レッドカード「一発退場」のはずが“執行猶予”で出場へ…背景にはトランプ氏とFIFA会長の“蜜月関係”か【Nスタ解説】

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2026-07-07 22:06
レッドカード「一発退場」のはずが“執行猶予”で出場へ…背景にはトランプ氏とFIFA会長の“蜜月関係”か【Nスタ解説】

盛り上がるサッカーワールドカップ。前の試合でレッドカードで退場処分となり、出場停止だったはずのアメリカの選手が出場しました。
不服を示していたトランプ大統領とFIFAとの間に、何かやりとりがあったのでしょうか。

【写真を見る】出場停止が執行猶予に 異例の判定変更の背景にあるのは…

レッドカードの原則「退場+次戦出場停止」が試合後に覆る異例の事態に

井上貴博キャスター:
JFA競技規則によると、「レッドカード」とは危険なファウルや乱暴な行為を行った選手に対し、審判が選手に試合からの「退場」を命令するカードです。1試合でイエローカード2枚受けても一発退場になります。

加えて、FIFA規律規定66条によると、レッドカードを受けた選手は自動的に次の試合が出場停止になります。

この「一発退場」と「次戦出場停止」がセットというのがレッドカードの意味合いですが、今回「次戦出場停止」に関して試合終了後に覆されました。

7月1日に行われたボスニア・ヘルツェゴビナ戦で、アメリカのエース・バログン選手が相手チームの選手の足を踏んだということで、試合が一時停止され、VARでの判断の結果、レッドカードで「一発退場」という措置になりました。

ところが5日、FIFAがFIFA規律規定27条の適用により、バログン選手に対する出場停止処分の執行は、1年間の猶予期間に従って保留されるとの声明を出しました。

そのため、バログン選手はベルギー戦の出場が可能になったということです。

FIFA規律規定27条とは

井上キャスター:
FIFA公認エージェントの井神貴仁弁護士によると、FIFA規律規定27条とは、FIFAの司法機関(規律委員会など)は懲戒処分の全部または一部を猶予する権限が与えられるといいます。

FIFA公認エージェント 井神貴仁 弁護士:
FIFA規律規定27条には、FIFAが何らかの処分をした場合、FIFA規律規定27条に基づいて処分をすぐに適用するのか、あるいは一時保留のような状態、いわゆる刑事事件における執行猶予のような形にするのかを決められる権限をFIFAが持つというようなことが書いてあります。

井上キャスター:
例えば、ある国のサッカー協会やチームからの申し立てがあって初めて、FIFA規律規定27条の検討がなされるのでしょうか。

井神弁護士:
申し立てがあってからFIFA規律規定27条の適用が検討される場合もあれば、FIFAの中で試合中の判定がおかしいとのことで適用の検討が始まる場合もあります。

トランプ大統領の介入により揺らぐサッカーの公平性と広がる波紋

井上キャスター:
アメリカのトランプ大統領からの電話をFIFA会長が直接受けた件を含め、今回の経緯についてどう思いますか。

井神弁護士:
レッドカードをもらうと「次戦出場停止」になりますが、FIFAが一時保留のような形にすることは条文の構造上、可能です。

バログン選手だけでなく、これまでのワールドカップでも、レッドカードをもらって次の試合に出場できなかった選手はたくさんいます。

そのような選手たちは出場できず、なぜバログン選手は出場できるのかという理由や証拠の説明をFIFAがしないと、今後サッカーの公平性に関してかなり悪影響が出てくるのではないかと思っています。

井上キャスター:
サッカーは今、VAR判定が当たり前になってきていて、公平性や正確性をしっかりしましょうという流れの中で、今回のバログン選手が保留される事態はなぜなのかと疑問が残ってしまいます。

俳優・タレント 大和田美帆さん:
何のためのルールなのか、何のためにスポーツマンシップがあって、平等に戦おうという素晴らしいスポーツが、もし権力や平等とは真逆のもので審判が変わったのだとしたら、たくさんの子どもたちも観ているのに答えられません。

夢や希望があるスポーツにちゃんと説明がなされていない、理由がちゃんと話されていない。それが権力が原因だとしたら、とてもショックです。

真相解明は「FIFA次第」 !?

