“夢の超特急”リニア新幹線が着工へ前進…こう着状態だった静岡工区が動き出す 開通に向けては課題も【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN
2026-07-08 12:25

品川と名古屋を40分で結ぶ、リニア中央新幹線が大きな節目を迎えました。長年、こう着状態が続いていた静岡県内の工区について、鈴木知事が着工を容認すると表明。“夢の超特急”は走り出す日が近づいたようです。

【写真で見る】静岡工区が動き出す リニア開通に向けては課題も

※動画内で紹介したアンケートは8日午前8時で終了します。

静岡県知事「容認」リニア新幹線“着工”へ

1962年に研究が始まった“夢の超特急”。日本の新たな大動脈を作るプロジェクトが、ついに大きな節目を迎えました。

静岡県 鈴木康友 知事
「リニア中央新幹線工事にかかる自然環境保全協定を、事業者である『JR東海』と締結することといたします」

長年、こう着状態が続いていたリニア建設。7日、静岡県の鈴木知事は、県内を通る工区の着工を容認する考えを表明しました。

静岡県 鈴木康友 知事
「全体として、地域住民の皆さまの理解は進んだものと認識した」

リニア中央新幹線は、東海道新幹線に続く「次世代の高速鉄道」。

超電導磁石を使った技術により、最高時速は500km。現在、約1時間半かかる品川と名古屋の間を、最短40分で移動可能にします。

当初は、2027年の開業を目指し、2014年の工事実施計画の認可後、各地で工事が進められてきました。

リニアの「停車駅」となる神奈川県相模原市では、新駅の建設作業が進められており、ショベルカーが休むことなく稼働しています。地下約30mの深さに建設される、巨大な新駅。着々と工事が進み、全体の輪郭が見え始めています。

相模原市民
「名古屋・大阪まで40分とか1時間以内で行けるので、自分は楽しみにしている」

相模原市民
「遠くに行くのが気軽な時代が来るのはすごく楽しみだなって」
――行きたいところは?
「名古屋城とか、カツ食べたい」

一方、静岡県内を通るルートについては、そもそも工事が始まっていませんでした。空白の「8.9km」になっていたのです。

“着工”前進も残る不安 「環境保たれるよう努力を」

静岡県 川勝平太 知事(当時)
「工事によって何のメリットもない」

この静岡工区の着工をめぐっては、川勝前知事ら地元が強く反発。トンネル工事によって、静岡県の中央部を流れる大井川の水量が減る恐れがあると、懸念を示していました。

大井川は、約62万人の住民の生活用水や農業・工業用水として使われる「命の水」。川勝前知事は長年にわたり、「静岡工区」の着工を認めてきませんでした。

潮目が変わったのは2024年。リニアの推進に前向きな立場をとる鈴木知事が、新たに就任しました。

鈴木知事は国交大臣やJR東海の社長らと相次いで面会。JR東海も、静岡と浜松に停車する「ひかり」を現在の1時間に1本から2本に増やす考えを示し、静岡県内には停車しないリニアが開業した際の「メリット」をアピールしました。

さらに県とJR東海は、工事によって大井川の水に影響が出た場合は、JR東海が必要な対策や補償を行うことなどを記した「確認書」を締結しました。

一方で、地元には今も不安の声があります。コメ作りを続ける農家からは…

コメ農家 八木栄幸さん
「大井川用水がなければこの辺では水稲が作れないと思う。水を元どおりに使わせてもらえるなら、リニア工事には別に反対もしません。(着工になったら)生活も便利になって、環境も保たれるように努力してほしい」

県民の不安について、鈴木知事は改めて言及しました。

静岡県 鈴木康友 知事
「不安やご懸念を抱く皆さまが一定程度いるということは、我々も承知している。しっかりと継続的・永続的にこの工事をチェックしていく」

一方、JR東海の丹羽社長は…

JR東海 丹羽俊介 社長
「大井川の水資源や南アルプスの環境保全に十分配慮して、トンネルの掘削工事を進めていく必要がある。早期開業を目指して、全力を尽くしてまいりたい」

2036年以降に開業へ リニア着工前進の課題は?

