強豪国ブラジルとW杯で20年ぶりの対戦へ 元日本代表の中澤佑二氏が分析する「日本の組織力」とキーマン【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-06-29 22:30

サッカーのワールドカップは、負けたら終わりの決勝トーナメントに突入。
日本は30日未明、サッカー王国・ブラジルとの大一番に臨みます。

【写真で見る】FIFAワールドカップ2026 決勝トーナメント表

20年前の“最強軍団”と何が違う?ブラジル戦「突破のカギ」は?

井上貴博キャスター:
個のブラジルか、組織の日本か。いよいよ試合が迫ってきました。

優勝を目指して日本がどう勝ち上がっていくかということですが、今回は「くじ運が悪い」なんて言われています。

日本のトーナメントを細かく見てみると、ブラジルを倒した後、ノルウェーやメキシコ、イングランドなどの強豪が待ち受けています。

まず、ブラジルとどう対戦していくのでしょうか。

ブラジルは言わずと知れた強豪国です。今のFIFAランキングは6位(※6月11日時点)で、ワールドカップ優勝回数は最多の5回です。

日本がブラジルとワールドカップで対戦したのが、20年前の2006年ドイツ大会です。

当時、ブラジルは主要な国際大会を総なめにしていたため、FIFAランキング1位でした。2位以下とのポイント差も大きく、まさに揺るぎない不動の1位の最強のタレント軍団でした。

この時、日本は1対4でブラジルに敗れましたが、2006年当時のブラジルに比べると完成度は数段落ちるのではないかという見方もあります。

中澤さんは、2006年のブラジルと今のブラジルを比べて、チームとしてどう感じますか。

元サッカー日本代表DF 中澤佑二さん:
一概に比べることはできませんが、僕らが戦った当時は、ロナウド選手やロナウジーニョ選手、カカ選手と、世界的なトップ中のトップ選手がいました。

今のブラジル代表については、ヴィニシウス・ジュニオール選手のような非常に優れた選手もいますが、当時と比べると、個の力は落ちている可能性はあると思います。それでも組織力としては、僕らの時代よりも今の方が上かもしれないという印象です。

井上キャスター:
そんなブラジル代表ですが、弱点をあえて挙げるとしたらどのような点になってきますか。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
やはり攻守ともに個人の能力に頼る部分が大きいチームなので、その個の力を抑えることができれば、ブラジルはチームとして守る・攻めるということができなくなります。

日本は、いかに組織的に攻め、組織的に守るかが重要になります。常にハードワークを続けて運動量を上げ、数的優位を作りながら攻撃していくことができれば、ブラジル相手でも戦えると思います。

出水麻衣キャスター:
会見を見ていると、ブラジルの選手たちが日本をそこまで研究していないように思えたのですが、そのあたりはいかがですか。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
もしかすると、ブラジルの若い選手たちは自分のことで手一杯な部分があるかもしれません。

ただ、チームの核となる選手たちについては、おそらく日本の選手もヨーロッパでプレーしている選手が多いので、ある程度知っている情報はあるはずです。

ただ、それをあえて見せないという可能性もあります。

エースをどう抑える?ブラジルの“弱点”とは

井上キャスター:
ブラジルの個の核となるのが、ヴィニシウス・ジュニオール選手(25)です。スペインのレアル・マドリード所属で、プレースタイルは圧倒的なスピードとテクニックを駆使したドリブルです。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
彼は、特にペナルティエリアの中、もしくはその少し外であっても、個人でシュートまで持っていくことができますし、味方を使って自分がフリーになることもできます。

とにかくゴールから近い位置には絶対に侵入させてはいけません。そして1人で対応するのではなく、2~3人で囲い込まなければ、ボールを奪うことは難しいと思います。

また、1対1の状況を作られると、ヴィニシウス選手の得意とする形になってしまうので、できれば複数人で守れるといいかと思います。

井上キャスター:
そうなると、どういう形を作るのがよいのでしょうか。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
まずヴィニシウス選手が、MF/FW堂安律選手(28)のポジションあたり、つまりDF冨安健洋選手(27)よりも前の位置でボールを受ける分には、それほど怖さはないと思います。

