する「トライやる・ウィーク」が行われています。今回紹介するのは、不動産会社である赤鹿地所が受け入れた職業体験の取り組みです。

参加した生徒たちは、社員との名刺交換をはじめ、賃貸物件での作業や住宅展示場の見学、プレゼンテーションなど、普段の学校生活ではなかなか経験できないさまざまな活動に挑戦しました。さらに最終日には、自分自身の目標について考え、発表する機会も設けられています。

5日間の体験を通して生徒たちは何を学び、どのような成長を見せたのでしょうか。地域企業と中学生がともに取り組んだ職業体験の様子を紹介します。

名刺交換から始まった、中学生の5日間のチャレンジ

兵庫県姫路市にある赤鹿地所では、地域の中学生を受け入れる職業体験プログラム「トライやる・ウィーク」を実施しました。今回参加したのは姫路市立高丘中学校の生徒2名です。

プログラムのスタートとなったのは、社員との名刺交換でした。社会人にとっては日常的な場面ですが、中学生にとっては初めて経験することも多く、緊張した様子で一人ひとりと向き合いながら名刺を受け渡しました。職業体験というと職場見学をイメージする人もいるかもしれません。しかし今回の取り組みでは、実際に業務へ参加しながら仕事を学ぶ実践的な内容が用意されていました。

不動産業は、住まい探しや住宅購入をサポートするだけでなく、賃貸物件の管理や街づくり、情報発信などさまざまな業務によって支えられています。こうした仕事の現場を体験することで、生徒たちは働くことの面白さや責任、そして多くの人と協力しながら仕事を進める大切さに触れていきます。

また、今回のプログラムでは単に仕事を体験するだけでなく、自ら考え行動する力を育むことも大切なテーマとして位置づけられていました。将来の職業選択だけでなく、学校生活にも活かせる学びを得られる機会として実施された点も特徴です。

鍵交換から住宅展示場見学まで、不動産の仕事を体感

5日間の職業体験では、不動産会社が担うさまざまな仕事を実際に体験する機会が用意されました。生徒たちは賃貸物件の現地で写真撮影を行ったほか、資料作成や鍵交換作業にも取り組み、日頃は目にすることの少ない管理業務の一端を学びました。

また、分譲地の造成現場を見学し、土地がどのように整備され、新しい街づくりへとつながっていくのかについても理解を深めました。不動産業というと住宅や建物そのものに注目が集まりがちですが、その背景には多くの準備や計画があることを体感できる内容となっています。

営業や企画に関わる業務も体験しており、住宅展示場の見学や建売住宅のWeb掲載業務にも挑戦しました。掲載する写真の選定や編集作業を通して、住宅の魅力をどのように伝えるかについて考える機会にもなったようです。

そのほか、経理業務の一部や社内広報の作成など、会社を支える仕事にも触れました。住まいを提供する仕事だけでなく、多くの部署が連携しながら会社が成り立っていることを学べる5日間となりました。

学んだことを自分の言葉で伝えるプレゼンテーションに挑戦

職業体験の最終日には、5日間の学びを振り返るプレゼンテーションが行われました。生徒たちは見学した住宅展示場について資料を作成し、社員に向けて発表を実施。見聞きした内容をまとめるだけでなく、自ら積極的に質問して得た情報も盛り込みながら発表を行いました。

プレゼンテーションでは、住宅の特徴だけでなく「実際に住んだ場合の暮らし方」まで具体的に考察されていたことも特徴です。見学を通して得た気づきを自分なりに整理し、人に分かりやすく伝える力が求められる内容となりました。

さらに、もう一つの発表テーマとして取り組んだのが「中学校生活で叶えたいこと」です。学業や部活動など、それぞれが達成したい目標を設定し、現状の課題や今後の行動計画について考えました。

その際に活用されたのが、企業でも広く使われているPDCAの考え方です。目標を立て、実行し、振り返りながら改善を重ねていく流れを学ぶことで、生徒たちは仕事だけでなく日常生活にも活かせる考え方に触れる機会となりました。発表後には社員からアドバイスも送られ、自ら立てた計画をより具体的なものへとブラッシュアップしていったそうです。

5日間の経験が、中学生の新たな一歩につながる

5日間の職業体験を終えた生徒たちからは、「名刺交換など大人になってからするようなことを体験できて新鮮だった」「鍵交換作業や住宅展示場の見学など、普段できない経験ができて楽しかった」といった感想が寄せられました。

また、「このトライやる・ウィークで学んだことを今後の学校生活にも活かしたい」という声もあり、職業体験が単なる思い出ではなく、これからの生活につながる学びとして受け止められていることがうかがえます。

受け入れた企業側にとっても、生徒たちの真剣な姿勢は大きな刺激になったようです。慣れない環境の中で緊張しながらスタートした生徒たちが、最終日には自分の考えを堂々と発表する姿へと変化していく様子は、社員にとっても印象深いものだったといいます。

仕事の内容を学ぶことはもちろんですが、人と関わることの大切さや、自ら考えて行動する力を身につけることも今回のプログラムの大きな目的でした。5日間で得た経験や気づきは、これからの学校生活、そして将来の進路を考える上でも貴重な財産になりそうです。

地域企業だからこそできる、未来につながる学びの場

職業体験というと、仕事の内容を知るための取り組みというイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし今回のプログラムからは、働く現場を体験するだけでなく、自ら考え、行動し、相手に伝える力を育てようとする姿勢が伝わってきました。

名刺交換から始まり、現場での作業や住宅展示場の見学、そしてプレゼンテーションまで、中学生たちは5日間を通して多くの経験を積み重ねました。その一つひとつが、将来の進路選択だけでなく、今の学校生活にも活かせる学びになったのではないでしょうか。

地域企業が次世代を担う子どもたちと向き合い、社会との接点をつくる取り組みは、これからますます重要になっていきそうです。今回のトライやる・ウィークもまた、中学生にとって新たな可能性を見つけるきっかけとなる5日間だったように感じられました。

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