井上キャスター:
今のFIFAの会長はもともと弁護士なので規定などは重々分かっていると思いますが、外部から検証されないと透明性がない状態が続き、このまま理由などについて発表はされないのでしょうか。

井神弁護士:
本当にFIFA次第です。7日、FIFAから公式の見解が発表されましたが、結局今回この処分を一時保留にした理由は、様々な状況や証拠を考慮して決めましたという理由しか述べられていませんでした。具体的な理由が述べられていないので、明らかになるかは不透明なところです。

井上キャスター:
過去にも、FIFA規律規定27条が適用されたことがありました。

2025年11月のワールドカップ・ヨーロッパ予選で、BBCによると、クリスティアーノ・ロナウド選手がひじ打ちでレッドカードを受けました。

この時は3試合の出場停止処分で、ワールドカップの第1戦、第2戦が出場できなくなりました。その後、1試合欠場しましたが、今回のFIFA規律規定27条の適用により、残りの処分が執行猶予になったことがありました。

今回の事態の背景には、トランプ大統領とFIFA会長の関係性にあるのではないかと言われています。

トランプ大統領は6日、ホワイトハウスで「問題のプレーは反則ではない。選手同士がぶつかっただけだ。非常に不公平だから、FIFAに再審査を要請した」と発言しました。

トランプ大統領自身が電話したことは認め、自分はいいことをしたいんだという主張です。

FIFA会長側は6日未明、「トランプ大統領から電話を受けた。FIFAの司法機関は独立していて、事実に基づいた決定をしている」とSNSで表明しました。

政治家や国のトップからの要請で、FIFAが判定を覆すことは過去にもありましたか。

井神弁護士:
私が知る限り、かなり珍しい例で、あまりないと思います。

判定変更の背景か FIFAの米国ビジネス戦略とトランプ大統領との蜜月関係

井上キャスター:
なぜFIFA会長がバログン選手に対する審判を変更したのか、FIFAとトランプ大統領の関係性をもとに推測します。

2025年7月、トランプタワーにFIFAのオフィス開設を発表しました。同年8月には、優勝トロフィーをわざわざホワイトハウスに持参しました。

そして、同年12月に「FIFA平和賞」の初の受賞者に、「卓越したリーダーシップで世界の平和と団結を推進した」として、トランプ大統領を指名しました。

スポーツライターの小林信也さんによると、「FIFAのインファンティノ会長は、サッカーをよりお金の稼げるビジネスにしたいと考えている。サッカー後発国のアメリカでワールドカップを成功させる上で、絶好のパートナーがトランプ大統領だった」とみているといいます。

井上キャスター:
本当のところは不明ですが、客観的な事実から私たちは頭の中で結びつけてしまうところはあります。

大和田さん:
あれも、これもと悪い方向に想像してしまいますが、私は本当に一番やってはいけないことをやっているような気がします。

仲が良いとか、これまでの関係があるから審判を覆せるとなっていったら、他の国はどうなるのだろうと思います。他の国の選手たちもたくさんレッドカードやイエローカードを受けていて、まだ続いている試合や今後の試合はどうやってプレーをしていくのかと感じました。

みんなの心が1つの発言ですごく複雑になってしまったのではないかと思います。

FIFA公認エージェントに聞くFIFAのガバナンス体制

出水麻衣キャスター:
井神さんはFIFAの公認エージェントを務められてますが、FIFA自体のガバナンスはどのようにご覧になっていますか。

井神弁護士:
ガバナンス自体は、やはりFIFAが不公平な規則を定めていると、ヨーロッパの弁護士あるいは南米の弁護士が訴訟で争うなど、それを是正している状況があるので、年々良くなっているとは思うのですが、改善が必要な余地があると思っています。

井上キャスター:
やはりスポーツの根幹である公平性が歪められかねない大きな問題だと言えるのかもしれません。

==========
<プロフィール>

井神貴仁さん
スポーツ法務に詳しい弁護士・FIFA公認エージェント
FIFAフットボール裁判所などで紛争事案に対応

大和田美帆さん
俳優・タレント
音楽療法士・子供心理カウンセラーなどの資格を持つ
「一般社団法人 子どもが笑えば世界が笑う」代表
1児の母

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