そのエリアであれば、近くにMF/FW佐野海舟選手(25)やMF/FW鎌田大地選手(29)もいますし、ゴールからも距離があります。さすがにそこから4人~5人をかわすのは難しいと思います。

ただ、日本のペナルティエリアの横あたりの位置まで侵入された場合、シュートの選択肢もありますし、パスからのコンビネーションで崩される可能性も出てきます。

その局面では、冨安選手やDF谷口彰悟選手(34)を中心にしっかりと人数をかけて対応したいところですが、集まりすぎると他の選手がフリーになりますので、人数の振り加減が大事になってくると思います。

慶應義塾大学教授 教育経済学者 中室牧子さん:
昔のブラジルは攻撃中心で、守備はあんまり…というイメージがありますが、今はどうなんでしょうか。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
今もそこまで守備は堅くないです。初戦のモロッコ戦でもあっさり失点しましたし、その後も何度かピンチを迎えていました。

やはり、守備に関しても個で守る意識は強いかと思います。

井上キャスター:
アンチェロッティ監督に代わってから1年くらいしか経っていないということもあり、整備ができていないという見方もあるようですが。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
ブラジルの選手たちをまとめるのは相当難しいことだと思います。

アンチェロッティ監督も経験豊富な監督ですが、ブラジルの選手たちをいかにのびのびと気持ちよくプレーさせるかという点を重視していると思います。

ある程度の規律はあると思いますが、そこまで縛ることはないのかなと。ただ、メンタル面ではかなり厳しく要求していると思います。

ブラジル撃破へ!中澤佑二さんが選ぶ「2人のキーマン」

井上キャスター:
そういった中で、中澤さんは日本代表のキーマンにMF/FW堂安律選手(28)を挙げています。攻守ともに活躍していますが、今大会では主に守備での活躍が見られます。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
堂安選手の今大会の守備は、特にオランダ戦から始まり、久保建英選手を含めた日本のサイドの守備も本当によく機能していたと思います。

堂安選手はもともと攻撃的な選手なので、MF/FW上田綺世選手(27)やMF/FW中村敬斗選手(25)など、前線の選手が得点を重ねている中で、自身も本来は「ゴールを取りたい」という思いは強いはずです。

ただ、チームのために守備を優先しなければならない役割もある中で、その気持ちをぐっと抑えてプレーしている部分もあると思います。

そのうえで、「どこかで自分が得点を決めてチームを勝利に導きたい」という思いが、この試合ではぶつかって、結果として得点につながるのではないかと感じます。

井上キャスター:
そしてもう一人、守備の要としてDF冨安健洋選手(27)がキーマンとしてあげられています。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
元々コンディションはそこまで上がってきていなかったんですが、アイスランド戦から徐々に上向いてきています。

堂安選手の後ろに冨安選手が入るとなれば、堂安選手の守備への負担も軽くなると思いますし、冨安選手は1対1で止めることに関して、日本で一番能力の高いディフェンダーだと思います。ヴィニシウス選手が来たとしても、冨安選手であれば止められる可能性は高いと思います。

出水キャスター:
得点の展開として、理想の展開はありますか。

元サッカー日本代表DF 中澤さん:
早めに点が取れることが決して悪いというわけではないのですが、0対0の時間が続くことは日本にとって悪いことではないと思います。

日本はハーフタイムから手を打てますし、給水の時間でも作戦を変えることができるように、いろんな手を打つことができるのが日本なので、0対0の時間は長くても大丈夫です。

前半で0対0だと、後半から一気にギアを変えられますし、交代選手でも日本の流れを変えることができます。

==========
<プロフィール>

中澤佑二さん
元サッカー日本代表DF
W杯2006年ドイツ大会・2010年南アフリカ大会に出場

中室牧子さん
慶應義塾大学教授 教育経済学者
教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」

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