小川キャスター:
真山さんは、リニア開通には長年慎重な立場でいらっしゃいますね。

小説家 真山仁さん:
15年以上前に乗ったことがありますが、乗ってみて、ますますいらないと思いました。

というのも、視覚的な問題や振動とかで「人間の体がついていかない」と感じました。これをクリアできるのか、その時に聞いたら「ちゃんとクリアして動かすから大丈夫」と言われましたが、「大丈夫」の根拠は未知の領域なので分からない。

ただ、このリニアの開発により、技術立国の日本として色々なものを得ているはずです。70年代当時は頑張った時代で、すごく意味があったと思います。意味があったのは間違いないのですが、今の時代にそぐわない可能性を考えなければならない時が来ているのではないかなと思います。

藤森キャスター:
人それぞれ色々な感じ方があると思いますが、開業への道のりはまだ先で、当初の目標は2027年でしたが、2036年以降の開業になると見られています。

また総工費は、資材価格の高騰などで当初の約2倍の11兆円になっています。これは全てJR東海の自費で、税金の負担は今のところないとされています。

▼課題(1) 開業時期の遅れ
2027年 (当初の目標)→ 2036年以降
▼課題(2) 総工費の高騰 (品川―名古屋間)
5.52兆円 (当初の計画)→ 11兆円(2025年時点)

小説家 真山仁さん:
当初より円安が進み、日本の技術は停滞し始めています。そうなると、この計画は希望的観測ではないか、と思ってしまいます。

逆に、JR東海だけでこれだけの負担になるのであれば、例えば、私は東海道新幹線を安くして欲しい。だから、東海道新幹線にそんな不満があるのかということも、議論していただきたい。「速い」ことが本当に良いことなのか、そこまで我々の生活の中で速度を追及する時代なのかということは、大事なテーマだと思います。

巨額の費用かけて開通 リニア開通の意義とは?

小川キャスター:
なぜこれだけ巨額の費用をかけてリニューアルを開通させるのか、JR東海はこのように説明しています。

【リニア開通の意義】
(1)巨大経済圏の誕生
(2)南海トラフ地震への備え

まず、「巨大な経済圏を誕生させる」ということ。3都市間の移動時間の短縮によって、地域の活性化が期待できると。

そして、「南海トラフ地震への備え」という局面もあるそうです。というのも、東海道新幹線は開業から60年以上が経過していて老朽化している。また、リニアは路線の8割以上がトンネルなので、自然災害の影響を受けにくい。日本の大動脈をバックアップする役割があるということです。

小説家 真山仁さん:
一つ目の「巨大経済圏の誕生」に関して言うと、時間が短くなると東京に完全に吸収されてしまうので、地域の活性化から逆行すると思います。不便な方が、それぞれが独立して自分たちの経済圏を作るので、この意見は私は説得力がないと思います。

藤森キャスター:
新幹線「ひかり」の本数を増やす分、人をどんどん呼ぼうという話もあるようですが。

小説家 真山仁さん:
それはリニア開通の本質とは違う話ですよね。

もう一つの「南海トラフ地震への備え」に関しては、確かに南海トラフは海から出るので、海沿いを走るよりはいいとは思います。しかし、トンネル辺りで直下型の地震が起きたらどうするのか。屁理屈に聞こえますが、未知の領域なので多くのリスクを考えなければいけないと思います。

静岡県がずっと気にしていた水の問題も、本当に大丈夫という保証は全くありません。

例えば、日本に初めて原子力発電所を作った時も、ずっと「大丈夫」と言い続けてきました。設計上も実際も大丈夫でしたが、東日本大震災のような想定外のことが起きる。「想定外のことが起きました、残念でした」というのを繰り返していいのか。リニアは「速い」ということだけにこだわって進めていいのかな、と思います。

『リニア新幹線』について「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『リニア新幹線』について「みんなの声」を募集しました。
Q.リニア中央新幹線 乗ってみたい?
「絶対乗りたい」…18.6%
「機会があれば乗ってみたい」…31.6%
「価格や評判次第」…10.9%
「今の新幹線で十分」…34.6%
「その他・わからない」…6.1%

※7月7日午後11時22分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは8日午前8時で終了しました。

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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
最新作はパンデミックを描いた「ウイルス」

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