「ゲリマンダー」恣意的に選挙区割り変え”政治家が有権者を選ぶ” トランプ氏支持率低下で中間選挙で利用か その火の粉は日本にも及ぶ可能性 【サンデーモーニング】

「ゲリマンダー」の由来とは… 恣意的に選挙区割り変え”政治家が有権者を選ぶ”
サラマンダーは、西洋で火を司る怪物とされています。この怪物に由来する戦術である「ゲリマンダー」を、11月に迫った中間選挙で利用しようとしているのが、トランプ大統領です。
【写真を見る】選挙区の区割りを恣意的に変える「ゲリマンダー」とは?
「ゲリマンダー」の由来は、1812年に掲載された新聞の風刺画。マサチューセッツ州のゲリー知事が、自らの政党に有利になるよう選挙区を変更したところ、形がいびつになり怪物サラマンダーのようだと批判されたのです。
ゲリー氏とサラマンダーを掛けて「ゲリマンダー」と言われるようになり、特定の政党に有利になるよう、選挙区の区割りを恣意的に変えることを意味します。いわば、政治家が有権者を選ぶやり方です。
例えば、ある州とします。青・民主党支持者は中心部に住み、赤・共和党支持者はその周りに住んでいるとします。
この州を、縦に5つの選挙区に区割りします。赤・共和党が2議席、青・民主党が3議席を獲得する結果になります。
一方、選挙区の分け方を変えます。すると、赤・共和党が4議席、青・民主党が1議席となります。
全体の有権者の数は同じでも、選挙区の分け方次第で結果が全く違ってくるのです。
実際にトランプ氏の意向を受けて、選挙区の区割りを変えた州のひとつがミズーリ州です。
以前の5区は、民主党支持者が多く住むカンザスシティが中心でした。その5区を4・5・6区に3分割し、それぞれを共和党支持者が多い農村部を含む選挙区に組み込む形で再編したのです。
結果、都市部の民主党票は分散されることになり、新たな5区は共和党優勢の選挙区に変わりました。
異例なタイミングの「ゲリマンダー」日本への影響は
「ゲリマンダー」自体は昔からあった手法ですが、トランプ氏が異例なのは、タイミングです。
通例では10年ごとに行われる国勢調査後に、人口配分の見直しに合わせて行われます。
本来なら次の調査の2030年以降がそのタイミングなのですが、中間選挙のために大幅に前倒しをしたのです。
ゲリマンダーは複数の州で行われていて、上智大学の前嶋和弘教授は「共和党は全米で7〜10議席程度上積みできる」と見込んでいます。
ただ、戦後行われた20回の中間選挙では、政権側が平均で26議席失っていて、上積み分を考慮しても、共和党が下院で過半数を失うとの予想が複数あります。
過半数を失った場合、トランプ政権はどうなるのでしょうか。
前嶋教授は「日本にとってより付き合いにくい相手になる可能性がある」と指摘します。
というのも、民主党が罷免を求める弾劾訴追に動けば、トランプ氏は支持層を固めるため対決姿勢を強め、アメリカファーストを一段と推し進めます。その結果、日本は厳しい要求を突きつけられるというのです。
火の怪物に由来する「ゲリマンダー」。その火の粉が日本にも及ぶ可能性があるのです。